LIVE SHUTTLE  vol. 209

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藤木直人が「今日は悔いなく燃え尽きたい」と笑顔で迎えたライヴハウスツアーファイナル公演

藤木直人が「今日は悔いなく燃え尽きたい」と笑顔で迎えたライヴハウスツアーファイナル公演

藤木直人が10月22日に横浜ベイホールにて、全国12箇所15公演におよんだライヴハウスツアー〈Naohito Fujiki Live Tour ver11.1~原点回帰 k.k.w.d. tour~〉のファイナルを迎えた。

取材・文 / 永堀アツオ

バンドサウンドへの純粋な欲求に溢れた、シンプルでストレートながらも高揚感をもたっぷりともたらしてくれるステージ

1995年、俳優活動からスタートし、1999年にシングル「世界の果て~the end of the world~」で歌手デビュー。2001年からはキャパシティを拡大したホールツアーをメインに、富士コニファーフォレストでの野外ライヴや2度にわたる日本武道館公演などを行ってきたが、2000年には1年間で3度のライヴハウスツアーを実施しており、全23公演に及んだライヴハウスツアー〈Naohito Fujiki Live Tour ver3.0〜日本の夏!渡り鳥の夏!緊張?の夏!!〜〉の際には、バンドメンバーやスタッフと共に一台のバンに乗車し、楽器も詰め込んだうえで日本中を回ったという。

そんな彼にとって、今回は実に16年ぶりとなるライヴハウスツアーで、まさに“原点回帰”というタイトルにふさわしく、音楽への情熱──特に、元ギターキッズとしてのバンドサウンドへの純粋な欲求に溢れた、シンプルでストレートながらも高揚感をもたっぷりともたらしてくれるステージとなっていた。

自身の45歳の誕生日となる今年の7月19日にリリースした8年ぶりのシングルに収録されていた「EXCLUSIVE」(2ndアルバム以降の作品プロデュースを務めたシライシ紗トリ提供曲)と人気ロックバンドOKAMOTO’Sによる「Eぜ」からライヴをスタートさせた藤木は「今夜はファイナルだぜ!」と叫び、「無我夢中でやっていたら、あっという間にここにきてしまったんだなって。ホッとしている部分もありながら、寂しいなっていう気持ちにもなるんですけど、今日は悔いなく燃え尽きたいと思います」と挨拶。さらに同会場が「9年前にドラマ『シバトラ』の撮影に使った場所だったことに、昨日来てから気づいた(笑)」と懐かしそうに振り返った。

続いて、モノマネ芸人で女優でもある福田彩乃と会った際に「僕のファンですって言ってくれて。『Wonderful Days』を歌ってくださいって言われた」と語り、「だからというわけではないのですが……」と照れくさそうに前置きしつつ、彼がナビゲーターを務めた冬季オリンピック番組『ソルトレーク2002』のエンディングテーマ「Wonderful Days」をアコースティックギターで甘く優しく歌った。

また、L→Rのヒット曲で、2004年にリリースしたミニアルバム『夏歌ウ者ハ冬泣ク』でカバーしたファンクロック「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック」と、同EPに収録されたL→Rの黒沢健一から提供されたきらめくポップソング「グッド・オールド・サマー・デイズ」を披露する。

その間には、超大型で強い台風の接近による大雨の中で集まってくれた満員の観客を心配しながら、48歳の若さで急遽した黒沢に触れ、「最初にプロデュースしてくれた寺岡呼人さんや、そのあとにプロデュースをしてくれたシライシ紗トリさんに曲を書いてもらっていたんですけど、ほかの方にも曲を書いてもらおうということで、僕の好きなアーティストである黒沢健一さんにお願いしたら、快く引き受けてくれて。去年の12月2日に亡くなってしまって……病気を発表してからあっという間の出来事だったので驚いたし、ショックだったし……あんなに素敵なメロディをいっぱい書かれる方が、あんなに若くして亡くなってしまうのは悔しいです。ただ、彼のヒット曲はいっぱいあるし、これからもみんなに愛され続けていくと思うんです。僕もこうしてカバーさせていただきながら、黒沢さんの魂を引き継いでいきたいなと思っています」とこれからも歌い続けていく決意を語ると、フロアからは温かい拍手が巻き起こった。

ブルースロックやフォークソング、ファンクやゴスペルなど多様なジャンルを横断したアコースティックアレンジによるメドレーでの大きな手拍子と大合唱を経て、ドラマ『母になる』や舞台『音楽劇 魔都夜曲』の台本の上がりを待っている間にメドレーの選曲をしていたと明かしたほか、藤木が、オーディエンスに向けて「みんな俺にどんな役をやって欲しい?」という質問を投げかけると、オーディエンスからは「部長!」「社長!」「医者!」などといった様々な回答の声が上がって苦笑いする場面もあった。

中盤ではダンスロック「タイムトラベル」でタオルが回り、「イー・アル・サン・スー」と中国語のカウントで始めたギターロック「コズミックライダー」で会場を熱く盛り上げ、寺岡呼人に楽曲提供を依頼した最新曲「Speed★Star」をアグレッシブにプレイ。「Go for it!」ではハンドマイクを握り、バンドメンバーと肩を組んで歌い上げ、観客全員で右手を高々と掲げながら叫ぶ。

