Interview

【インタビュー】「幽白」蔵馬役でのデビューから25周年! 声優・緒方恵美がクラウドファンディングで立ち上げた“人生のアルバム”の物語

【インタビュー】「幽白」蔵馬役でのデビューから25周年! 声優・緒方恵美がクラウドファンディングで立ち上げた“人生のアルバム”の物語

『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジ、『美少女戦士セーラームーンS』の天王はるか(セーラーウラヌス)、『幽☆遊☆白書』の蔵馬(南野秀一)などを演じ、近年も『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 The Animation』の苗木誠、『暗殺教室』の堀部イトナなどで数々のファンを魅了する声優・緒方恵美。一方で10枚以上のアルバムをリリースし、自ら作詞曲も手掛けるといったアーティスト活動も盛んに行っている。そんな彼女が、声優活動25周年を記念してクラウドファンディングによるアニソンカバーアルバムを企画。国内にとどまらず、正規の手段・商品で聴くことが少ない海外のファンに向けて、オフィシャルでハイクオリティな楽曲を届けようと計画した。その趣旨は数々の賛同者を生み、2000人以上の支援者と2500万円以上の支援金を集めた。そうして実現したアルバム『アニメグ。25th』が、入手できなかった多くの希望者の声に応え、一般でもリリースされる。アルバムの概要、そして今胸にある気持ちを緒方恵美に聞いた。

取材・文 / 清水耕司(セブンデイズウォー)


日本のアニメの素晴らしい楽曲を海外の人々にも届けたい

選曲の基準について教えてください。

緒方恵美 まず、せっかく海外の方にお届けできる機会ではあるので、日本のアニメの主題歌にはこんな素敵な楽曲がいっぱいあるんだ、ということはお伝えしたいと考えていました。自分の出演してる作品の中から優れた楽曲を、例えばメインキャストではない作品からでも……そして10年前に出した『アニメグ。』で歌っていない楽曲を選びました。でも、そもそもクラウドファンディングが成立しないとCDも出せないですし、成立したとしても(支援額が)どこまで伸びるのかは分からなかったですから。成立したときに入る10曲の他に、(支援達成金額によって実現する)ストレッチゴールの3曲に関しては当初から用意ができていたものもありますし、「交渉し直せるかもしれない」という曲も実はありました。

この曲は入れようと決めていた曲はありましたか?

緒方 まずは好きな楽曲をたくさんリストアップし、その中から、「この作品でこのアップテンポの曲を入れるなら、こちらではこのバラードを」という感じで、全体のバランスを見て決めたので、「絶対にこの曲を入れよう」と最初から決めていた曲はありませんでした。

ストレッチゴールとしては、支援金額が多く集まったおかげで勝生真沙子さん、檜山修之さん、寺坂組(木村昴、はらさわ晃綺、下妻由幸、斎藤楓子)の参加も可能になりました。

緒方 本当に! これが叶うとは、当初は思っても見ませんでした。

勝生さんとのデュエットはこれが最初で最後、と仰っていました。歌ってみての感想はいかがでしたか?

緒方 正直、泣きました。愛していたけれどもう2度と会えないと思っていた彼女(海王みちる)と、再会できて。「Moon Revenge」と「太陽がまた輝くとき」はハイレゾ版で私のソロバージョンをボーナストラックとして付けることになっていて、まずソロバージョンを録ったので、同じブースで入って同時に、ということはなかったんですけど、勝生さんが歌うときはもちろんずっとそばにいました。

檜山さんとは『幽☆遊☆白書』時代に何度かデュエットをされています。

緒方 久しぶりでした。彼はでも、変わらないですね。お互いに思い入れがある作品だったからなのかわかりませんが、合わせたわけではないのにレコーディングでは似たような格好をしていてしまって。服装からまず「何、このデュエット感」って(笑)。

「バイバイ YESTERDAY」は、渕上舞・洲崎綾・岡本信彦・逢坂良太・浅沼晋太郎の5名が「3年E組 うた担」(潮田渚・茅野カエデ・赤羽業・磯貝悠馬・前原陽斗)として歌った、『暗殺教室』のOPテーマでした。それを緒方さん演じる堀部イトナが仲のいい「寺坂組」(木村昴・はらさわ晃綺・下妻由幸・斎藤楓子)で。

緒方 E組では優等生なうた担の曲を、アウトローな寺坂組で歌ったら面白……楽しいと思って(笑)。また寺坂役の木村昴君がラップのとんでもない名手で、彼のラップをたくさんの人に聴いて貰いたくて、それもあってお願いしました。本当に素晴らしいラップが入ったんですけど、それをぶち壊しにするほかの4人という構図(笑)。暗殺教室のチームは、スタッフさんもキャストも本当にみんなが仲良くて。クラウドファンディングをやるというとき、アニメ作品系で最初に相談したのも暗殺教室のメインスタッフチームだったんです。そうしたらみなさん「やるべきだ」「やったほうがいい」と、すごく応援してくれたんです。この楽曲をやると決めたときも、いろいろ許諾が複雑で大変になるハズだったんですけど、実際動き始めたら、「集英社のライツには私たちでもう通してあります」「ジャンプ編集部の許可も」と、各プロデューサーさんたちが……もう「えーっ!?」って感じで。本当にありがたかったです。おかげでそのバックヤードも含めて、『暗殺教室』チームな曲に仕上がったんだと思います。

こういう企画に対して協力してもらえることがありがたい

『アニメグ。25th』を引っさげてのライブも予定されています。

緒方 今回は、クラウドファンディングで初動(枚数)が出ているのは間違いないので、東京と大阪は行けるとして、「どうしてももう1ヶ所、北に行きたい」という話を。最終的に私が(費用を)持つことになったとしてもいいからと、郡山を入れさせてもらいました。

震災以降、緒方さんは現地を訪れ、さまざまな活動をしていますね。

緒方 震災のあと、各県を回ったり、被災地全体のためのチャリティイベント等もさせて頂きました。特に被害の深刻な福島県には、ファンミーティングで行かせて頂いたり、学園祭ライブをお引き受けしたり、としてはいるんですけど、復興にはまだまだ遠いですしね。だから、機会があれば何かしたい。それによって、みんなに福島に足を運んでもらって、一緒にお金を落としてもらおうという思いが大きかったので。それだけじゃなくて、郡山はロックの街。ロック系のライブハウスが多いせいか、ライブをやると熱いんです。すごく楽しい。みんなで盛り上がって、元気になりたかったから!

声優活動25周年を迎え、シンガーとしても『アニメグ。25th』をリリース。どういう気持ちでいますか?

緒方 始めたとき、こんなに続けられるとは露ほども思っていませんでした。シンガーも、声優も。年々、若さを求められる現場が多くなり、雪だるま式に世代交代が速くなっていくこの業界の中で、ここまで残れるとは思ってませんでしたし、ましてやアルバムをまだ出させてもらえているなんて全然……だったので。今、こういう状況になっていることは、本当に幸せなことだと思います。今まで関わらせて頂いた作品・キャラクターの、どれが欠けても今の私にはならない。その感謝をこめて作ろうとしたこのアルバムが、今一緒に仕事をしている、大好きで素晴らしいミュージシャン・音楽関係者・業界関係者の皆さん、また、何よりファンのみなさんが直接協力してくれて出来たということが、本当にうれしく、ありがたく、幸せでした。同じ時代を歩んできた仲間のチカラを借りて、私の25年すべてを詰め込んでできた、文字通り人生のアルバム。ひとりでも多くの方に楽しんで頂けたらと思います。

緒方恵美オフィシャルサイト