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石渡真修・鮎川太陽・櫻井圭登らが意欲的な舞台で可憐に歌い観客を魅了する。ミュージカル「『魔界王子 devils and realist』the Second spirit」開演!

石渡真修・鮎川太陽・櫻井圭登らが意欲的な舞台で可憐に歌い観客を魅了する。ミュージカル「『魔界王子 devils and realist』the Second spirit」開演!

ミュージカル『魔界王子 devils and realist』the Second spiritが、新宿FACEにて、11月4日(土)から上演中だ。

原作は人気作家の高殿円と彼女の原案を元に漫画化した雪広うたこの人気コミックの『魔界王子 devils and realist』。舞台は、昨年6月に初演が上演され、瞬く間に好評を博し、今作はその第2弾となる。
初演と同じく、ウイリアム役には石渡真修、ダンタリオン役には鮎川太陽、ジル・ド・レイ役には碕 理人、クロスビー牧師役には松本祐一、カミオ役(特別出演)には米原幸佑が出演、ケヴィン役に田村良太、シトリー役に櫻井圭登、ミカエル役に山中健太ら実力派の新キャストも加わり豪華キャストで第2弾に挑む。今回は、意欲作であり魅惑的な歌を聞かせるミュージカルのゲネプロのレポートをお届けする(※カミオ役の米原幸佑はスケジュールの都合によりゲネプロは欠席。代役は市川耕大)。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 鏡田伸幸

意欲的な作品に果敢に挑む、若き役者たちの熱い魂を感じよう

幕開けは、悪魔のバフォメット役のKENが、円形のステージで360°ぐるりと囲まれた客席の前で歌うところから始まる。本人も「舞台が始まって最初に歌う重要な役割を任せられたので、前回以上に、みなさんを“魔界”の世界に誘いたい」と意気込んでいたように、ここが日常の空間ではなく、“魔界”だと感じさせてしまう説得力のある歌声に惹きつけられるオープニングだ。

舞台セットはシンプルに、中央に円形の回り舞台。さらに初演と同じく八百屋舞台(傾斜がある舞台のこと)になっている。客席は360°から観劇できるという斬新なスタイル。

装置はほとんどなく、Clothemble(梅津瑞樹、福井将太)が美しい布を巧みに操りながら『魔界王子』ワールドを大胆に表現する。

そんな実験的でもある舞台セットで、演出の元吉庸泰が持つ幽玄的な世界観が見事に具現化されていく様にカタルシスを覚える。

物語は、徹底的なリアリストであり、実はソロモンの末裔であるウイリアム(石渡真修)が主人公。自身がひょんなことから召喚してしまった悪魔のダンタリオン(鮎川太陽)とライバル関係にあるシトリー(櫻井圭登)が、やたらに付きまとってくるのを、うっとおしいと感じていた。

悪魔やソロモンの指輪、科学では解明できない理不尽さに違和感を覚えながらも、学園の寮で生活を送っていたが、同時に名門貴族トワイニング家の跡継ぎである彼の家は没落しており、自身の通うストラドフォード校への学費が払えないピンチに陥っていたのだ。

そんな時、ウイリアムはクロスビー牧師(松本祐一)からスカラシップ(奨学金)の話を教えてもらう。それを得るには、近日中に行われる学内テストで1位になる必要があるとのことで、成績優秀者でもあるウイリアムは、スカラシップの獲得を目指して猛勉強に励むのだが、そこにミカエル(山中健太)という秀才のライバルが現れ、さらに悪魔や天使が、ソロモンの指輪を巡って争い始め、どんどん状況は混沌を極めていくことに……。

鮎川太陽が「ザ・ミュージカルです。人間と魔界と天使界の三つ巴の戦いが新宿FACEにて繰り広げられます。キャストは様々なところから登場するので首の体操をしていらっしゃってくださいね」と語っていた通り、360°あらゆる方向から聞こえてくる歌に耳を澄ませてほしい。

ウイリアム(石渡真修)が学園生活での日常を歌うポップな曲から、ダンタリオン(鮎川太陽)、ケヴィン(田村良太)、ミカエル(山中健太)のそれぞれの過去が交差する美しいバラード、さらには全員で歌うオペラ風の曲まで、20数曲もの楽曲が登場し、舞台を盛り上げて行く。

舞台を360°取り囲む客席という特殊な環境でも歌声は響き渡り、ポップなナンバーが続いて行く。途切れることのない歌声に感動する。
田村良太も「360°客席に囲まれた小屋の中で、キャストが全員で100%の力を出し切って歌い、会場全てを“魔界”にします。観たことのない舞台になっていますよ」語った。決して難しくはないが、新感覚の舞台を観ている気持ちになるだろう。

