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『大逆転裁判2』逆転につぐ逆転が生み出す至高の爽快感

『大逆転裁判2』逆転につぐ逆転が生み出す至高の爽快感

2001年に発売した『逆転裁判』を皮切りに、ムジュンを突いて真実を明らかにする法廷バトル、絶望的な状況から始まる裁判で逆転無罪を勝ち取るカタルシス、ずば抜けて個性的なキャラクター、そのキャラクターたちがつむぐ意外性たっぷりのシナリオなど、さまざまな要素でユーザーを魅了している『逆転裁判』シリーズ。2009年には、弁護士ではなく検事を主人公とした『逆転検事』シリーズが誕生、そのほか舞台化、宝塚歌劇、実写映画、TVアニメなど、さまざまな展開を見せながら長きに渡ってユーザーを魅了し続けている作品だ。

シリーズ最新作の『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』(以下、『大逆転裁判2』)が2017年8月に発売され、同年9月から12月にかけてはリアル脱出ゲームのSCRAPと明治村とのコラボイベントが愛知県の博物館明治村にて開催されるなど、節目となるシリーズ15周年を超え、16年目を迎えたいまもその勢いは留まるところを知らない。

本稿では、エンタテインメント性に溢れたプレイを生み出すシステム、強烈すぎるインパクトと意外性を備えたキャラクターたちなど、『大逆転裁判2』が生み出す“逆転”の快感を支える要素を2回に分けて追及していく。『逆転裁判』シリーズの名前は知っているがプレイしたことはないという人も、本稿をきっかけに本シリーズに興味を持ってみてほしい。10月18日から10月31日までの期間限定で前作『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』(以下、『大逆転裁判』)のニンテンドー3DSダウンロード版が半額になるセールも行われており、『大逆転裁判2』を始める前に『大逆転裁判』からスタートするには絶好のタイミングだ。

文 / 村田征二朗(SPB15)


絶対的逆境から逆転する快感 

15年以上の歴史を誇り、マンガ、TVアニメ、映画、舞台など非常に広い展開を見せている『逆転裁判』シリーズ。もはや改めて紹介する必要はないレベルでメジャーな作品かとは思いますが、念のため簡単に本シリーズについて述べておきましょう。『逆転裁判』というタイトルが如実に示しているように、本作はどう見ても有罪が確定するような状況にありながらも無実の依頼人のために、法廷でムジュンを暴くことで事件の真相を追及し、逆転無罪を勝ち取って依頼人を救っていくゲームです。本稿では『大逆転裁判2』の魅力を紹介していきますが、ネタバレを避けるためにも、事件などに関する具体的な言及は行いません。未プレイの方もその点については心配ご無用です。

▲こちらが『大逆転裁判2』の主人公・成歩堂 龍ノ介。ウソや思い込みに対し、ムジュンを示す証拠を突き付けて真実を明らかにする快感こそが、初代『逆転裁判』から受け継がれている本シリーズの醍醐味です

19世紀末ロンドンで展開する奇想天外な大法廷バトル

『大逆転裁判2』は前作『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』(以下、『大逆転裁判』)の続編です。現代日本での法廷バトルを描く『逆転裁判』シリーズや『逆転検事』シリーズとは違い、この『大逆転裁判』シリーズは19世紀末、日本では明治時代の物語となっています。本作では、『逆転裁判』の主人公・成歩堂龍一の先祖である大学生・成歩堂龍ノ介が日本だけではなく、当時司法制度の最先端であった大英帝国の首都・倫敦(ロンドン)を舞台に法廷での舌戦をくり広げていきます。時代がさかのぼっているだけあって、血液の痕跡を示すルミノール反応や指紋の採取といった科学的な捜査方法がまだ法的根拠のある証拠品としては認められておらず、『逆転裁判』シリーズとは違ったアプローチで真実に迫っていくことになるのです。19世紀のロンドンならではの事件や謎を楽しむことができるのも、『大逆転裁判』シリーズならではの魅力です。

▲成歩堂をサポートする法務助士・御琴羽 寿沙都(みことば すさと)が語るように、『逆転裁判』シリーズにはなかった陪審員制度をモチーフにした裁判制度も登場。こちらについてはのちほど触れていきます

事実を示す証拠品や論理的な証明が重要になる法廷という場が舞台になる以上、普通に考えれば裁判を扱う作品は現実的な設定や常識的なキャラクターによって作られそうなものです。ところが、『逆転裁判』シリーズは法廷を舞台にしたミステリーゲームでフィクションなので、難しい法律を知らずとも楽しめ、従来の法律ドラマであればあり得ない、「そんなのあり!?」と驚くような展開が数多く用意されています。

作中の事件に関わる人物もかなりぶっ飛んだキャラクターばかりで、まともなようでひと癖もふた癖もあるような人物が並びます。

本シリーズは推理アドベンチャーというジャンルに少なからずあった“作品の舞台は現実的である”という常識を壊し、”何でもあり”なエンターテインメント性の高い推理アドベンチャーという新境地を拓いたと言えるでしょう。

▲ミステリーでは定番の密室殺人から、“瞬間移動実験”で起きた事故といった珍妙な事件まであり、真相を解き明かすという推理アドベンチャーとしての面白さもばっちり備えています

本シリーズの面白さは、強烈すぎるインパクトを持った事件や登場人物、そして事件の謎を解き明かしていく真相解明の快感と、無実でありながら極刑を課せられそうになっている依頼人を救い出すカタルシスにあります。これらの要素をゲームとして楽しませてくれるのが、事件に関する情報を集める“探偵パート”と法廷で論戦をくり広げる“法廷パート”に用意された本作独自の要素です。 

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