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「レッツモテ!」あなたもモテリーマンの講座でモテモテ!? 舞台『スマートモテリーマン講座』ここに開演

「レッツモテ!」あなたもモテリーマンの講座でモテモテ!? 舞台『スマートモテリーマン講座』ここに開演

そもそも“モテリーマン”とはなんぞや?
日常のどんな些細な状況でも、ありとあらゆる瞬間、飽くなき「モテ」を追求し続ける男。そう、それがモテリーマンだ。
この作品は、リクルートが発刊していたフリーペーパー『R25』(2004年〜2015年)にて連載していたコラムを原作に、さまざまなモテないサラリーマンをケース・スタディに、モテを伝授していく講座形式の舞台。
そんな舞台が11月2日、東京・かめありリリオホールを皮切りに全国で上演される。脚本・演出に今をときめく福田雄一、演技派の安田顕がモテリーマンを務める。主人公の冴えないサラリーマンの卓役に、ドラマや映画に多忙を極める戸塚純貴、彼が惚れ込むOLかれん役に乃木坂46の若月佑美、主人公のライバルとなる同僚のモテ男・小泉に、ミュージカルやストレート・プレイで活躍する水田航生。そのほか、人気お笑い芸人のシソンヌ(長谷川忍・じろう)に加えて、本作には欠かせない、劇団ブラボーカンパニーも出演する。さて、5年ぶりとなる講義はどんな「モテ」が手ほどきされるのだろうか。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 引地信彦


ストーリーはシンプルで奥深い。とある会社のアニメおたくの卓が、OLのかれんに一目惚れ。しかし、2次元の女の子しか愛したことのない彼には、3次元の女の子の手の握り方さえわからない。そこから、どのように一大決心をしてありとあらゆるテクニックを駆使し、可愛い彼女を落として行くのかを例に、モテリーマンが講義していく。

この舞台を観ていると、友人関係、恋人関係、夫婦関係、上司と部下の関係、小難しいことは考えたくなくなる。ただ座席に座って、爆笑して、モテリーマンの講義を聞くだけでお釣りがくるはず。

幕開け早々にモテリーマンが颯爽と登場! 今作はどんな登場になるのか? 驚愕度数2000%。そして、いきなり「はい、というわけで」とマクラを始める雰囲気は、まるで落語のようだ。だが会場内は明るいまま。本当に舞台が始まったの? という印象を受ける。

モテリーマンはそんなことを気にしない。前説のように、安田顕の一人舞台、一人コント、薔薇を片手に、ホワイトボードを背中に、マシンガントークを炸裂させて爆笑の渦を巻き起こしてゆく。とめどなく溢れるギャグにこちらは笑うしかない。

舞台の上には先生がいて、観客席には生徒がいる、そんな関係が瞬時に出来上がる。観客席を一瞬で舞台の世界に引き込む安田顕の演技力には感服するしかない。

そこからテーマソングになだれ込みダンスシーンへ。めくるめく爆笑講義の始まりだ。

まず注目したいのは、舞台セットの転換が目まぐるしく変わること。カンパニーの息のあった連携が、次から次へと披露され、息をもつかせぬ笑いが起き続ける奇跡の世界へと作り上げていく。

そこから様々なケース・スタディが始まっていくのだが、しっかり役所があるのは、卓の戸塚純貴とモテ男・小泉の水田航生、かれん役の若月佑美にモテリーマンの安田顕だけだろうか。 あとの役者は早替え役替えの連続。あまりの素早さに目がくらむ。例えば、ブラボーカンパニーがなぜ毎作登場するのか理解できるはずだ。舞台にかける情熱によるコンビネーションがしっかりと存在しているからこそ、『スマートモテリーマン講座』は成立するのだと。

お笑い芸人のシソンヌ(長谷川忍・じろう)も、会社の上司や同僚、漫画喫茶の店長、卓の妄想の世界の住人といった様々な役を演じ分けてゆくが、それでいてしっかりツッコミ・ボケまくる姿には笑うしかない。長谷川忍は「老体をフルにいじめ倒した稽古! 本番を楽しみにしていてください」とコメントしていたが、彼のマシンガンツッコミが絶妙。

