Interview

BLUE ENCOUNT 過去最高に充実した2017年バンドに芽生えた“危機感”とは? “挑戦”と“変化”を刻みつけた新作の内容とともに訊く

BLUE ENCOUNT 過去最高に充実した2017年バンドに芽生えた“危機感”とは? “挑戦”と“変化”を刻みつけた新作の内容とともに訊く

今年はBLUE ENCOUNTにとって実りの大きい1年だった。最新アルバム『THE END』を引っ提げた幕張メッセ公演(3月20日)は従来の殻を突き破り、自由度を高めた爆発的なパフォーマンスが印象的だった。それ以降も過去最多の夏フェス出演や、先輩バンドとの度重なる対バンなど、充実した日々を過ごす。その反面、バンドはこれまで感じたことがなかった”危機感”も芽生えた。それもバンドがさらに上を目指したい、という欲求度の表れに違いない。そして、前シングル「さらなら」に続く、ニュー・シングル「VS」がここに到着! 表題曲はテレビ東京系アニメ『銀魂』ポロリ篇オープニングテーマに抜擢。また、カップリング曲は夏フェスに照準を当てた「SUMMER DIVE」と、辻村が作詞作曲を手がけた「らしく」を収録。楽曲のスケールを高めながら、”挑戦”と”変化”を刻みつけた渾身作について、メンバー4人に話を聞いた。

取材・文 / 荒金良介 撮影 / 荻原大志

今年は1カ月に一度生きてて良かった!と思うことがありました(田邉)

今年も残り僅かとなりましたけど、2017年はBLUE ENCOUNT(以下ブルエン)にとってどんな一年でした?

田邊 いままでの中で一番充実してましたね。俺らの中で思い入れの深いELLEGARDENがやった幕張メッセ、加えて、福岡の国際センターと同じツアーで2つの大きな会場でやれたことはでかかったですね。それと夢だった映画の主題歌(「さよなら」)もやれたし、春、夏フェスも過去最多出演でしたからね。

なるほど。

田邊 しかもいいライヴを更新することができたから。あと、長年やりたかった「Bowline」(タワーレコード主催のライヴイベント)のキュレーターをやって、細美武士(The HIATUS/MONOEYES/ELLEGARDEN活動休止中)という人と同じステージに立てたことが17年を総括する出来事でした。ほかにマキシマム ザ ホルモンの復活ツアー、サンボマスターなど自分たちが学生の頃に聴いてた人たちのツアーに呼んでもらえたから、ライヴを通して認めてもらえたことも大きかったですね。

とりわけMONOEYESとの対バンは感慨深かったですか?

田邊 そうですねえ。細美さんと仲良くなったのは「GT」というライヴ・イベントで一緒になって、俺らのライヴも褒めてくれたんです。いきなり話しかけられたんでしょ?

高村 廊下ですれ違いざまに「お前らライヴ良かったよ!」と言われました。

田邊 で、「Bowline」でMONOEYESと対バンしたときも自分たちのツアーが終わった後にもかかわらず、手加減ナシのライヴをやってくれたし。細美さんはブルエンのライヴを終始ステージ袖で観てくれて、めちゃくちゃ楽しんでいらっしゃった。その日は朝7時まで、テキーラ何杯いったかわからないくらい飲みました(笑)。

最高じゃないですか。

田邊 そうなんですよ。最終的に僕と細美さんでどこで飲んで、どこで解散したかも覚えてないくらベロベロになって。去年は日本武道館公演のために走っていたけど、今年は1カ月に一度生きてて良かった!と思うことがありました。

夢は叶ったけど、常に危機感はあります。それこそ10、20年とフェスに出られるようになって、安心できるようになるのかなと(江口)

では、江口さんはどうですか?

江口 田邊が言っていた通り充実していたんですけど・・・その反面、憧れの先輩たちと一緒にやる機会が増えたから。一度だけではなく、コンスタントに対バンしないと意味がないと思うんですよ。本当にこれからの自分たちの頑張り次第で、憧れの先輩たちとまた対バンできるかどうかが決まるので、身が引き締まる思いですね。夢は叶ったけど、常に危機感はあります。それこそ10、20年とフェスに出られるようになって、安心できるようになるのかなと。

長期的な視野でバンド活動を見据えていると?

江口 細美さんにも言われたんですけど、フェスに10年出続けることが、いかに難しいことかを教えていただいて。勇気が出たし、頑張ろうと思いました。

来年は僕らが尊敬する先輩たちと肩を並べて、噛みつかなきゃいけないから(辻村)

辻村さんはどうですか?

辻村 2人が言ったように充実していたけど、これから変化していかなきゃいけないなと。先輩方と対バンして、本気の意見をくれるので、来年は僕らが尊敬する先輩たちと肩を並べて、噛みつかなきゃいけないから。

高村さんは?

