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大ヒット記録中、『Fate [HF]』は“ufotableの技術の粋を集めた作品に”。キャスト&スタッフ大集合で迎えた公開初日・詳細レポート

大ヒット記録中、『Fate [HF]』は“ufotableの技術の粋を集めた作品に”。キャスト&スタッフ大集合で迎えた公開初日・詳細レポート

ビジュアルノベルゲームを原作とする人気アニメシリーズ『Fate/stay night』。その最新劇場作品となる劇場版『Fate/stay night [Heaven’s Feel]』I.presage flowerが、2017年10月14日より全国で上映開始となった。公開初日には東京・新宿バルト9にて舞台挨拶が開催され、2回に渡って行われた舞台挨拶のうち今回は第1回目の模様をお届けする。

取材・文・撮影 / 鈴木遼介(セブンデイズウォー)


[Heaven’s Feel]とは、原作『Fate/stay night』内で分岐する3つのストーリーの最後をエピソードを映像化した劇場作品。メインヒロインの一人・間桐 桜を中心として描かれており、[presage flower]は第一章に相当する。

新宿バルト9のシアター9で催された1回目の舞台挨拶は、9:00の回の上映後にスタート。会場には400名以上のファンが集まったほか、イベントの模様を中継するライブビューイングも行われた。

イベントがスタートすると、司会進行を務めるアニプレックスの高橋氏に招かれ、メインスタッフから監督の須藤友徳、キャラクターデザインの碇谷敦、美術監督の衛藤功二、撮影監督の寺尾優一、制作プロデューサーの近藤光が登壇。続いて、キャストから衛宮士郎役の杉山紀彰、間桐 桜役の下屋則子、セイバー役の川澄綾子、言峰綺礼役の中田譲治、ランサー役の神奈延年と総勢10名もの豪華ゲストがステージに現われ、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

登壇者らが挨拶を終えたのち、公開初日を迎えられた感想を尋ねられた須藤監督は「私も大好きな[Heaven’s Feel]という物語、桜というキャラクターをみなさんに届けることができて安堵しています。3部作それぞれに一言ずつテーマを決めまして、[Heaven’s Feel]では『日常の崩壊』がコンセプトでした」と、第一章では崩壊に至るまでの日常描写を丁寧に作り上げてきたと説明。そんなスタッフ達の熱意を収録から完成後の試写まで見つめてきたキャスト陣も本作への熱い思いを語ってくれた。

杉山 ものすごい密度の情報量が込められた作品で監督の愛をひしひしと感じました。今回演じた士郎も、これまで演じてきた彼のキャラクターと根幹は変わりませんが、些細な出来事の違いによる心情変化がとても丁寧に描かれています。リハーサルでは先の展開が気になってセリフのチェックを忘れてしまったほどです。

下屋 今回のイベントのために、キービジュアルの桜ちゃんと同じ白いワンピースを着させていただきました。今回の劇場版は、原作では描かれていなかったような細かい描写まで須藤監督が補完されて驚くばかりでした。桜はこれまでのエピソードでも登場していますが、[Heaven’s Feel]で彼女にスポットがあたることによってこんなにも視聴者に与える印象が違うということにびっくりしています。十数年、桜を演じていますが、この作品で一から桜と向き合って演じることができました。

川澄 画面から受け取るエネルギーの凄さを実感して衝撃を受けました。冬木の街の美しさも感じつつも、自分が聖杯戦争に呼ばれた存在なんだということを客観的にとらえることができました。[Heaven’s Feel]はこれまでとは異なるサーヴァントとのバトルシーンが描かれるので、相手が違えば戦い方も違うという面白みも感じました。

中田 涙ぐまれるお客さんがいてくだっただけで十分。それが答えだと思っています。原作では読み飛ばしてしまうようなキャラクターの細かい描写まで監督が描いてくださっています。私の演じる綺礼は士郎に聖杯戦争を語る役として登場しますので、この場面は何度も演じてきました。ですが、年齢を重ねる中でどんどんこのシーンの難しさをあらためて実感しています。