ボケのじろうも「2週間前はこんなことができるのか!? と不安を口にしてたおじさんチームのあれの成果をお楽しみに。とにかく一生懸命です」とコメントし、「あれ」とは一体? とツッコめるほど、ボケ倒し続ける。

卓役の戸塚純貴は、引っ込み思案で、切ないオタクの性をこれでもかと見せつけて、まるで初恋をした男の子のように胸を締め付けられる。

戸塚は「ただ、皆様には、何も考えず、ただただ笑って帰って頂けますように。そう思っております。そんな舞台です。今年の笑い納めは是非『スマートモテリーマン講座』で!」とコメントしていたが、彼が少し引き気味のオタクでちょっと怖い笑いをとるからこそ、モテリーマンのグイグイ観客を引っ張るポジティブな笑いが舞台に活きるのだろう。

小泉役の水田航生は「遂にモテリーマンが始まります! ワクワクそわそわモテモテ。ただただ全力でぶつかっていきます!」とコメント。水田の有り余るエネルギーをぶつける、大胆すぎて逆にセクハラじゃないのかという程のかれんへのおバカな口説き方は、見ていて腹が立つけど笑えて仕方がない。その説得力のある演技が卓のライバルとして輝き続ける。

かれん役の若月佑美は「スマートモテリーマン講座は、観ていただくお客様に幸せな感情だけが残る舞台になっていると私は思っています! 自分的に笑いという部分はやはり難しさもありますが、恥を捨てて挑戦を忘れず頑張りたいと思います!!」とコメント。会社では失敗をしてばかりの女性を、卓の妄想では彼に恋しコスプレをする自我の強い女性になり、目まぐるしく演技を変化させていく佇まいは可憐の一言。

そして、やはり福田雄一の演出と脚本には、天才か! と突っ込みを入れたくなる。当て書きをしているのだろう、役所に見合ったキャラクターを役者から見出し、演者の弾けんばかりの演技を存分に引き出してくれる。

簡素な舞台装置でありながら、漫画喫茶、映画館、忘年会といったリアルな舞台の設定づくりと、あるあるネタを使いながら、モテリーマンの変てこなモテを際立たせ伝授させていく。

もしかしたら、こんな方法で、女性は、あるいは男性は、恋をしてしまうのではないかと脳内を錯覚させるダイナマイト級の演出力。かといって、全速力でやっていない、どこか脱力した感じに味があって、観ていて引くことなく楽しめる。

そして最後に、もう一度言おう。
安田顕のモテリーマンには脱帽するはずだ。落語、一人芝居、わけのわからない解説、ボケ、ツッコミ、ギャグ、アドリブ?を使い回しながら、舞台をひねり回し笑いのテーマパークを作り上げていく様は圧巻だ。

たった一人のモテリーマンが、モテ男を演じた時、何気ないことがモテに繋がるというメッセージも感じるはず。

どんなに書いてもこの舞台の魅力を語り尽くせない。仕方ないので、安田顕のコメントを引用してこの舞台のレポートを締めくくろう。この一言がこの舞台のすべてかもしれない。

「あゝ、見てよかった、あゝ、見ておけばよかった。そんな講座になることでしょう。レッツモテ!」

舞台『スマートモテリーマン講座』

2017年11月2日(木)かめありリリオホール(プレビュー公演)
2017年11月4日(土)西条市総合文化会館
2017年11月8日(水)JMSアステホールプラザ
2017年11月11日(土)岩手県民会館
2017年11月15日(水)弘前市民会館
2017年11月18日(土)~19日(日)道新ホール
2017年11月23日(木・祝)仙台電力ホール
2017年11月26日(日)福岡国際会議場
2017年11月30日(木)~12月3日(日)シアター・ドラマシティ
2017年12月6日(水)ウインクあいち
2017年12月12日(火)静岡市清水文化会館マリナート
2017年12月15日(金)~30日(土)天王州 銀河劇場

原作:steam/武田篤典/Shu-Thang Grafix
脚本・演出:福田雄一
講師:安田顕
出演:戸塚純貴/若月佑美(乃木坂46)/水田航生/シソンヌ(長谷川忍・じろう)/ブラボーカンパニー

オフィシャルサイト