future×feature  vol. 7

Interview

朝ドラ「ひよっこ」後、初めての連続ドラマに挑む佐久間由衣。「明日の約束」で新境地を切り開く──。

朝ドラ「ひよっこ」後、初めての連続ドラマに挑む佐久間由衣。「明日の約束」で新境地を切り開く──。

2017年上半期、日本の朝をほっこりとさせた「ひよっこ」終了から、はや数週間。主人公・みね子の親友、助川時子役で注目を集めた佐久間由衣が、早くも連続ドラマ「明日の約束」にレギュラー出演する。物語の軸となる少年の死と関わるミステリアスな女性という役どころを、どのようにとらえているのか? また、共演することが目標であったという憧れの女優・井上真央との芝居について、さらに表現に対する思いなどをじっくりと語ってもらった。

取材・文 / 平田真人 撮影 / キセキミチコ/KISEKI inck

役のイメージを払拭していくのではなく、幅を広げていきたいんです。

「ひよっこ」の時子という印象が広まった分、これからはそのイメージをいかに裏切っていくかというところもあると思いますが、実際どのように感じられているのでしょう?

まず、街中で「時子ちゃん」と役名で呼んでいただけることが初めてで、それが純粋にうれしくて、ありがたいなと感じています。なので、そのイメージを払拭していくというよりも、振れ幅を広げていきたいなと思っていて。当面は、時子としてのイメージに加えて、「明日の約束」の白井香澄のイメージも思い浮かべていただけるようになっていけたらいいなと思います。

時子から振り切るという意味では、時代も性格もまったく違う設定の作品と役どころであったことが幸いしたのかな、と思ったりもしますが、いかがでしょうか?

はい、切り替えやすかったです。ただ、時子が持っていた芯の強さみたいなところは、香澄にも通ずるなと思いました。2人とも周りに流される事はないと思うので、そういう意味では近いところもあると思います。そこから新たにゼロからつくっていこうというアプローチで臨むことができました。

佐久間由衣

「ひよっこ」が半世紀前のお話だったので、舞台が現代というのも新鮮だったのでは?

そうですね。「ひよっこ」では衣装やメイク、ロケーションやセットも含めて、50年前を生きていた人と思えるようなヒントが周りにたくさんありました。現代劇は自分からも見つけていきながら演じようと心がけています。

香澄という役どころはミステリアスな雰囲気も漂っていますが、佐久間さんはどのようなキャラクターととらえているのでしょうか?

人との距離を保ちながら生きている子だなと、私は思いました。感情的にならないように抑えていると言いますか…。笑ったりする事もない役なので、どこともなくもどかしい気持ちもありますね。

感情の起伏をつけたい、という欲にかられるということでしょうか?

はい。ただ、好き嫌いはハッキリしていて、その意志表示をうやむやにしない芯の強さはあるんですけど、一歩踏み込まずに様子をちょっと見ながら、どういうふうに相手と接していこうか考える部分もあるので、そこが難しいところだなと感じています。

明日の約束 佐久間由衣

「明日の約束」より ©カンテレ

「ひよっこ」も「明日の約束」もオリジナル作品ゆえ、キャラクターをつくる上での自由度が高い分、面白さと難しさが同居していると思うんですが、その辺りはどう考えていますか?

原作モノの作品に出演させて頂いたのが、まだ一度だけなので、そちらの難しさをわかっているというわけでもないのですが…オリジナルですと沢山の選択肢があるので、そこは面白いなと思います。

なるほど。これはちょっと抽象的な質問かもしれませんが、佐久間さんは脚本を読んでいる時から、その役のしゃべり方でセリフを話すイメージがわくタイプの女優さんですか?

今回の香澄に関しては、読んでいる時からイメージがわいてきました。「きっと、こういう話し方なんだろうな」って。ただ、想像はできるんですけど、ふだんの自分とはかけ離れているなと思ったので、どうしたら近づけるか試行錯誤しました。でも、なかなか追いつかない部分もあって、そこが課題だなと感じました。妥協することなく最後まで考え続けていこうと思っています。

佐久間由衣

そういった思考は、やはり読書量が多いところと関係しているのでしょうか?

関係しているのかもしれませんけど…本を読んで想像や妄想をふくらませて自己完結させる世界と違って、台本を読むという作業はたくさんの人と作品をつくるということにつながっていくので、自分だけのイメージでは完結しないんですよね。監督さんの考えていらっしゃることであったり、ほかの役者さんたちとのお芝居によってもどんどん変化していくので、柔軟でいたいなとは思います。本は細かく描写されていますけど、台本はあくまでヒントというか、答えとは言い切れない答えみたいなところがあって、それをどう読み解いていくかが醍醐味でもあり、難しさでもあるなと感じています。

自分にとって一番のインプットは、人と会って話すことです。

第1話から、主演の井上真央さん演じる藍沢日向先生と対峙するシーンがありますが、実際に相対したときにはどんなことを感じたのでしょう?

私は元々、井上真央さんが大好きで、こんなに早く共演できるとは思っていなかったんです。なので、すごくうれしい気持ちもあったんですけど、今回の香澄という役柄的に、井上さんの演じられている日向先生に強く当たっているシーンばかりで…井上さんの困っていらっしゃる顔しか見ていないんです。あくまで役にすぎないんですけど、大好きな憧れの女優さんを困らせてばかりなので、シーンを撮るたびに、ちょっと落ち込みますね(笑)。でも、学校での日向先生や、恋人と一緒にいる時にどんな感じなのか、一視聴者としてはすごく気になります。

佐久間由衣

そこまで井上真央さんのことが好きなんですね。ちなみに、好きな出演作は何でしょう?

