モリコメンド 一本釣り  vol. 40

Column

XAI 前向きな意志と美しい憂いを兼ね備えた声質。劇場アニメ「GODZILLA 怪獣惑星」の主題歌でベールを脱ぐシンガー

XAI 前向きな意志と美しい憂いを兼ね備えた声質。劇場アニメ「GODZILLA 怪獣惑星」の主題歌でベールを脱ぐシンガー

虚淵玄(「Phantom-PHANTOM THE ANIMATION-」「Fate/Zero」「魔法少女まどか☆マギカ」など)がストーリー原案と脚本、静野孔文(「名探偵コナン」シリーズ)と瀬下寛之(「亜人」「BLAME!」など)が監督を担当した劇場アニメ「GODZILLA 怪獣惑星」。この話題作の主題歌「WHITE OUT」を歌っているのが、XAI(サイ)。2016年11月に第8回 「東宝シンデレラ」オーディションで初代アーティスト賞を受賞した女性ソロシンガーだ。

音楽好きの両親の影響によって、幼少期からオペラのような古典音楽〜流行のポップソングまでさまざまな音楽を聴きながら育ったXAI。特に“歌”という表現に魅せられてきた彼女は、「歌っていないと死んでしまう」「私にとって歌は酸素と同じ」というコメント通り、常に自らの歌声と向き合いながら生きてきたという。壮大なスケール感と強いダイナミズムを体現しながら、一人一人の聴き手の心に歌を手渡すような繊細さを併せ持つ彼女のボーカル力は、「WHITE OUT」によって初めてベールを脱ぐことになる。

「WHITE OUT」の作曲・編曲・プロデュースは中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)、作詞はの蒼山幸子(ねごと)が担当。エレクトロとロックが有機的に絡み合うサウンド、ドラマティックなメロディライン、“終わらない旅が/途切れた夢を繋ぐよ”というラインがひとつになった楽曲に仕上がっている。このコラボレーションについてXAIは「「WHITE OUT」をプロデュースしてくださったBOOM BOOM SATELLITESの中野さんは、音楽のことを一番に考え、オリジナルな価値観を持ち、常に音楽や芸術とともに生きてきた方……という印象でした。楽曲制作を通じて肉体的にも精神的にも鍛えていただき、まだデビュー前である私を“アーティスト”にしてくださいました」とコメント。さらに「「WHITE OUT」は、極限状態や絶望の淵にいる人々に、さまざまな〈救い〉を与える楽曲だと思っています。私にとってデビュー曲であるこの「WHITE OUT」が、多くの人々の心に救いや癒しを与え、『GODZILLA 怪獣惑星』とともに愛されていくことを願っています」と楽曲に対する期待を述べている。

また中野は「ゴジラ史上初のアニメーション映画という事で新しい世界への期待感も大きかったですし、まだ未知数の新人であるXAIとの楽曲制作も大変興味深い貴重な時間となりました」とコメント。MAN WITH A MISSION、ねごとなどの楽曲を手がけ、プロデューサーとしても高い評価を得ている中野にとっても、XAIとの出会いはきわめて刺激的だったようだ。

「WHITE OUT」の軸となっているのはもちろん、XAI自身のボーカリゼーションだ。「あなたの声が/凍えた胸を溶かすの」という最初の一行で楽曲の世界観を出現させ、凛としたダンスビートをしっかりと掴みながら、大らかに広がっていくメロディを描き出す彼女の歌からは、シンガーとしての高いポテンシャルがはっきりと感じられる。前向きな意志と美しい憂いを兼ね備えた声質も彼女の大きな武器だろう。

「WHITE OUT」のミュージックビデオにもぜひ注目してほしい。監督は東市篤憲(BUMP OF CHICKEN、ゲスの極み乙女。、ぼくのりりっくのぼうよみなどのMVを手がける映像監督)。“白い鹿の角をつけたXAIが世界を司る“という設定は「WHITE OUT」の神秘性と壮大さをしっかりと際立たせている。リアルとファンタジーが融合した映像のなかで、楽曲の世界観を生々しく体現するXAIのパフォーマンスも必見だ。このMVにはXAIと同じく「東宝シンデレラ」オーディション出身の山崎紘菜、吉田まどかも出演。ふたりのキスシーンもきわめて印象的だ。XAI はこのMVに関して「その瞬間を捉える一瞬一秒、肌で感じるたびに、無垢な想いを抱え、真っ直ぐ生きる登場人物たちを美しく、そして愛おしく思いました。この物語は、きっとみんなの心の中に存在するのだ、と思います」と感想を寄せている。また東市は「ストーリー、世界観、演技、時代背景、全てにおいてこだわり抜いてつくりあげたMVが完成しました。はたして、これを描いてしまって良かったのかわかりません。心に誰もが持つ闇、絶望的な世界のなかで、XAIの救いの歌声が鳴り響きます。」と本作に対する手応えを述べている。優れたクリエイターとのコラボによって、さらに深みを増した「WHITE OUT」の世界。その豊かな魅力の源泉もまた、XAIの感性にあると言ってよさそうだ。

11月15日リリースされた「WHITE OUT」は“アニメ盤”“アーティスト盤”の2形態。アニメ盤には「はじまりのうた」がカップリング曲として収録され、アーティスト盤にはさらにTeddyloidの作詞・作曲による「Feeling Alive」、佐藤大の作詞、牛尾憲輔の作曲による「Somewhere in Night」、そしてミト(クラムボン)が作・編曲を手がけた「SILENT BIRD」が収められている。劇場版アニメ「GODZILLA 怪獣惑星」の公開日である11月17日に20才の誕生日を迎えたXAI。シンガー/アーティストとしての才能は、様々な分野のクリエイターと交わることで、大きな花を咲かせることになるだろう。

文 / 森朋之

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