Interview

イトヲカシ “王道のJ−POP”を掲げ、確実に浸透を続けている2人の音楽。その理由を新作のインタビューから紐解く

イトヲカシ “王道のJ−POP”を掲げ、確実に浸透を続けている2人の音楽。その理由を新作のインタビューから紐解く

伊東歌詞太郎(V)、宮田“レフティ”リョウ(Ba/G/Key)による二人組音楽ユニット、イトヲカシ。インターネット・シーンで注目を集め、路上ライブで実力を蓄えた2人は昨年9月にシングル「スターダスト/宿り星」でメジャーデビュー。2017年6月にリリースされた1stフルアルバム「中央突破」がスマッシュヒットを記録するなど“王道のJ−POP”を掲げる2人の音楽は確実に浸透を続けている。ニューシングル「アイオライト/蒼い炎」を聴けば、現在のイトヲカシの充実ぶりをしっかりと感じ取ってもらえるはずだ。

取材・文 / 森朋之

自分たちがやってきた音楽を信じて、これからも続けていこうと思ってます。そこはずっとブレないですね(宮田)

1stアルバム「中央突破」のリリースと前後して、全国ツアーを開催。その後の活動についても話し合ったりしてるんですか?

伊東 そうですね。アルバムの発売がツアーの最中だったんですけど、新曲もずっとやっていて。そのなかでお互いに気付いたこと、感じたことはいつも言い合っていたし、「今後、どうしていくか?」ということについてもちゃんと話してますね。

宮田 思ったことをぶつけ合うって、すごく大事ですからね。そこで軌道修正したり、2人でやっていくことについて再確認にしたり。

伊東 いいところも悪いところでもわかったうえで進んでいくのが健全だと思うんです。目をつぶっていると、必ずどこかで壁にぶつかってしまうので。ただ、この先の方向性についてはまだ固まってないんですよ。どういう曲をやっていくか、どう見せるかについてはもちろん考えなくちゃいけないし、アーティストにとっては一番大事なことだけど、そう簡単に固まることではないですからね。「いま固めている最中です」ということはしっかりお伝えできますけど、具体的なことはまだこれからでしょうね。

宮田 発展途上という言い方もできるかも。曲を作ったり、ライブをやるたびにひとつずつハードルを超えているだろうし、そのたびに音楽的な高みに近づいているとは思うけど、大事なのはそれをたゆまなく続けていくことなので。

以前から掲げている“王道のJ−POP”というテーマは変わらないですよね?

伊東 そうですね。むしろそこがいちばん大切だし、そこから大幅に逸脱しないために話し合っているところもあるので。

宮田 「J−POPシーンって何だろうな?」とも思いますけどね(笑)。いろんなアーティストがいらっしゃいますけど、自分たちとしては「周りは関係ないかな」と思っていて。

伊東 うん。周りとか流行に合わせると失敗すると思うんですよ、僕らは。時代やニーズに合わせたほうがいいアーティストもいると思うけど、僕らの場合はそれをやりすぎるといい結果が出ないんじゃないかなと。

宮田 そうだね。自分たちがやってきた音楽を信じて、これからも続けていこうと思ってます。そこはずっとブレないですね。

 伝えたいことを真っ直ぐに伝えるためには、音を削ぎ落とすことが必要なんです(伊東)

今回のニューシングル「アイオライト/蒼い炎」もそうですよね。どちらも王道のJ−POPと呼ぶにふさわしい曲だし、イトヲカシらしいエモーショナルな部分もたっぷり込められていて。

宮田 自分たちの思いは詰まってるかもしれないですね。聴いてくれる人がそこに反応してくれることがいちばん嬉しいんですよ。わかりやすいフックみたいなことはできるだけ避けたいし、奇を衒わないことが重要なので。アレンジもシンプルになってるんですよ。

伊東 伝えたいことを真っ直ぐに伝えるためには、音を削ぎ落とすことが必要なんです。それは今までの活動のなかで学んだことでもあるし、二人のなかで結論が出ている部分でもあって。

宮田 引き算のアレンジというか。

伊東 それが正解なんですよ、おそらく。

宮田 歌をしっかり聴かせるためには、それがいちばんいいと思うんです。ミニマムな音のなかで、どうやってきらびやかさを出すか?ということもいつも考えてますね。そこに関しても、少しずつ洗練されてるんじゃないかなって。

