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『ポケモンGO』と『Ingress』が教えてくれたARの冒険

『ポケモンGO』と『Ingress』が教えてくれたARの冒険

何気ない日常に彩り豊かな体験が満ち溢れていることを伝えるため、AR(拡張現実)を活かして人々を外の世界に導こうと、これまでさまざまなチャレンジを行ってきたNiantic, Inc.(以下、ナイアンティック ※1)。その中でも、2016年7月から各国でリリースした『Pokémon GO』(以下、『ポケモン GO』)と言えば、スマートフォン向け位置情報ゲームとして社会現象を起こした大ヒット作だ。最近では、ポケモンファンが待ち望んだ伝説のポケモンが続々と現れ、トレーナーたちが捕まえる機会を得られるレイドバトルはさらなる盛り上がりを見せている。

本記事では誰もが知る存在となった『ポケモン GO』と、その基盤にもなっている位置情報ゲーム『Ingress』の関係性、そしてARが与えてくれる体験を元にフィールドワークのすばらしさを知ってもらうため、もう一歩踏み込んだ提案をしていく。

(※1)ナイアンティック:AR(拡張現実)と位置情報技術を用いた”リアル・ワールド・ゲーム”のアプリケーションを開発・運営しているアメリカ合衆国の企業

文 / 深津庵


ふたつの拡張現実が共有する世界の魅力

位置情報ゲーム『ポケモン GO』と言えば、位置情報を使って世界各地に出現するポケモンを追い求め戦っていくフィールドワークが大きな魅力だ。

プレイヤーはチームヴァーラー(赤)、チームミスティック(青)、チームインスティンクト(黄)の3つのチームから好きものを選び、ポケモンを育てるトレーナーとしてポケストップやジムといったスポットを巡るのだが、それらにはこの現実世界に存在するさまざまなスポットとそれを示す写真が登録されている。それらのデータは、2017年11月に5周年を迎える同社の位置情報ゲーム『Ingress』が深く関連しているのだ。

このゲームはレジスタンスとエンライテンド、ふたつの陣営に分かれたエージェントたちが世界中に存在するポータルというポイントに自ら出向いて奪い合い、自陣営のポータルを線で結んで三角形の陣地を構築していく陣取りゲーム。そこで使われているポータル情報が、『ポケモン GO』のポケストップやジムに活用されているというわけだ。

▲『ポケモン GO』にはポケモンをゲットすることやジムバトルといった遊びがある。一方の『Ingress』では世界規模の陣取りやミッション(スタンプラリー的な遊び)など、それぞれ位置情報を使って各地を巡る楽しみがあるぞ

ポケストップやジムに設定されている写真やスポットのほか、それに関する簡単な概要の多くが『Ingress』エージェントたちの手によって集められている。

過去にエージェントたちが申請したいスポットに直接出向き、その場で『Ingress』内の機能を使って正しい位置と名称を入力し、自らが撮影した対象物の写真を添えてナイアンティックに申請し、承認されたものが『Ingress』のスキャナ(ゲーム画面)上に、さらにその一部が『ポケモン GO』へと反映されているのだ(現在、本機能は高レベルのエージェントのみ利用可能)。

申請対象となるのは歴史的建造物や芸術的なオブジェクト、商業施設などで、それらを探すこともエージェントたちに与えられた遊びのひとつ。双方のエージェントたちは拡張現実を広げていく重要な任務に携わっているのだ。

▲『Ingress』でポータルと呼ばれているものが、『ポケモン GO』ではポケストップやジムとして活かされている。最近ではポータルの承認作業を特定の条件を満たしたエージェントたちが迅速に行える

観光地にもなっているポケストップやジムの中には地元の人でも知らない隠れたスポットも存在する。それらに近づいてアイテムを入手したりジムバトルを仕掛けるとき、多くのトレーナーはゲーム画面上で完結させてしまうのだが、それで終わるのではなく足を止め、目線を現実世界に戻して周囲をじっくり見渡してほしい。

きっとそこでは、ナイアンティックが構築してきたプラットフォームが導いてくれた、ふだんなら見落としていたかもしれないさまざまなスポットに出会うことができるはずなのだ。

▲観光ガイドでは取り上げないローカルスポットも『ポケモン GO』や『Ingress』があれば知ることもできる。ゲームをナビとして使い、しっかり現実世界に目を向けて探索しよう。ちなみにこれは、筆者が埼玉県の越谷駅から徒歩で探索しているときに発見した元荒川橋にある鳩の彫刻だ。何気ないオブジェクトだが、季節や時間帯の効果でせつなく目に入った

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