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米原幸佑が「5人でやっているという気持ち。そのぶんパワーアップしている」と語る、Live Musical「SHOW BY ROCK!!」開幕。

米原幸佑が「5人でやっているという気持ち。そのぶんパワーアップしている」と語る、Live Musical「SHOW BY ROCK!!」開幕。

Live Musical「SHOW BY ROCK!!」─深淵のCrossAmbivalence─が10月19日(木)よりAiiA 2.5 Theater Tokyoにて開幕した。サンリオの人気キャラクタープロジェクトである「SHOW BY ROCK!!」を原作に、2016年2月に上演された第1弾、さらに今年5月に開催されたライヴに続く、待望の続編とあって、出演者一同、気合い十分。同日、マスコミ向けに行われたゲネプロをもとに、パワーアップしたLive Musical「SHOW BY ROCK!!」の世界をレポートしたい。

取材・文・撮影 / 横川良明

ハマってたまるかと思う頃にはもうハマってる! 恐るべきLive Musical「SHOW BY ROCK!!」の世界

音楽&バンドがテーマの「SHOW BY ROCK!!」。本作に登場するのは、痛い中二病全開の、V系ロックバンド“シンガンクリムゾンズ”と、3人組のアイドルバンド“トライクロニカ”、さらにメンバー全員が超金持ちの新人バンド“アルカレアファクト”に、今回から新登場、未来からタイムスリップしてやってきた、サイバー忍者バンド“忍迅雷音(にんじんらいおっと)”の4組だ。

そこに、音楽都市“MIDICITY”でナンバーワンのバンドを決めるロックトーナメントや、謎の新キャラクター・アダム(Kimeru)とイヴ(吉岡 佑)が絡み合い、クロウ(米原幸佑)らは思いがけない騒動に巻き込まれていく……。

と、細かいストーリーは劇場でたっぷり楽しんでいただくとして、ここではLive Musical「SHOW BY ROCK!!」の愛すべきポイントをどどんとご紹介したい。

まずは何と言っても個性豊かなキャラクター群がステージいっぱいにワチャワチャしているだけで愛おしい。センターを張るのはもちろんこの人、“シンガンクリムゾンズ”のフロントマン・クロウ。演じる米原と言えば、かねてよりコメディセンスに定評があるが、ここでも持ち味の軽みを活かして、まっすぐさが前のめりすぎてちょっとおバカな主人公を好演している。

今回、特に米原で注目したいのは2つ。ひとつは中盤の衣裳チェンジ。普段のロッカースタイルから勤労青年よろしく赤のツナギに衣裳替えするのだが、なんだかその姿がとっても新鮮。ワケあってラーメン屋の屋台でクダを巻くシーンは、これまたイジけっぷりが絶妙にチャーミング。しかも、手にはビール瓶でも熱燗でもなく、牛乳瓶というところがたまらない。できれば家に持って帰りたいくらいラブリーだ。

さらにもうひとつの見どころが、終盤のライヴシーン。普段からハードロックに合わせてカッコよくシャウトを決めるのが“シンガンクリムゾンズ”のお約束だが、ある場面でクロウがスピーカーに足を乗せ、さっきまでのロッカーらしい唯我独尊なオレ様スマイルとはまったく違う、超弩級のアイドルスマイルを見せてくれる。このクロウは見逃し禁止、永久保存版のかわいさだ。ぜひライヴシーンでのクロウの一挙手一投足にも注目していただきたい。

そして“シンガンクリムゾンズ”からはもうひとり、今回の物語のキーパーソンであるロム(郷本直也)の名も挙げておきたい。ロムもクロウ同様、ある場面で衣裳チェンジがある。どんな衣裳に着替えるかは、見てのお楽しみ。全体から漂う違和感も含め、ちょっと頭のネジがはずれる愛らしさがあるので、ぜひ楽しみにしていただければ!