たくさん見させてもらってるのですが、中でも大好きなのは連続テレビ小説の「おひさま」です。DVDも持っていて。その時の役柄である陽子先生のイメージが私の中では強く残っていたので、初めての顔合わせの場で「わ、陽子先生だ!」と心の中ではテンションが上がってました(笑)。初日の撮影の際に、井上さんにも「『おひさま』が大好きなんです」と伝えたんですが、「見ていてくれたの? ありがとう」と、おっしゃってくださったんです。実際にお芝居をしてみると、すごくパワーがあって、現場ではいろんな方と分け隔てなくお話をされていて、本当に優しい方だなと思います。「井上さんの書かれる字の書体が好きです」といったお話もさせていただいて。でも、お芝居では…当たり前なんですけど、そういった気持ちはピシッと封印して取り組んでいます。

明日の約束 佐久間由衣

「明日の約束」より ©カンテレ

ということは…お話がちょっと前後しますが、この作品のお話が来たとき、主演が井上真央さんと聞いて相当な喜びだった、ということですね?

はい、相当な喜びでした(笑)。すごく幸せなことだなって。そうやってワクワクするのと同じくらい、緊張感も大きかったですけど…。

ある種、夢がひとつ叶ってしまったところもあるのではないかと。

はい、井上真央さんとご一緒することが目標の一つだったので、こんなに早くその日が訪れるとは思ってもみませんでした。

 

「ひよっこ」への出演もそうですが、すごく順調にことが運んでいることに対しては、どんなふうに感じていらっしゃるのでしょう?

とても恵まれていて、ありがたいなと思います。順調すぎてこわい、という感じはないんですけど、自分の実力がちゃんと釣り合うように努力を怠らないようにしよう、という気持ちは忘れないようにしていて。そこが一番大きいかもしれません。

佐久間由衣

具体的には、どういった努力をしていらっしゃいますか?

努力の仕方は人それぞれだと思いますし、いろいろなお話を聞くんですけど…自分の経験で言いますと、「ひよっこ」の現場がすごく長かったので、失敗をしても回収ができるという意味で、たくさんのチャレンジができたんですね。もちろん、それを温かい目で見てくださる環境だったからこそ許されたところもあると思います。そういった経験を踏まえつつ、「明日の約束」の現場でも、多くのキャストのみなさんよりもキャリアが浅く、まだできないことの方が多い中で、自分にできることを一つひとつ着実に達成していくしかないのかな、と考えていて。本当に基礎的な…ある意味ゼロからという気持ちで、「明日の約束」という作品には取り組んでいます。なので、白井香澄という役に対しても、まっさらな気持ちで向き合っていますね。

自分のイメージからはずれていくのも、表現における面白さの一つでもあると思うんですけど、現時点で佐久間さんがお芝居に惹かれる理由とは何なのでしょうか?

何だろう…。いい意味で自分の思い通りにならないこと、ですね。自分が想像してもいなかった瞬間に立ち会えたり、想像を遥かに超える表現がたくさんの人との共同作業の中で生まれるのを体験できるのが楽しいです。なので、確かにお仕事ではあるんですけど、自分が興味をそそられる好奇心を忘れてはいけないなと思っていて。目の前に階段があるんですけど、人に命じられて上っているのではなくて、気づいたら上の方を目指して上っていたという感覚というか…自分の中ではそれが当たり前というとらえ方をしているんです。ちょっとわかりづらいかもしれませんけど…(笑)。

佐久間由衣

表現することはイコール「アウトプット」ですけど、その分いろいろなことをインプットするのも必要だと思うんですね。佐久間さんは、読書以外ではどのように蓄積しているんでしょう?

自分としては常々インプットしている感覚があって…本を読むのもそうですけど、美術館へ行ったりもしていて。小学生のころから祖父と美術館へ行っていたので、今も習慣のように足を運んでいます。あとは、人と話をすることですね。それが一番身近で、しかも大事なインプットかなと思います。

「ひよっこ」の共演者の方々とも?

最近、助川家で家族会議をしました(笑)。

佐久間由衣

「明日の約束」より ©カンテレ

佐久間由衣

1995年3月10日生まれ、神奈川県出身。
2013年、「ViVi」専属モデルオーディションでグランプリを獲得。2014年、映画「人狼ゲーム ビーストサイド」で女優デビュー。2017年4月~9月に放送された連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK総合ほか)の助川時子役と、リクルート「ゼクシィ」の10代目ゼクシィCMガールでブレイクを果たす。主な出演作は、ドラマ「トランジットガールズ」(フジテレビ系/2015年)、「ラブラブエイリアン」(フジテレビ系/2016年)など。

佐久間由衣さん画像ギャラリー

明日の約束

 

毎週火曜よる9時~9時54分(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)

出演:井上真央 及川光博 工藤阿須加 白洲迅 新川優愛 佐久間由衣 /
青柳翔 羽場裕一 手塚理美 仲間由紀恵
脚本:(オリジナル)古家和尚
音楽:眞鍋昭大
プロデューサー:河西秀幸(カンテレ)山崎淳子(共同テレビ)
演出:土方政人(共同テレビ)小林義則(共同テレビ)
制作協力:共同テレビ
制作著作:カンテレ
オフィシャルサイトhttps://www.ktv.jp/yakusoku/
オフィシャルTwitter@yakusokuktv

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