Review

『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』

『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』

2007年2月劇場公開作品
発売元:フジテレビジョン/電通/東宝/小学館
販売元:ポニーキャニオン
DVD:3,800円+税(スタンダード・エディション/写真)
DVD:5,700円+税(スペシャル・エディション)

バブル崩壊を阻止するためにGO!
究極のタイムスリップ・ラヴコメディ!!

STORY

借金800兆円。日本崩壊のシナリオにピリオドを打つために財務省の下川路功(阿部寛)は極秘計画を遂行しようとしていた。17年前にタイムスリップしバブル崩壊を阻止させることだ。白羽の矢を立てたのは元カレの作った借金返済に追われるフリーター田中真弓(広末涼子)だったが……。ホイチョイ・ムービー第5弾『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』は、1990年の東京を舞台にしたタイムスリップ・ラヴコメディ。『私をスキーに連れてって』(’87年)、『彼女が水着にきがえたら』(’89年)、『波の数だけ抱きしめて』(’91年)でまさにバブル・カルチャーの一端を担った観のあるホイチョイ・プロダクションズが、あの狂乱時代を描いたエンタメ。バブルを知らない女の子が目の当たりにする、眠らない六本木、ディスコ、ボディコン、船上パーティ、タクシーチケット、札束……猫も杓子もEverybody Dance Now な時代へGO!!

監督 馬場康夫
製作 亀山千広
原作 ホイチョイ・プロダクションズ
脚本 君塚良一
音楽 本間勇輔
主題歌 加藤ミリヤ「Eyes on you」

出演 阿部寛、広末涼子、
薬師丸ひろ子、吹石一恵、伊藤裕子、
劇団ひとり、小木茂光、森口博子、
伊武雅刀 ほか

日本中が浮き足立っていたバブル絶頂の1990年。
あなたはどこで、何をしていたか覚えていますか?…生まれてますか??
僕は編集アルバイト1年生。いきなり初日から……

バブル崩壊を阻止させるために17年前にタイムスリップ。舞台は1990年の東京。『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』を観ながら多くの視聴者が思うはず。自分はあの頃、どこで何をしていたのだろうか?

もちろん僕は覚えている。真弓(広末涼子)と同じく’90年の東京にいた。在学していたジャーナリスト養成学校の講師に誘われ、アルバイトとして送り込まれたのがCBS・ソニー出版(現エムオン・エンタテインメント)。

ブラックカルチャー誌の創刊に見習いとして携わったのだが……初日からT 編集長に「はいコレ、台割ね。で、今日の夜中零時を過ぎて原稿がFAXで届かなかったライターに電話してね」。よろしくね……って、台割? 原稿? ライター? 夜中!?!?

右も左も分からないアルバイト初日から徹夜。さらにその日は僕の二十歳の誕生日だったから忘れるはずがない。スゴい世界に入ってしまったと思うまもなく次の日から東京中のディスコやクラブへのおつかい。

まさに『バブルへGO!! ?』よろしく、Jトリップバー、Mカルロ、サーカス六本木、BUZZ、芝浦ゴールド、Jクラブ溜池、ジオイド……覚えているお店の名前はこんな感じで覚えているけれど、何を届けていたのか、何を受け取っていたのかは覚えていない。正確には当時も知らない。

記憶に鮮明なのが「編集長T の使いで来ました!」と言うと爆音の中で面倒くさそうにしていたお店のスタッフの態度がガラリと変わって良くなったこと(笑)。「飲んでいきますか?」「仕事中でとんでもないです」。髭をいじりながら昼間からミドルテンポなアース・ウィンド&ファイアーを聴いているウチのボスT は偉い人なのだろうか。

 え! 安川くん知らなかったの!? 70’s~80’s 最強のディスコキングと崇められたEW&F。その全盛期の日本担当ディレクターがTさんだったということを知ったのは、しばらくして隣の洋楽ロック雑誌にアルバイトのまま転属してからだった。僕を送り込んだ講師が「あれお前に言ってなかったけ。Tさんはあの『宇宙のファンタジー』って邦題を付けた人だよ(笑)」……だからか、納得。みなさんもっと早く教えてくださいよ?。

 東京・市ヶ谷に在った旧CBS・ソニー出版は、エムオン・エンタテインメントの社名に変更し今は六本木だ。面影しか残っていないかつての不夜城スクエアビルを横目に出社するたびに耳の奥でEW&Fが流れてくるのは、悪くはない。

あれから四半世紀。ずっと編集の激務を続けられているのは、結果的にアルバイト初日のおかげな気がする。あの緊張と無茶ぶりを超える場面に出会ったことがないから。T 様感謝。僕の『太陽神』です。

文 / 安川達也