黒川文雄のエンタメ異人伝  vol. 9

Interview

ガンホー代表・森下一喜氏(上)スポーツ少年が受けたファミコンの衝撃。ゲームで得られる達成感

ガンホー代表・森下一喜氏(上)スポーツ少年が受けたファミコンの衝撃。ゲームで得られる達成感

音楽、映画、ゲームなどを総称するエンタテインメントは、人類の歴史とともに生まれ、時代に愛され、変化と進化を遂げてきました。 そこには、それらを創り、育て、成熟へ導いた情熱に溢れた人々がいます。この偉人であり、異人たちにフォーカスしインタビュー形式で紹介するエンタメ異人伝。

森下一喜と私の出会いはインタビューのなかでご紹介したように2000年の前半に遡る。その当時、彼は「ラグナロクオンライン」の運営展開をしており、日本のオンラインゲームマーケットを牽引するポジションに有った。その時代の森下一喜の印象は若く、尖ったものを感じ、他者をあまり寄せ付けない何かを放っていたと思う。
その後、森下一喜とガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は着実に成長し、株式上場も果たした。私が森下一喜と再会したのは2010年、私がNHNJapan株式会社(現:NHNPlayArt株式会社)にてガンホーとのゲームの共同開発プロジェクトを始めたタイミングだった。そこで森下一喜のゲームへの強烈な愛情、知識、対ユーザーへの想いを知ることになる。
そして、森下一喜にかつて感じた印象の背景に大きな関心を抱き、今に至る。今回のインタビューは、その森下一喜を形成するもの、彼を動かすモチベーションに迫るものである。

インタビュー取材・文 / 黒川文雄

生まれは新潟「人と出会うよりも多分動物と出会う方が多かった」幼少の頃

森下さんは昭和48年生まれ、今年で44歳ですか。お生まれは新潟だと聞いていますが、新潟のどちらですか?

森下 越後湯沢です。スキー場の近くにね、家があったんです。

そうなんですか、それはすごく良いロケーションですね。お父様はお医者様といいますか、病院を経営されていたそうですけど。

森下 元々は勤務医だったんですけどね、その後こっち(東京)で開業しました。
そうそう、ひいおじいさんが山を売って千葉の方に土地を買っていたらしいんです。で、家もあったからそこに住んでいたと。

すごいですね。お父様のご実家は何をされていたんですか?

森下 おじいさんとおばあさんは越後湯沢で兼業農家っていうのかな?

幼少期はどんな生活だったんですか。

森下 弟の身体がちょっと弱かったっていうのもあったりしたんで、自分だけ向こう(新潟)に預けられていた期間も長かったですね。

じゃあ、お母様とも離れて?

森下 弟が入院していましたからね。そうなると母親はそっちの方に付き添うでしょ? だから、意外と母親も父親も一緒にいない時期が長かったんですけど、あんまり気にはならなかったですね。寂しいとかそういうのは全然なかったです。

周りが充実していたんでしょうか。

森下 う~ん、周りが充実していたっていうか……おじいさん、おばあさんがいて親戚もいたし、同じくらいの年の子もいたし。まあ、唯一言うならばクリスマスとかね、おじいさんがそうっと枕元に(プレゼントを)置いているのを見てしまったりとかね、ハハハハ。

よくありますね(笑)。新潟ではどんな生活を送られていたんですか?

森下 何って言ったらいいかなあ。もう本当に山奥だったんですよ。人と出会うよりも多分動物と出会う方が多かったんじゃないかな。どこを見ても山って感じで、本当に何もないところでした。(家が)スキー場の中にあるから、歩いて30秒ほどのところにリフトがあるくらい。

まさか、家がリフト小屋だったとかじゃないでしょうね(笑)。

森下 リフト小屋じゃないですよ(笑)。おばあさんが農業とスキー旅館をやっていたんです。おじいさんは割とこう政治寄りといいますかね。土地柄というか、いろいろあったんですよ。

地元の名士であり、強力な支援者だったみたいな感じですか?

森下 どうなんだろう……子どもの頃のことだから、よく覚えてないんです。

そうだったんですか。では、子どもの頃はどんな遊びをされていたんですか?

森下 もう本当に田舎なんでね、耕運機を動かして山に登ったりしてました。私有地だから多分大丈夫だと思うんだけど、あんまり言っちゃいけないのかな?

私有地なら大丈夫だと思いますよ。

森下 そうですよね。あと、すぐ目の前にけっこう大きい川がね。一級河川が流れているんで、そこにカジカ取りに行くとか。虫も取り放題だし、動物もタヌキとかね、タヌキが飼われてたりするんですよ。それで、太ってきたらいつの間にかいなくなっているというね(笑)。まあ、ニワトリをさばくとか、そういうのが当たり前なところだったので。

そういう環境ですか(笑)。その後、千葉に移られたんですよね。

森下 まあ、新潟生まれですけど中学も高校も千葉ですから、千葉の方が全然長いですね。

vol.8
vol.9