そしてもちろん、演技も見逃せない。石渡真修、鮎川太陽、碕 理人らに加え、「今回のカンパニーでたくさん勉強させていただいたので、この作品を通して新しい自分に変わっていきたいです」と語る櫻井圭登も懸命に演技をして観ていて清々しい。
同じく初参加の山中健太も「僕が演じる役は、ドSで裸足で人を足蹴にするボス的な役柄です」と語っていたように、小柄で中性的なキャラクターだけど、時には恐ろしいほどの表情や仕草でゴシックな世界を盛り上げていた。とはいえ、悪魔や天使が出てきてゴシックな趣を感じさせながらも、決して重すぎず、どの席からでも、何度観ても、新たな驚きを気軽に発見できるステージ。

碕 理人が「初演からのキャラクター、そして新キャラクターも加わり、とても魅力的な舞台になっています。歌も、ダンスも、芝居もパワーアップした『魔界王子』を生で体験してほしい。やっぱり舞台は生が一番ですよ。待ってます!」と語るように、そこには、誰にでも観劇してほしいという思いが込められている。

まずは観劇してみよう。座長の石渡真修も「360°が客席のステージは僕たちもお客様も、あまり体験したことのない世界だと思います。そんな空間をお客さんと一緒になって楽しめるように、キャスト・スタッフ全員で、協力して頑張りたいと思います。観劇後は、笑顔でお帰りになってください」と決意を述べたように、キャストの熱意のある演技に触れれば心は自然と震えるはずだ。

公演は12日まで続く。誰もが新宿FACEから笑顔で帰る観客の姿を想像できる、新鮮な体験を約束してくれる作品だ。

前列/梅津・碕・櫻井・山中・松本・福井 後列/KEN・鮎川・石渡・田村・遠藤

ミュージカル『魔界王子 devils and realist』the Second spirit

2017年11月4日(土)~12日(日)
会場:新宿FACE
原作:『魔界王子devils and realist』(原作:高殿円・漫画:雪広うたこ)コミックZERO-SUM(一迅社)連載中
演出:元吉庸泰(エムキチビート)
脚本:伊勢直弘
脚本協力:高殿円

出演:ウイリアム 役・石渡真修/ダンタリオン 役・鮎川太陽/ケヴィン 役・田村良太/シトリー 役・櫻井圭登/
ジル・ド・レイ 役・碕理人/ミカエル 役・山中健太/クロスビー牧師 役・松本祐一/バアルベリト 役・遠藤誠/
バフォメット 役・KEN/カミオ 役・米原幸佑(特別出演)
【Clothemble】梅津瑞樹/福井将太
オフィシャルサイト

©2017 高殿円、雪広うたこ・一迅社/ストラドフォード校歌劇部

あらすじ

名門貴族、トワイニング家の跡継ぎであるウイリアム・トワイニング(石渡真修)。彼はひょんなことから悪魔・ダンタリオン(鮎川太陽)を召喚してしまう。魔界の皇帝ルシファーが眠りにつき、その代理の王の候補者であるダンタリオン。そして実は古代イスラエルの王ソロモン血を引き、魔界の代理王を選ぶ権利を持つ選定公であったウイリアム。彼の元には次から次へと代理王候補の悪魔シトリー(櫻井圭登)やカミオ(米原幸佑)、それ以外の悪魔達も代理王の座を巡りストラドフォード校での学園生活を謳歌していた。
「俺はリアリストだ! 悪魔など信じない!」。頑なに誰も選ぼうとしないウイリアム。業を煮やした魔界の公爵バアルベリト(遠藤誠)は、かつてソロモンの持っていた指輪を探せと悪魔ジル・ド・レイ(碕理人)に命令する。
その指輪はどんな願いも叶えられる力を持つという。ソロモンが神から与えられた、鉄と真鍮でできた叡智の結晶。時同じくして、天界も動き出す。天使もまたソロモンの魂と指輪を求め、ウイリアムを狙う。交錯するそれぞれの過去と思惑。ウイリアムの選択する“今”とは…。

『魔界王子devils and realist』

著者:高殿円、雪広うたこ
出版社:一迅社

名門貴族のウイリアムは、類いまれなる頭脳の持ち主。パブリックスクールでも、家柄のこともあり、話題の中心であった。しかしそんなある日、叔父が事業に失敗したことで財産を失ってしまう。名門の名に傷がつくことを恐れたウイリアムは自宅に戻り、家令と共にお金になりそうな物を探す。屋敷でみつけたのは、先代が出入りしていた地下の部屋。そこには謎の魔法陣があり、意図せずウイリアムは悪魔を呼びだしてしまう。呼びだされた悪魔、ダンタリオンはウイリアムに告げる。「ウイリアムは魔界の代理の王を選ぶことのできる選定公である……。