Interview

ゲームプロデューサー岡本吉起氏が語るゲームへの熱情(上)僕は近距離型スタンド使い

ゲームプロデューサー岡本吉起氏が語るゲームへの熱情(上)僕は近距離型スタンド使い

ゲームはあまり好きではないが…

意外ですよね。岡本さんは部下を大事にするし、仲間意識もすごい強い気がするし、人を育てようという気も強いと思うし。

岡本 完全に勘違いですね。

勘違いですか(笑)。では、コンピューターゲームに対する思いというのは、どのあたりから始まったんでしょうか。ゲーム自体はそんなに好きではないという発言を過去にされているとも聞いているんですけど。

岡本 あの……あんまり好きじゃないのはホントですね。

やっぱり、そうなんですか。

岡本 はい。多分、僕がゲームをしているのを見た事がある人は、ほとんどいないと思いますよ。もちろん、僕がアーケードゲームを作っているときにアーケードゲームをしているのは見ているでしょう。コンシューマーゲームを作っているときはコンシューマーゲーム、ソーシャルゲームを作ってるときはソーシャルゲームをしているのは見ていると思います。

でも、アーケードゲームを作っているときにコンシューマーゲームを遊んでいるのを見たとか、コンシューマーを作っているときにゲームセンターにいるところを見たなんてことはないはずです。その、なんて言いますかね……やり過ぎることに対する恐怖感があるんですよ。

それはハマってしまうってことですか?

岡本 そうです。ゲームもモノですからね。さっきも言ったように興味を持っちゃうんです。で、興味を持ったら究極まで攻めたくなるんですね。それで、何が起こるかって言ったら、誰もついてこない世界にいっちゃうんです。

もし、僕が『ストリートファイターII』が好きだとすると、多分世界一のプレイヤーを目指しちゃう。『バイオハザード』も別に豆腐(注3)で遊びたいわけじゃないです。でも、極めようとしたら結局そこにいっちゃう自分がいて、その部分を面白くしようよって言っちゃうんです。客観視できないんですよ、自分のことを。だから、ほとんどのゲームユーザーの層がいるんだってところに自分を留めておきたいんですよ。

注3:『バイオハザード2』の隠しシナリオ「The 豆腐 Survivor」のこと。豆腐の姿をしたキャラクターを操作するコミカルなモードながら非常に難易度が高く、当時のコアゲーマーたちに好評を博した。

常にその視点を持って、作ったり遊んだりしていきたいということですか。

岡本 そうそうそう。なので、僕はちょっとこう引き気味……いやちょっとじゃない、かなり引き気味にゲームを遊んでます。今、僕は『モンスターストライク』っていうゲームに関わっていることになっているし、遊んでいるっていう体になっていると思うんですけど、僕はほとんどクリアできてないです。だから、文句言いまくってますね、開発チームに。いや、できねえよって(笑)。

そうなんですか?

岡本 だって難しいもん。もっと簡単にすればいいだろうって。少なくとも課金したら楽にさせてくれって言っているんですよ。課金しても楽にならないって誰が作ったんや、顔が見てみたいわって文句タラタラ言ってます(笑)。

誰が作ったんでしょうね(笑)。

岡本 いやいや、難しくしたのは僕じゃないです。この子らに任せるって決めているんで、そこに対して口出しはしないけど、聞いてもらったら意見はいつでも言うでっていうスタンスです。でも、意見を言っているのに聞いてもらえない(笑)。仕方ないんですよね。意見だけ言うとったらええっていうポジションにされているから。

向こうも一応聞くよという感じで。

岡本 しゃべっとったらええがなと。だからまあ、なんて言うんですかね。元『モンスト』の開発チームの人みたいな。今はそんなポジションです。

自分のオモチャと友達のビデオゲームを交換して手に入れた

ちょっと話が戻りますけど、ビデオゲームとの出会いっていうのは、やはり『スペースインベーダー』あたりですか。

岡本 家庭用テレビゲームの『テニス』ですね。小学生の時に弟の同級生が持っていて、僕が持ってたオモチャと交換してもらったんです。

アナログのオモチャとビデオゲームを交換したんですか!?

岡本 そうです、わらしべ長者的な。純粋な交換ですよ? 『テニス』をやったら分かりますけど面白くないんですよ。

確かに最初はビックリするけど、ちょっとやったら飽きますね。

岡本 すぐ飽きる、すぐ飽きる。だから、その子もいらなくなって、もうオモチャ箱の奥にしまってたんですよ。それで、「うわ、コレええなあ」「え、欲しいスか? じゃあ、どうぞ」みたいな感じだったんだけど、小学生同士でオモチャをもらって帰るのはちょっと難しいから、これと交換ってことで持ってたオモチャをあげた。何をあげたかは覚えていないけど、「こんなモンでいいのか」みたいなものだったと思います(笑)。

それが、ビデオゲームとの出会いですか。

岡本 一番最初の出会いで、ホントに秒速で飽きましたね。「オレが操作したのが動く、すげえ!」とか思うけど、それで終わりで、すぐに押し入れの奥にいっちゃいました。邪魔だもんね、テレビの前にあったら。それが、僕のビデオゲームとの出会いです。で、『ブロックくずし』はやってなくて、次は『スペースインベーダー』。高校生のときで、ハマって家の金をちょっとアレしたりしてね。なんて言うのかな……無断で借りて?

無断でね(笑)。

岡本 それを毎日持って喫茶店に行って、両替したヤツを積んで、ピョンピョンピョンピョン(インベーダーの効果音)って。アイスコーヒーを飲みたくもないのに飲み、帰りのバスを逃し。それでもずっとやってましたけど上手くはならなかったですね。

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