Interview

SMEの新規レーベル“UNTIES”が、インディーゲームの未来を切り拓く

SMEの新規レーベル“UNTIES”が、インディーゲームの未来を切り拓く

プラットフォームにとらわれないビジネスを

SMEのレーベルで、ソニーの競争相手である任天堂やマイクロソフトのハードにゲームを提供することは、画期的なことではないでしょうか?

伊藤 そうですね、少しセンセーショナルかもしれませんが、自然な流れではないでしょうか? いまの時代、マルチプラットフォームでゲームを出すことは製作ツールの進化で容易になったといえます。パブリッシャーとしてタイトルをサポートするにあたり、マルチプラットフォームで出すことは必然でした。

伊東 気になる方も多いと思うのですが、インディーのパブリッシャーとしては必然なことなんです。ディベロッパーの思いや考え次第であって、「ここで出したい」と言われたらパブリッシャーとしてそれに協力していきます。

ジョン いろいろなところでゲームを買えるってことは、ゲームに触れてもらえるチャンスが増えたってことね。

伊藤 単純に考えて、ハードを持ってないからって理由で、面白いゲームをプレイできないなんて嫌じゃないですか。ゲームをリリースしたいところでリリースできるのもそうだし、ユーザーが遊びたいところで遊べるのもいいですよね。「SMEがパブリッシュしたからプレイステーションでしか遊べません」ではなく、ユーザーがプレイしたいハードでゲームを展開していく。今までのゲーム業界の常識から考えるとふつうじゃないことかもしれないですが、ユーザー目線ではいいことだと思います。

わかります。ユーザー目線で考えれば、そうあるべきですよね。

伊東 筋道を立てて考えると当然の流れなのですが、見る人たちから見るとインパクトがあって、驚いてもらえたらうれしいという気持ちはあります(笑) 

伊藤 気持ちとしてはあるけど、そこにとらわれて本題がぼやけるようでは意味がないんです。僕たちは、本当に面白いゲームをサポートしていきたい。応援している以上、ひとつのハードウェア限定でやってくれなんてディベロッパーに言えないです。毎日、もしかしたら百本以上のタイトルが出ている市場のなかで、プラットフォームまで限定したら失敗する要因になりかねない。“UNTIES”のキャッチフレーズの通りで、僕たちはこのゲームをみんなに届けたいんですよ。

懐古だけじゃない、進化を遂げたインディーゲーム

インディーゲームを取り扱ううえで、心がけていることはありますか?

伊藤 うちのショーケースに並べさせてもらえるなら、僕らのできる範囲でギラギラに磨いて、ユーザーが買いやすい状態を作りたいと思っています。いわゆるインディーとしての個性や作品のよさ、荒削りの部分は残しながら。

伊東 そうですね。クリエイティブを邪魔しないのは大事です。開発が大規模体制化すると、どうしても個性が落ちていきます。それはいい面も悪い面もあるんですけど、小規模で作っているタイトルの個性は、良し悪しの“悪し”の部分もあれど、“良し”の部分を磨き上げることで、ものすごく面白くなるんです。

よい部分をとことん磨くんですね。

伊東 そうです。「ここ、いいじゃん!」、と思える部分をどんどん見つけていくと、売りかたがハッキリ決まってきて、遊びかたの提案もしっかりできるようになる。 

伊藤 僕らも本当にゲーム好きなんですよ。単純にインディーゲームという文化が好きで、いろいろなゲームがあるなかで目を引くタイトルを日々消化するのが好きです。でも、面白いゲームの情報を探しても、日本だとマニアックなサイトにたどり着くのが常なんですが、それを「SMEのパワーで、SMEがオススメするタイトルです」と紹介できれば、もっとポップにインディーゲームに触れてもらえるんじゃないかと。 

そう思います。いい意味でSMEの看板を借りる形ですね。

伊藤 最近、僕らって懐ゲーの話ばっかりよくしているんですけど、そうじゃなくて、いまある新進気鋭の面白いタイトル、『TINY METAL』とか、そういったタイトルを盛り上げたい。

▲2017年11月22日、“UNTIES”から発売予定の『TINY METAL』。昔ながらの懐かしい戦略シミュレーションゲームを、Unreal Engineを使用した最新の3Dグラフィックを用いて現代風にリファインしている

▲同じく“UNTIES”がパブリッシュする『Last Standard』。SNSを介して、プレイヤーの深層心理から武器を生み出す“サイコダイブシステム”が特徴的

▲こちらも“UNTIES”がパブリッシュする『Merkava Avalanche』。戦車型騎兵メカによる3Dアクションゲームで、ワイヤーなどを駆使して標的に近づく独自の高速移動戦闘が魅力

▲感動的なストーリーと心に響く音楽でファンの心を掴んだリズムゲーム『DEEMO』が、3D&VR化して完全新作に。“UNTIES”が送り出す注目タイトルのひとつだ

伊東 昔のゲームのよさを現代風にアレンジして出していくのは、インディーゲームのなかでもひとつの潮流としてあります。ドットゲームがすごくわかりやすくて、ドットゲームは昔のタイトルをオマージュして、さらにゲームシステム、ゲームエンジンを新しくすることで派手なアクションに仕上げています。昔のビット数では到底なし得なかった、ドットで非常に迫力のあるゲームを作っているんです。 

パッと見は懐かしいドット絵だけど、実際には進化をしている?

伊東 いまでないと作れないゲームを、ちゃんと作っています。インディーのディベロッパーは、つぎの世代のドット絵はこういうものだと考えてチャレンジしている。インディーゲームには、そういうチャレンジの面白さがあります。 

単なる懐古にはとどまらないんですね。

伊東 そうですね。単に好きだったから同じゲームを作るのではなく、「俺ならこう新しく作る!」というチャレンジがあります。とくに海外を中心にそういう状況になっていますね。

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