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『巨影都市』最高の素材で笑わせにくる選択肢がたまらない

『巨影都市』最高の素材で笑わせにくる選択肢がたまらない

『ウルトラマン』シリーズや『エヴァンゲリオン』シリーズといった大人気作品の巨大ヒーローや怪獣を登場させつつ、あくまでも一般人たちが織り成す人間ドラマに焦点を当てているユニークなSFサイバイバル・アクションアドベンチャーゲーム『巨影都市』。

本稿では、プレイヤーの選択次第で真面目にもカオスにも展開することができる、本作のフリーダムすぎる選択肢の魅力を紹介していく。選択肢が出現するたびに笑いをこみ上げさせる本作は、『絶体絶命都市』シリーズや『ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット』を手掛けたメンバーが数多く所属するゲーム開発会社グランゼーラならではのインパクトを持っている。

文 / 村田征二朗(SPB15)


選ばずにはいられないネタ選択肢

第1回の記事でも触れましたが、本作は『ウルトラマン』シリーズ、『エヴァンゲリオン』シリーズ、『ガメラ』シリーズ、『機動警察パトレイバー』、『ゴジラ』シリーズ、という超絶豪華なコンテンツを使用しながらも、敢えてただの一般人を主役に据えた作品です。みずから巨大ヒーローに変身するのでもなく、戦闘機に搭乗して怪獣に立ち向かうのでもない主人公となれば、普通に考えると影が薄くなってしまいそうなものです。

しかし、ネタ要素満載な選択肢のフリーダムさや善にも悪にも染まることができる選択の楽しさに定評のある『絶体絶命都市』シリーズや『ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット』を作り出したグランゼーラが作るとなれば話は別です。本作にもあらゆる場面でかなりパンチの効いた選択肢が用意されているため、主人公の存在感がこれでもかと濃くなっているのです。

▲戦闘中の巨影を見て「友好的な雰囲気だ」という能天気な発言が出たり、巨影が争うすぐそばで人間同士のもめごとが起きたりと、グランゼーラならではのひねりが効いたシチュエーションが用意されています

上記画像のほかにも、『ガメラ』シリーズから登場している小型怪獣“ソルジャーレギオン”と相対した際にソルジャーレギオンの真似をして危機を切り抜けようとするなど、主人公に身体を張ったギャグを敢行させる選択肢が豊富に用意されています。日本を代表する作品のヒーローや怪獣が集合するゲームというだけでも貴重なのですが、『巨影都市』ではそういった巨影たちを相手に普通ではあり得ないようなアクションをとることができるのです。

▲選んだ行動によってはステージクリア時のニュースに掲載されることもあり、冷静にツッコミを入れる記事の文章も相まってシュールな笑いを呼びます

もちろん巨影に対する選択肢だけでなく、逃げ延びた先で出会う人々に対しても相当なひねりが効いた言動が用意されています。巨影の出現でパニック状態となった街の中で他人を気遣うナイスガイな選択肢もあれば、見知らぬ女性に対して初対面で「ぶつかったお尻の感触がすばらしかった」という変態的な発言をすることもできるなど、プレイヤーの選択によって主人公のキャラクター性がまったく違ったものになってくるのです。

▲恋の悩みを抱えている男性に対して、男性主人公がこんな発言をすることもできます。顔のうるささがまた絶妙です

ゲーム全体を通して選択肢が登場する頻度が非常に高いうえに、至る場面で笑える選択肢がかなり多く用意されているため、逆に真面目なプレイをするのが難しいくらいです。筆者も最初は真人間として進めようかと思っていたのですが、並みいるネタ選択肢に「これを選んだらいったいどんな反応が見られるのだろうか……!?」という好奇心を抑えきれず、すぐにネタプレイに走ってしまいました。しかも、シュールな選択に対してはシュールな反応が返ってくるため、一度変わった選択肢を選ぶとその後も変な選択をしたくなってしまうのです。

▲主人公たちを追う人物から隠れる場面では、「一か八か〇〇のまねをして切り抜ける」というネタ選択肢がこれでもかと登場。これだけ用意されたらふざけないわけにはいきません……!

選択肢が出てくるたびに笑えてしまうというこのシュールでおバカな作品。本作に登場する作品のファンが楽しめるのはもちろんですが、逆に登場作品をひとつも知らない人でも、シュールな笑いをもたらす『巨影都市』ワールドは一切頭を使わずに楽しめることでしょう。

▲巨影から逃げるための手段として、オートバイと馬という斬新すぎる二択を迫られる場面も

おバカ要素がかなり強烈な本作ですが、ネタ選択肢に惑わされることなく、まともな選択肢を選んでいけば一本の映画を観ているような格好良さを味わうこともできます。とくに、ゲーム終盤でプレイヤーの選択を振り返るシーンは真面目なプレイをしていると感動的とまで言えるほどの変化を見せますので、一度ネタプレイでクリアした人は真面目プレイに挑戦してみるのもいいかもしれません。 

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