高村 今年は危機感も持った1年でした。怖いなと思うこともあったから。自分たちは一個一個、地道に乗り越えていかなきゃいけないバンドだなと。闘っていかなきゃいけない、と思わせてくれたいろんな方との出会いがありました。

地に足をつけた先輩たちを見ると、僕らはその辺にある小石だなって(高村)

「怖いな思うこと」とは?

高村 俺たちはまだ風が吹けば飛ぶような存在なんだなと。CDの売り上げとかは伸びてますけど、よっしゃー!と言える数字ではないし、地に足をつけた先輩たちを見ると、僕らはその辺にある小石だなって。でもそこで終わりたくないし、でっかい大木になるためにはもっと頑張らなきゃいけない。そういう意味で、いい1年ではあったんですけどね。

今作にもその闘争心みたいなものは滲み出てますよね。

田邊 そうですねえ。

サマーアンセムみたいな、みんなと楽しめる曲を作りたいなと(江口)

今回の制作自体は、テレビ東京系アニメ『銀魂』ポロリ篇オープニングテーマに抜擢された表題曲がきっかけですか?

田邊 きっかけではあるけど、「VS」のサビはその前からあったんですよ。そもそも、夏にミニ・アルバムを出す予定だったんです。ツアーが終わって、夏前に曲をたくさん作ったけど、有り難いことにスケジュールが詰まって、レコーディングする時間がなくなって。だったら、夏フェス15本で毎回みんなが楽しめる曲を提示しようと。それで「SUMMER DIVE」を作ったんですよ。その前後に『銀魂』の話もいただいて、「VS」のサビだけはあったので・・・ライヴで即戦力になる曲をもう1曲(「SUMMER DIVE」)作れそうだなと。セットリストの、どこでも置ける曲が欲しかったから。

なるほど。これまでも「SUMMER DIVE」みたいなアッパーな曲調はありましたが、夏フェス縛りの楽曲は初めて?

江口 夏フェスど真ん中を狙った曲は初めてですね。サマーアンセムみたいな、みんなと楽しめる曲を作りたいなと。

田邊 曲自体はスタジオで一気に作りました。それぐらいの衝動でやらないと、夏フェスに来るグレーゾーンの人たちの耳に残らないかなと。パッと歌って、これいい!と思うものだけを詰め込みました。

江口 途中、タオル回させるパートはもろに狙って作りましたからね。自分たちがこういう景色になったらいいな、というものを思い浮かべたから、構成もすごく早かったです。みんなで楽しむ曲というビジョンを共有していたので、アレンジもスムーズでした。

辻村 夏フェスでもやったけど、ここ最近学園祭でもやっているんですけど、曲のイントロからみんながタオルを回してくれて・・・。

江口 みんな回したくて、しょうがないんだね(笑)。

辻村 そうそう。期待を遙かに越えているので、そのお客さんの反応も嬉しくて。季節関係なく通用するんだなって。曲の強さにも改めて気づかされました。

高村 「SUMMER DIVE」はカップリング曲だけに終わらず、ライヴでも永遠にやっていける曲にしたい、と江口が言ってたんですよ。「VS」を含めて両A面シングルになっているんじゃないかと。今度、リクエスト・ワンマンをやるんですけど、既に「SUMMER DIVE」が上位にランクしているんですよ。

それは凄いですね。

高村 ちゃんと浸透しているだなって。すごく重要な役割を果たしている曲ですね。

フェス・シーンぽい曲だけど、モッシュ、ダイブとは違う景色になっているし、そういうものも壊したかったんですよ(田邉)

「SUMMER DIVE」は夏だ、騒ごう、パーティーだ!という曲調ですが、歌詞はいい意味でそれを裏切ってます。<ライヴ>と<マナー>という”VS感”というか、対立軸をしっかり描いているところがブルエンらしいなと。

田邊 フェス・シーンに準じている曲と思われがちで、聴いた人もサビでダイブしてやろう、という気持ちになるかもしれないけど。現場だと、みんながタオルを回すから、思ってるような盛り上がりにならなくて。言ったら、この曲はフェス・シーンに対して、斜めの切り口でやっています。フェス・シーンぽい曲だけど、モッシュ、ダイブとは違う景色になっているし、そういうものも壊したかったんですよ。MVも面白い仕上がりになったと思います。

「VS」もライヴ感がありながら、いろんな要素が詰め込まれてて。切なくもアッパーな曲調が個人的にツボです。

田邊 どれもトゥーマッチじゃないところがいいのかなと。ひとつが溢れすぎてるわけじゃなく、全部の要素が表面張力みたいにパンパンに張りつめている感じだから。

みんなの見ている方向が一緒だったから。ここどうしようかな?って悩んだ部分もなくて、すんなりと進みました(高村)

