佐藤剛の「会った、聴いた、読んだ」  vol. 17

Column

ドラマ『陸王』とリトグリが最初に出会ったのは4月28日の夜だった

ドラマ『陸王』とリトグリが最初に出会ったのは4月28日の夜だった

池井戸潤の原作によるTBSドラマ『陸王』は奇跡を起こすことを信じて、夢を追って生きる人たちの物語だ。

初回の2時間スペシャルは14.7%の高い視聴率を獲得したが、その後も第3回で15%を記録して話題になっている。

そして主人公を演じる役所広司の心情を表すシーンに流れる歌声、Little Glee Monster(リトグリ)の「ジュピター」にも注目が集まっている。

11月5日の第3回は、奇跡の素材を生み出すことに挑み続けるというストーリーだった。

それを観ていて、ぼくが途中からぐいぐいとドラマに引き込まれたのは、自分が体験してきたことに重なるところがあったからである。

そのために、物語の展開や役者の芝居を面白いと思いながらも、心の奥のほうでチリチリとした鈍い痛みを感じていた。

しかし後半になって主人公が追いつめられるシーンで、リトグリの歌う「ジュピター」が流れてくると、それまでの痛みがいつのまにか消えてなくなった。

これ以上ないという決定的なタイミングで、決定的な歌声が流れたからだ。

それは生きている人間の歌声と音楽によって起きる、奇跡のような瞬間だったと思う。

Every day I listen to my heart
ひとりじゃない
深い胸の奥で つながってる

そこからは主人公だけではなく、彼とつながって夢を追っている人や、彼を支えている人たちにも、明らかに希望が広がったようであった。

この演出の上手さには、ほんとうに驚かされた。
そして全体の音楽がとてもよく出来ているからこそ、相乗効果が発揮されたのだということにも気づいた。

聞くところによると、『陸王』のプロデューサーのひとりである伊與田英徳さんは、今年の春に渋谷でのリトグリのステージを観て、その歌声に感銘を受けたことから、ドラマへの起用を考えたのだという。

音楽はこうして人に届くのだ。

リトグリはその夜、2014年にメジャーデビューしてから共に歩んできたメンバーのひとり、麻珠が活動休止を発表してから初めてになる、5人体制でのライブを行った。

グループから人が減ってしまった時のコーラスは、根本から再構築しなけれなくなるので、曲によってはハーモニーも作り直しになってしまう。

6人から5人になったことで、それを短期間のうちに成しとげねばならない状況に追い込まれた彼女たちが、そこから費やしたエネルギーと努力は相当なものだったに違いない。

ライブを終えたあとのコメントには、そのことが表れていたと思う。

MAYU 本当にドキドキでした。でもそれ以上にファンの方も色んな気持ちを抱えてきてくださったと思います。それでも皆さんライブに来てくれて、私たちも終わったあと安心しましたし、ファンの皆さんにも安心してもらえたと思います。今日から新しい始まりになれた、いいスタートが切れたと思いました。
manaka 合宿や練習をたくさんして今日を迎えました。不安は大きかったけど、久しぶりにファンの方の顔を見ながら歌えることが凄く楽しみでしたし、実際に歌い終えて、新曲がどれだけいい曲かも伝えられたライブになってたらいいと思ってます。これからも自信をもって5人で頑張っていきます!

そういえばと、そこからさらに思い出したのは、メンバーの芹奈がステージから観客に向かって、真剣に語った言葉の数々だった。

「今日はどうしてもここで歌いたかったんです。私たちがはじめてワンマンライブをしたのがここなんです。新しい気持ちになって、熱い思いをもってこのステージに立っております」と話し始めてから、芹奈は時には声をつまらせながらこう続けた。

この夢を本気で叶えようとしています。
この気持ちはそんなに簡単な気持ちじゃないです‥‥。
いま夢を語りながらも、自分たちにプレッシャーをかけている状態です。
夢が大きすぎて‥‥、叶うのか分からないと思うかもしれないけど‥‥、
私たちは本気で叶えに行こうとしています。
なので、今の私たちを全力で応援してほしいです。