主題歌やエンディングテーマを担当させてもらうときは、その作品に花を添えたいと思っているんです(伊東)

伊東 主題歌やエンディングテーマを担当させてもらうときは、その作品に花を添えたいと思っているんです。作品のエッセンはもちろん取り入れるし、今回の2曲に関してもいいところに落とし込めたんじゃないかなって。1曲目の「アイオライト」は、映画サイドから「青春感があってキラキラした感じ」というリクエストがあったんですよ。かなり自由度の幅があるオーダーだったんですけど、映画を観させてもらったときも同じことを感じていたので、そこは上手く重なりましたね。観ているうちに主人公の折木奉太郎くん(山﨑賢人)に没入できたし、ウソがない作り方ができました。

宮田 そのうえでイトヲカシらしさをどう出すか? というところですよね。サウンドにはかなりきらびやかなところがあるし、青春っぽさもあると思うんですけど、それも歌詞やメロディが呼んでいたものだったんです。アレンジも含めて、上手く合致できたんじゃないかなと。

好きなことをやってるときが、いちばんエネルギー効率がいいからね(笑)(宮田)

しかも映画を知らない人でも素直に共感できる歌に仕上がってますよね。

伊東 そうだと思うんですよね。主人公の折木奉太郎くんは“省エネ主義”なんです。やらなくてもいいことはやらない、やらなければいけないことは手短かにやろうとするんですけど、そこには悪い意味で諦めの気持ちも含まれていて。ただ「どうせ楽しくならないんだから、やってもしょうがない」という感じって、誰しも持っていると思うんですよ。僕が高校生の頃も多少はそういう思いを持っていたし、それは「アイオライト」でも表現されてますね。

宮田 その気持ちをどっちの矛先に向けるか?っていう。自分たちの場合は音楽があったし、そこに関してはぜんぜん省エネではなかったんですけど(笑)。

伊東 好きなことだから、いくらやっても全然疲れないんですよ。

宮田 やりたくないことは1時間くらいで飽きちゃうし、長く感じるからね。2〜3日前にもそういうことがあったんですけど、制作していて、朝の6時になってたり。「やっぱり音楽が好きなんだな。他のことだったらとっくに寝てる」って思いました(笑)。

好きなことだし、得意なことでもあって。どうしても夢中になっちゃいますよね。

伊東 そうなんですよね。周りから見ると「無理してる」と思われることもあるけど、自分としてはまったくそんな感じはなくて。そういう意味では、じつは省エネなのかも(笑)。

宮田 なるほど。好きなことをやってるときが、いちばんエネルギー効率がいいからね(笑)。

「蒼い炎」は「明日を選ぶのは 君自身しかいないよ」という歌詞が印象的なミディアムナンバー。

伊東 原作(「週刊少年ジャンプ」連載中の「ブラッククローバー」)も読ませてもらったんですけど、すごくおもしろくて。「氷菓」と同じようにムリなく作品の世界に入れましたね。ただ「蒼い炎」という曲はかなり前に出来ていた曲なんです。「ブラッククローバー」の世界観について考えていたら、この曲がぴったりハマるんじゃないかって思って。主人公のアスタの境遇や生き様ともすごく合ってたんですよね。

宮田 「ブラッククローバー」の世界とは少し違うイメージのワードも入ってるんだけど、テーマはしっかり沿っていたというか。そこを感じ取ってもらえたらいいなと思いますね。

いまからでも遅くはないので、がんばりたいです。ただ、10代の頃に対して後悔はまったくないんですよ(宮田)

「アイオライト」と「蒼い炎」に共通するのは、やはり“青春”というキーワードだと思います。伊東さん、宮田さんは音楽に没頭した青春だったと思いますが、逆に「あれをやっておけばよかった」と思い残していることはありますか?