神奈 頬を掻く音まで聞こえるという細部のこだわり、細かい芝居がキャラクターの心情にまでつながっている。その一連の演出が見事ですね。ずっとランサーを演じてきましたけど、本作でまた惚れ直しました。キャラクターのかっこよさに負けない芝居を続けるというのも結構大変なので、僕もスタジオで役と相対して真剣勝負が出来たことに感謝しています。

一方、制作におけるこだわりを聞かれた須藤監督は「私は今回監督として携わらせていただきましたが、演出の大部分はほかの方にお願いして総作画監督として絵作りの部分に注力して作業していました。このような作り方は珍しいんですよね」と、キャラクターの絵作りになみなみならぬ情熱を注いでいたことに言及。これを受けて碇谷は「須藤監督が描いた絵コンテを具現化するのが僕の役目でした。撮影処理もこれまでのシリーズからバージョンアップしているので、かなり派手に演出されているのがお分かりになったかと思います。近藤プロデューサーから『枚数無制限で大丈夫』と言われたので結構好きにやらせていただきました。実は作っていると途中の映像を見た瞬間から『これ売れるんじゃないかな』って思っていたんですよ」とコメントし、会場の笑いを誘っていた。

また、美術を担当した衛藤は「『Fate/Zero』や『UBW』(Unlimited Blade Works)といった以前のシリーズは魅せる背景ということにこだわってきましたが、今回はキャラクターの心情描写を邪魔しないような日常的な背景を描くことにこだわっています。一面雪のシーンがあるのですが、雪ってディティールが描きこめないので表現が難しいんですね。かなり難しかったのですが、背景とキャラクターがリンクして桜の心情を読み取ってもらえるとうれしい」と制作の苦労を語ると、寺尾も「視認できないくらいのちょっとした明暗のニュアンスが僕の作業のこだわり。日常芝居が多い第一章の中でふとした違和感を感じていただき、感情が動いてもらえばうれしいです」と、緻密に計算された撮影処理の見どころを教えてくれた。

そして、本作の制作を担当したufotableの代表でもある近藤は「この作品でまた一歩、スタジオを前に押し進めることができたと思います。常日頃からスタッフみんなが個人的に勉強してくれていて、毎回映像は進化していますし、この本作も我々の技術の粋を集めたような作品になりました。キャストさんは言及してなかったけど、僕らの直したコンテに付き合って再度収録したシーンもあります。ぎりぎりまで作業していて2時間という尺に映像が収まったのもつい最近のことです。でも、とても満足のいく仕上がりになりました。試写を見終わった後、作った当事者の須藤監督が言うんですよ。『桜、かわいかった』って」と、須藤監督のエピソードも交えて制作秘話を披露すると、会場から大きな拍手が沸き起こった。

その後、ステージ上には本作のテーマソングを担当したAimerが登壇。ピアノの弾き語りとともに「花の唄」を熱唱すると、しっとりとしながらも鬼気迫る迫力のボーカルで場内のファンを魅了。最後に須藤監督が「2時間という長丁場の中、影に体力を吸われた士郎のようにごっそりと疲れたかと思いますが、私たちは今後も二章三章と頑張って制作を続けてまいりますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。」と挨拶し、約一時間に渡るプレミアムなイベントを締めくくった。

会場のファン、登壇したゲストも涙を浮かべる一幕があった本イベント。作品に関わるすべての人々から大きな愛情が感じられ、素敵な時間が流れていた。才能あふれるクリエーターたちが技術と情熱の粋を集めて制作した『Fate/stay night』の集大成ともいえる物語。その驚愕と感動をぜひ劇場で体感してほしい。

劇場版『Fate/stay night[Heven’s Feel]』Ⅰ.presage flower

2017年10月14日(土)より公開中
配給:アニプレックス

©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC

劇場版「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」公式サイト