そして、出会いの感謝を綴ったディスコナンバー「サンクフル☆エブリナイ」、生きる歓びに溢れた「パーフェクトワールド」「ミチタリタセカイ」によってハッピーなバイブレーションに満ちるなか、みんなでジャンプし、ステップを踏み、音楽の楽しさを共有したロックンロール「OH! BROTHER!」を経て、エレキギターを聴かせるロックバラードにアレンジされた「まっしろいCANVAS」で本編は終了。10年以上前に作った楽曲には「当時の自分の身近な想いや悩みが表れているんですけど、今、新たにもう一回歌いたいと思い、新しくアレンジしました」というメッセージが込められており、観客はその想いをしっかりと受け取るように、静かに耳を澄ませていた。

アンコールでは、ステージ中央にバンドメンバーが集結し、アコースティックギター2本に、アコースティクベース、スネアドラムとピアニカというアコースティック編成で、マイクやアンプをほぼ通さずに「七色」を演奏。メンバーによる美しいコーラスもはっきりと聴こえるなかで、観客は手拍子をしながら一緒に合唱。客席とステージが近いライヴハウスツアーならではの醍醐味と温かさを感じる貴重なシーンだった。

そして、再来年の2019年にCDデビュー20周年を迎えることに触れた藤木は「原点回帰、いろいろこだわりがあって付けたタイトルではないんですけれども、いつかまたライヴハウスを回ってみたいなと思っていたし、何よりも楽しみたいと思って実際に回ってきたツアーで、本当に楽しかったです。ツアーを重ねるごとにピアノやトランペット、ダンスとかいろんなことをやってきたので、20周年はそういう華やかなツアーにしたいなと思ってます。またライヴハウスも回りたいと思うので、苦じゃなかったら、また参加してください(笑)」と語り、“道なき道を僕等は行くよ”“終わらない旅は続く”という“これから”への期待も感じさせる「陽の当たる場所」を歌い、「楽しかったよ。みんなありがとう。愛してるぜ!」と叫び、ステージをあとにした。

藤木が去ったあとの場内では、彼のデビューシングルである「世界の果て~the end of the world~」の大合唱が始まった。やがて、“駆け抜けてゆこう 果てしない未来へと/終わらないうたが 闇の向こうに響いている”というフレーズに誘われるように藤木とバンドメンバーが再登壇し、ダブルアンコールが実現した。スペシャルゲストとして、藤木のツアーダンサーで振付師&俳優の岡口貴志を迎え、「Hey Friends」を歌い、踊り、「幸せでした。どうもありがとう。また会おうね!」と手を振り、国内のツアーを締めくくった。

シングルのインタビュー時には「ツアーのMCで話すと思います」と言っていたツアータイトルにある“k.k.w.d.”という略語の意味については結局、話さずじまいだった。ツアーグッズのチラシには“w.d.”=“ワクワクドキドキ”とあるが、“k.k.”は“キラキラ”なのか、“こどもにかえる”なのか……いろいろと頭を巡らせてみたけれども正解はわからない。なので、藤木さん、次回のインタビューで答えを教えてください!(笑)

Naohito Fujiki Live Tour ver11.1~原点回帰 k.k.w.d. tour~ 2017.10.22@横浜ベイホール SET LIST

M01. EXCLUSIVE
M02. Little wing
M03. Eぜ

M04. Wonderful Days
M05. アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック
M06. グッド・オールド・サマーデイズ。
M07. メドレー(T-ROX〜ティラノザウルス・ロック/Sweet So Long…/哀しみの花/SAMURAI FUNK/Hallelijah)
M08. シュクメイ
M09. タイムトラベル
M10. コズミックライダー
M11. Speed★Star
M12. Go gor it!
M13. サンクフル☆エブリナイ
M14. パーフェクトワールド
M15. ミチタリタセカイ
M16. OH! BROTHER!
M17. まっしろいCANVAS
EN01. 七色
EN02. 陽の当たる場所
W-EN. Hey Friends

Naohito Fujiki Live Tour ver11.1~原点回帰 k.k.w.d. tour~ アジア公演

in Hong Kong
2017年11月15日(水)マクファーソンスタジアム(香港)

in Taipei
2017年11月17日(金)ATT SHOW BOX(台北)

藤木直人(ふじき・なおひと)

1972年生まれ。早稲田大学理工学部情報工学科卒。在学中に映画『花より男子』〈花沢類〉役に抜擢され、1995年にデビュー。その後も、NHK朝の連続テレビ小説『あすか』や『ナースのお仕事』(CX)シリーズ、『Love Revolution』(CX)、『ホタルノヒカリ』(NTV)をはじめ、映画『g@me』、『20世紀少年(第2,3章)』などに出演、注目を集める。2008年には『冬の絵空』で初舞台。役者活動と並行して音楽活動を本格的に開始し、1999年7月に「世界の果て~the end of the world~」でCDデビュー。2006年、2007年には2年連続で日本武道館での単独ライヴも行っている。2017年7月にシングル「Speed★Star」を発表。近年の出演作には『母になる』(17/NTV)、『嘘の戦争』(17/CX)、『THE LAST COP/ラストコップ』(16/NTV)、『私結婚できないんじゃなくて、しないんです』(16/TBS)、などがあるほか、『おしゃれイズム』(NTV)や『TOYOTA Athlete Beat』(TOKYO FM)にてレギュラーパーソナリティも務める。2018年のNHK大河ドラマ『西郷どん』への出演も決定している。
オフィシャルサイト

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