宮田 留学ですね。これは今も思ってることなんですけど、世界中には膨大な音楽が存在していて、留学して英語を学んでおけば、それをもっと楽しめてたんじゃないかなって。英語ができればいろいろな国の人とコミュニケーションできるだろうし。イトヲカシで海外で路上ライブをやったときも、もちろん音楽でつながることは出来るんだけど、同時に「英語力があればもっと深い話ができた」というもどかしさもあって。いまからでも遅くはないので、がんばりたいです。ただ、10代の頃に対して後悔はまったくないんですよ。

伊東 僕も後悔はぜんぜんないですね。いま振り返ってみても「歌と音楽に特化した人生を送ってきたな」と思うし、そのときどきのやり方で歌と音楽を愛してきたので。ずっと音楽だけをやっていたわけではなくて、生活のために塾講師のバイトをやったり、なぜか狂ったように本を読みまくってた時期もあるんですけど、それも全部、今の活動に活かされているんですよね。塾講師として生徒と話したこと、本を読んだときに感じたことは、今の自分たちの音楽の為になっているので。当時は「これは音楽に活きるはずだ」と思ってなかったけど、ムダな時間はひとつもなかったんだなって思いますね。

 「あの頃のほうが楽しかった」という感情も一切ないし、そういう意味でも後悔はぜんぜんないです(伊東)

本当に後悔のない生き方をしているんですね。

伊東 そうですね。0才から現在に至るまでいちばん楽しい時間がアップデートされ続けているんですよ。「あの頃のほうが楽しかった」という感情も一切ないし、そういう意味でも後悔はぜんぜんないです。

いつも先を見据えながら、未来を見ながら活動していますね(伊東)

ではイトヲカシの未来については、どんなビジョンを描いているんですか?

伊東 明確なビジョンはまだないかもしれないですけど、いつも先を見据えながら、未来を見ながら活動していますね。それぞれの活動も大切にしたいし、(ソロとイトヲカシの)どちらがメインというわけではなく、相乗効果を生み出していきたいと思っていて。そのためにはいろんなことを考えていかないと。それがずっと応援してくれている人たちに応えることだと思うんですよ。

宮田 自分たちが始めたことなので、2人から発信することが大事だと思っていて。長く続けていくためにはどうしたらいいか? ということも常に考えてますね。

その他のイトヲカシの作品はこちらへ

イトヲカシ

伊東歌詞太郎(Vo)と宮田“レフティ”リョウ(Bass/Guitar/Key)による、2人組音楽ユニット。

日本語を大事にした歌詞・メロディセンス・力強い歌声が織りなす琴線に触れる楽曲を、他者とは一線を画す展開で発信する2010年代型アーティスト。メディアでは顔出しを行っておらず、その素顔はライブ等でしか見ることが出来ない。

2人は中学時代からの同級生であり、はじめて結成したバンドのメンバー。
卒業後、別々の音楽活動を経て再会し、各々が培った音楽を一緒に発信すべく2012年にイトヲカシを結成。
並行して、インターネットの世界に音楽を投稿、様々なアーティストへの楽曲提供やプロデュースワーク、サポートミュージシャンなどの活動をそれぞれが個々で行い、特に動画サイトにおいてその歌声とメロディセンスが大きな話題を呼び、投稿動画総再生数は2,500万回以上、twitterフォロワー数は併せて70万人以上と異例な存在となる。

2016年5月には に初の全国流通盤ミニアルバム「捲土重来 ( けんどちょうらい )」をリリースしオリコンウィークリー 5 位を獲得。
路上ライブツアーと並行し自身初の全国ライブハウスツアー「イトヲカシ first one-man tour『捲土重来』」を開催し、チケットは全会場即完売となった。

デビュー前から「ROCK IN JAPAN FES.2016」にも出演し、2016年9月に「スターダスト/宿り星」で満を持してメジャー デビュー。オリコンウィークリー14位を記録し、年末にはCOUNTDOWN JAPAN 16/17へも出演。

2016 年冬、ネスレ”キットカット”2017 年度受験生応援アーティストに任命され、応援歌「さいごまで」(2017年2月リリース「さいごまで / カナデアイ」収録 ) を書き下ろした。この楽曲は“河合塾 2017年度 CMタイアップソング”にも追加決定。さらには、全国のラジオステーションから熱い支持を受け、全29局でパワープレイに決定。ビルボード JAPAN ラジオチャート1位も獲得している。

メディアでは顔出しを行っておらず、その素顔はライブ等でしか見ることが出来ない。

オフィシャルサイトhttp://itowokashi.jp