驚くべきことにその言葉はそのまま、ドラマ『陸王』の主人公を始めとする登場人物たちの熱い思いと、見事に重なってくるものだった。

『陸王』とリトグリが最初に出会ったのは4月28日の夜、東京・渋谷にあるライブハウスだったのである。

そこにぼくが居合わせたことにも、もしかすると何らかの意味があるのかもしれない。

最後に敬愛するテレビドラマのディレクター&プロデューサー、作家でもあった久世光彦さんの名言を紹介したい。

歌には奇跡を起こす力がある。

ちなみに久世さんはTBSの社員として、1970年代に『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』『ムー一族』などのドラマを手がけて一世を風靡し、“ドラマのTBS”という時代を作り上げた伝説の人である。

久世さんは今ごろ、TBSの後輩たちの仕事ぶりを見て、あの世で微笑んでいらっしゃるに違いない。

〈参照コラム〉

サンフランシスコで確信した無名の少女たちの限りない可能性~Little Glee Monster

サンフランシスコで確信した無名の少女たちの限りない可能性~Little Glee Monster

2017.01.18

リリース情報

Little Glee Monster

10thシングル
「OVER/ヒカルカケラ」
2017年11月8日Release

初回盤 SRCL-9620~21
1,OVER
2,ヒカルカケラ
3,放課後ハイファイブ -Live on 2017.9.18-
4,ヒカルカケラ -instrumental-

DVD
明日へ Music Video
明日へ Jacket Making

通常盤 SRCL-9622
1,ヒカルカケラ
2,OVER
3,My Best Friend -Live on 2017.9.18-
4,OVER -instrumental-

アニメ盤 SRCL-9623
1,OVER
2,ヒカルカケラ
3,だから、ひとりじゃない -Live on 2017.9.18-
4,OVER -TVsize-

OVER・・・テレビ東京系アニメーション「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」オープニングテーマ

ライブ情報

2018年2月3日(土)/4日(日) 横浜アリーナ 2Days
3月24日(土)/25日大阪城ホール2Days
http://www.littlegleemonster.com/live2018/

Little Glee Monster2017秋ツアー「Let’s Grooooove !!!!! Monster」

http://www.littlegleemonster.com/tour2017-autumn/

09月02日(土)千葉県・市原市市民会館
9月3日(日)茨城県・茨城県立県民文化センター
9月7日(木)埼玉県・大宮ソニックシティ
9月10日(日)新潟県・新潟県民会館
9月15日(金)北海道・道新ホール
9月16日(土)北海道・道新ホール
9月18日(月)神奈川県・パシフィコ横浜
9月21日(木)大阪府・フェスティバルホール
9月23日(土)岡山県・岡山市民会館
9月24日(日)香川県・レクザムホール
9月30日(土)静岡県・富士ロゼシアター
10月1日(日)埼玉県・狭山市市民会館 大ホール
10月7日(土)愛知県・幸田町民会館
10月9日(月)山梨県・河口湖ステラシアター
10月14日(土)滋賀県・びわ湖ホール 大ホール
10月15日(日)奈良県・なら100年会館 大ホール
10月20日(金)石川県・本多の森ホール
10月21日(土)富山県・高周波文化ホール
11月3日(金)三重県・四日市市文化会館
11月5日(日)宮城県・東京エレクトロンホール宮城
11月12日(日)群馬県・桐生市市民文化会館
11月17日(金)愛知県・名古屋国際会議場センチュリーホール
11月19日(日)東京都・東京国際フォーラムA

Little Glee Monster公式ホームページ
http://www.littlegleemonster.com/

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著者プロフィール:佐藤剛

1952年岩手県盛岡市生まれ、宮城県仙台市育ち。明治大学卒業後、音楽業界誌『ミュージック・ラボ』の編集と営業に携わる。
シンコー・ミュージックを経て、プロデューサーとして独立。数多くのアーティストの作品やコンサートをてがける。2015年、NPO法人ミュージックソムリエ協会会長に就任。 著書にはノンフィクション『上を向いて歩こう』(岩波書店、小学館文庫)、『黄昏のビギンの物語』(小学館新書)、

美輪明宏と「ヨイトマケの唄」 天才たちはいかにして出会ったのか

著者:佐藤剛
出版社:文芸春秋

三島由紀夫、中村八大、寺山修司・・・・・・

時代を彩った多くの才能との邂逅、稀代の表現者となった美輪明宏の歌と音楽に迫る、傑作ノンフィクション!

「自分以外の人によって、己れの人生を克明に調べ上げ語られると、そこには又、異なる人物像が現出する。歴史に残る天才達によって彩色された果報な私の人生絵巻が、愛満載に描かれていて、今更ながら有難さが身に沁みる」――美輪明宏

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