次に“トライクロニカ”ではシュウ☆ゾー(鎌苅健太)はもちろんのこと、今回はリク(ゆうたろう)&カイ(木原瑠生)が奮闘。すぐ保護しなければ死滅しちゃう小動物的かわいさを携え、降りかかる疑惑に懸命に立ち向かう。3人の絆が、今回の大きな見どころのひとつ。終盤のライヴステージではシュウ☆ゾーがツインズと目を合せながら歌唱する。そのときの3人の笑顔がとびっきり楽しそうだから、見ているこちらまで嬉しくなる。つねに笑顔を忘れない“トライクロニカ”らしいライヴシーンに、客席も心を躍らせたい。

5月のライヴから新たに参戦した“アルカレアファクト”も大活躍を見せる。個人的な偏愛ポイントとしてはセレン(板垣李光人)とアルゴン(滝川広大)の凸凹コンビを推したい。この世のものと思えないセレンのフェアリー感と、筋肉バカなアルゴンのウザ感は、舞台上を一層賑やかなものに。特にことあるごとに筋トレをしているアルゴンは、見ているだけで笑みがこぼれる。終盤、その体格差を活かした2人のとある絡みは必見だ!

また、ライヴシーンのポイントとしては、何と言ってもフロントマンのチタン(糸川耀士郎)がキーボーディストであることから、その音色に光沢感があること。さらに疾走感あるビートにピアノサウンドならではの軽やかさが相まって、聴く人を選ばない爽快なナンバーに仕上がっている。このあたりもぜひ楽しみにしてもらいたい。

初登場の“忍迅雷音”は、全員推しキャラと言っても過言ではない。ライヴシーンではちょっと闘争的な顔を見せる嵐(辻諒)だが、普段はこのままゲージに入れて一生眺めておきたい愛玩感がある。朧(井阪郁巳)はクールなギタープレイで見せ場をつくり、燐(高橋健介)はほんの何気ない立ち姿での内股具合やピンと伸びた指先に色気がダダ漏れる。そして、神威(赤澤遼太郎)がその重装備ゆえみんなで客席を歩いているときもひとりどんどん遅れていくところが、萌え心をわかっていてヤラれる。ハケるときまで客席へのアピールを忘れないので、油断せずに注視すべし。ロボットマイムも首の動かし方など、さりげないディティールに役者魂が表れている。初参戦ながら4人それぞれに個性を発揮し、鮮烈な印象を残した。

ライヴパフォーマンスに乗せた彼らの青春ストーリーを見よ!

こんなふうに語り出すと止まらない本作だが、“Live Musical”と銘打つとおり、音楽面の充実もここに記しておきたい。4バンド、それぞれ音色からバラエティがあり、音楽好きも納得のロックナンバーを聴かせてくれる。特にボーカルを務めた4人はそれぞれ安定感があり、好印象。

また、ミュージカルらしい劇中での歌唱も聴きごたえがある。特にここで大きく物語を引っ張ったのが、アイオーン(輝馬)、ヤイバ(鳥越裕貴)、オリオン(田中涼星)の3人による歌唱シーンだ。ミュージカルらしくそれぞれの内面をエモーショナルに歌い上げ、本作のドラマ性を大きく引き上げた。特に輝馬の歌唱力は近年の充実した仕事ぶりを表しているよう。バンド好き、ミュージカル好きも、楽しめる一作としてオススメしたい。

そして最後に、Live Musical「SHOW BY ROCK!!」の最大の魅力について述べて筆を置きたい。サンリオらしいキュートなビジュアルについ目を奪われてしまいがちな本作だが(もちろんそれはそれで最高)、実はごくスタンダードな青春ドラマとしての輝きを持っている。チーム男子的なワチャワチャ感、打算や駆け引きのないストレートな友情、そしてトップスターを目指す若者たちのドリームストーリー。青春ドラマには欠かせない定石が、本作にもすべて備わっている。

