Interview

ゲームプロデューサー岡本吉起氏が語るゲームへの熱情(中)コナミからカプコンへ渡った男

ゲームプロデューサー岡本吉起氏が語るゲームへの熱情(中)コナミからカプコンへ渡った男

ヤカラ系に見えるけど理論派のゲームチューニング理論

僕が安田朗さん(あきまんさん)(注9)と対談したとき、岡本さんがカプコンにゲームのチューニング理論を持ち込んだっていう話が特に印象的だったんですよ。ゲームをユーザーとか市場とかに合わせてチューニングするっていう理論や考え方を持ち込んだのは岡本さんが最初だって。

注9:「あきまん」のペンネームで知られるゲームクリエイター、イラストレーター。緻密なドット絵に定評があり、カプコン時代に『ストリートファイターII』などのグラフィックを手がけた。『∀ガンダム』のキャラクターデザイン、『ガンダム Gのレコンギスタ』のメカデザインを手がけるなど現在も第一線で活躍中。

岡本 ヤカラ系に見えるけど理論派なんですよね、実は。完全理系で、僕の中では違和感ないんですけど、みんなギャップだって言いますよね。「ホントですか?」とかって。でも、相当理論立ててモノを作ります。

それはやっぱり『モノポリー』とかボードゲームなどの経験がモノを言っているんですか?

岡本 う~ん、もちろん最初のところはそこだと思うんですけど、一番は自信がないんです、自分に。自分に自信がないから、すべてを明文化しているんですよ。その理屈をずーっと追及し続けて、そこに新しい言葉を追加し、前の言葉を修正しながらやってきたんです。だから後輩にはこうやるんだってことを言葉でちゃんと教えられるし、僕のチームは安打製造機みたいになって、ずっとヒットを打ち続けられたんです。でも、そんな風に見てもらえないのはちょっと残念よね。

何ていうんですかね。天才性が目立ちすぎているように見えるんですよ。

岡本 天才性なんてどっこにもないですよ。

いやでも、すでにもう3冠達成しているじゃないですか。アーケード、コンシューマー。スマホでしょ? それってもうね、ちょっとレベルが違うと思うんですよね。

それで、僕が岡本さんを詳しく知らなかったときは、とにかくゲームってものが好きで、自分がやってきたゲームの経験とかナレッジを活かして作ってると思っていたんですよ。でも、あきまんさんに言わせると、もちろんそれもあるけど、それだけじゃなくて、市場に対して的確にチューニングのバランスを取って出してるから当たるんですよと。そこに僕はすごいビックリしたんですよ。

岡本 白鳥みたいなもんですよ、だから。水中では足をすげえバタバタさせてます。だって、みんな早く帰りますけど、僕はずーっと会社に泊まってましたもん。あきまんもそうですけど。

イタズラするのが好き

そういえば会社で寝ている人にイタズラするエピソードはいっぱい聞きましたよ。寝ている人の口に塩を入れたとか、チャッカマンで足に火をつけたとか。

岡本 あ~、その話いきます? 突っ伏しているヤツをガムテープでキッチキチに巻いたりとかね。で、グルグル巻きにしてパーンって起こすんですよ。そうしたらバタバタバタッていって(笑)。

ひどいなあ(笑)。

岡本 寝ているヤツの口のあたりに水を撒いてびっちょびちょにしておくなんてこともやった。そうするとヨダレを垂らしたと勘違いするんですね。起きたらティッシュで一生懸命拭いてました。こんなヨダレ垂らしたのかって(笑)。

あと、風呂場でシャンプーしているヤツの上からまたシャンプーかけたりとか。シャンプーって冷たいんで桶にお湯を入れて、その中にシャンプーのボトルを入れて温めておくんです。そうやって温くしておいて、そうっとかけるとですね。なんとエンドレスで気がつかれないんです。で、ソイツに大丈夫かって言ったら、「ちょっとシャンプー使いすぎちゃって、ぬめりが取れないんです~」「泡が泡が~」って。まあ、そうだろうなと、ボトル1本いってますからね(笑) そういう罪のない遊びをするのが好きなんです。

罪ないのかなあ~。

岡本 イタズラ好きなんですね。しかも、今までなかったことをやってみたい。エロっぽく言いますよ? 「新しいことしたい」、分かります? 新しい「こ」としたい。新しい「こ」とやりたい。「こ」を「娘」に変換したりしないでくださいね。

アハハハ。そういえば、あきまんさんの話で、もうひとつ面白かったのがありまして。これはクリエイティブを目指してのことだと思うんですけど、女性のクリエイターに銃とかマシンガンを持たせて構えろって言ったと。で、その人は「そんなことやれるわけありません!」って言うんだけど、岡本さんは「バカヤロー、何言ってるんだ! それをやるんだ!」っ言って、すごい指導してたと。

岡本 あの~、銃を撃つ系のゲームとか作ってるときは、やっぱりね。ちゃんとしっかり構えてもらいたいでしょ? 『バイオハザード』でも『ロストワールド』(注10)でも、それは当たり前じゃないですか。

注10:1988年にカプコンからリリースされたシューティングゲーム。コンシューマー移植版のタイトルは『フォゴットンワールド』。

確かに、やってみないと分からないですよね。

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