それを最も強く感じたのが、ラストの“シンガンクリムゾンズ”のライヴシーンだ。会話するように何度もアイコンタクトを交わし、ドラムのロムを囲むようにして楽器をかき鳴らす彼らを見ていると、胸に眩しさが沸き上がってくる。きっとそれはステージ上を照らすライトのせいだけじゃない。このメンバーで音を鳴らすのが楽しい。そう言っているような彼らのプレイが、光となってオーディエンスの胸を衝くのだ。

難しいテーマはいっさいない。嫌味な上司にムカついた仕事帰りに、失敗だらけでついていない一日の終わりに、あるいは待ちに待った休日に、彼らに会いに行って欲しい。きっととびっきりの元気をもらえるはずだぜ黙示録!

4人で演奏しているというよりも5人でやっているという気持ちがある

囲み会見には、クロウ役の米原幸佑、シュウ☆ゾー役の鎌苅健太、チタン役の糸川耀士郎、嵐役の辻 諒、朧役の井阪郁巳、燐役の高橋健介、神威役の赤澤遼太郎が登壇。

まず米原が「待ち遠しかった公演がやっと始まるんだなあという思いです」と口火を切ると、赤澤が「人がロボを演じるという意味を今回の舞台を通してお伝えできたら」となぜか壮大な挨拶。これには思わず鎌苅が「そんな深い意味ある!?」と華麗にツッコミ。取材陣の笑いをとった。

初参戦の辻は“忍迅雷音”の魅力について「仲の良さから出る爆発力だったり、新鮮な、若々しい楽しさみたいなところ」を挙げると、高橋が「あと、うちのボーカルがピカイチです」とすかさず援護射撃。これには井阪も「ボーカルがピカイチ」と同調したうえで、「忍迅雷音の曲はほかともまた違って、すごくキャッチー」と楽曲の良さをアピールした。

迎え撃つ続投組も、糸川が「稽古場からすごくバチバチ対バンの試合をやって、こんなに悔しい稽古場ってあんまりないと思う」と周囲から刺激を受けつつ成長している様子を話せば、鎌苅も「トラクロの絆とか、全員のチーム感も広がっているなと思います」と団結力を実感。そして座長の米原は、怪我の治療のため降板となった滝川英治と、滝川からバトンを受け継いだ郷本直也の名前を挙げつつ「4人で演奏しているというよりも5人でやっているという気持ちが僕の中にあるので、そのぶん、ひとつパワーアップしているんじゃないかな」と仲間の絆に想いを馳せた。

Live Musical「SHOW BY ROCK!!」─深淵のCrossAmbivalence─は10月29日(日)までAiiA 2.5 Theater Tokyoにて上演。レジェンド級のキャストと共に唱え家畜共ッ!

Live Musical「SHOW BY ROCK!!」─深淵のCrossAmbivalence─

2017年10月19日(木)〜10月29日(日) AiiA 2.5 Theater Tokyo

原作:サンリオ
ストーリー原案:待田堂子
脚本・演出:斎藤栄作
作詞:三ツ矢雄二
音楽:楠瀬タクヤ
振付:當間里美

キャスト
〈シンガンクリムゾンズ〉
クロウ:米原幸佑
アイオーン:輝馬
ヤイバ:鳥越裕貴
ロム:郷本直也
〈トライクロニカ〉
シュウ☆ゾー:鎌苅健太
リク:ゆうたろう
カイ:木原瑠生
〈アルカレアファクト〉
チタン:糸川耀士郎
オリオン:田中涼星
セレン:板垣李光人
アルゴン:滝川広大
〈忍迅雷音〉
嵐:辻諒
朧:井阪郁巳
燐:高橋健介
神威:赤澤遼太郎

アダム:Kimeru
イヴ:吉岡佑

ジューダス Jr.:増本健一、松本健人、阿部大地、久保順杜

じい:鳥羽潤
有栖川メイプル:今拓哉

オフィシャルサイトhttp://showbyrock-musical.com/

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