ええ、そのバランス感が聴いてて、面白かったです。

江口 構成はわりと早めにできたんですよ。それから各々のフレーズを入れて、またブラッシュアップしました。

辻村 デモの時点で曲の背景が見えたから、自分が思うベース・ラインを組み立てました。Bメロで4ビートになったりして、あそこはジャズにもできるし、クラブ・サウンドにもできるし・・・いろんな取り方ができるかなと。イントロやサビはスラップを取り入れて、衝動的にやったものだけど、よく考えたらいままでやったことがないアプローチだなと。曲に対して、考えが柔軟になってきたのかもしれない。Bメロが4ビートになったことで、ドラムも4つうち以外のリズムを入れてくれましたからね。

江口 全体を構築する上で、ベースが引っ張ってくれた部分は大きいですね。

高村 みんなの見ている方向が一緒だったから。ここどうしようかな?って悩んだ部分もなくて、すんなりと進みました。

作詞作曲して、改めて楽器隊や田邊の歌声の有り難みを感じましたね(辻村)

 

最後の「らしく」は辻村さんが作詞作曲したものですね。前作「さよなら」収録の「The Chicken Song」(江口が作詞作曲)的なポジションで。

辻村 まさにそうですね(笑)。最近は曲出しのときに、田邊以外のメンバー3人も出すんですけど・・・この曲は今作の流れにハマッているかなと。とはいえ、作詞作曲は初めてだったから、どうしていいかわからず。メロディ、楽器も100%の状態でバキバキに作って、メンバーに聴かせました。ギターソロもそのまま弾いてくれたし、自分が描いた以上のものをやってくれたなと。作詞作曲して、改めて楽器隊や田邊の歌声の有り難みを感じましたね。

「らしく」もエモーショナルないい曲ですね。

江口 いままでのブルエンにはなかったストレートなロックだけど、どこか哀愁が漂ってますからね。

初期ELLEGARDENのミドルテンポの曲調がふと頭を過りました。

辻村 嬉しいですね。これを機に自分の考えもバンドにちゃんとアウトプットしていきたいなと。歌詞に関してはメンバー3人が右と言ったときに、俺だけ左と言ったとしても、自分の心がブレないようにしたくて。人と違う意見を言ったときにそれは間違いじゃないし、斬新な意見かもしれないわけで。そういう自分を好きになるだけで、世界の見え方も変わるんじゃないかと思って。自分のものすごくピュアな部分が歌詞に出てますね。

音楽的にはどの辺の引き出しを開けた感じですか?

辻村 海外の西海岸みたいなイメージですからね。ドライブしながら、海が似合う曲とかあるじゃないですか。いままでブルエンはみんなが違うフレーズを弾いてるものが多かったけど、海外のバンドはあえてみんなが同じことをやって・・・だからこそ出る力強さや壮大な曲をやってる人たちも多いから。テーマは8ビートでどっしりやりたいなと。面白い曲に仕上がったと思います。

このバンドで鳴らせば、このバンドの音になることを証明したい1年だったのかなと(田邉)

すごく新鮮でした。今作はまた新たな扉を開ける一枚に仕上がりましたね。

田邊 辻村が作った「らしく」という曲に掛けるわけじゃないけど、僕らは「らしいね」と言われることがあまり好きじゃなかったんですよ。それで『THE END』で”らしさ”という定義を一度ぶっ壊したつもりなんですよ。だから、今年出したシングル(「さよなら」と今作)はらしくない曲ができたのかもしれない。ただ、今作を”らしくない”と思う人もいれば、そこに”らしさ”を見出だしてくれる人もいるわけで、それは貴いことだなと思うんですよ。そういう意味でこのバンドで鳴らせば、このバンドの音になることを証明したい1年だったのかなと。で、この3曲はそれが如実に出ている気がするんですよ。逸脱しているように見えるけど、メッセージや音に対する気遣いはどれもブルエンらしいと思うから。これを経て、次にらしい曲をできたときは、もっと刺さるんじゃないかと思って。

あと、今作はVS感がテーマになっていると言いますか。表題曲は自分と世界、「SUMMER DIVE」はライヴとマナー、「らしく」は自分と内なる自分という形式になっていますが、これは偶然なんですか?

田邊 前シングル「さよなら」のときもそうでしたけど、僕たちはコンセプトを設けてないけど、作品通してコンセプトがそこはかとなく出てしまうバンドなんですよね。それをまた”らしさ”と捉えてもらえたら、作り甲斐があるなと。去年はブルエンのパブリック・イメージに急かされたところもありましたからね。今年はいい意味で裏切ることができたので・・・繰り返しになりますけど、次にブルエンらしい曲を作ったときは、もっと削ぎ落とされて、エッ、聴いたことがないよ!って曲が生まれるんじゃないですかね。

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ライブ情報

詳しくはhttp://blueencount.jp/live/

BLUE ENCOUNT

田邊駿一(Vo. Gt.)、江口雄也(Gt.)、辻村勇太(Ba.)、高村佳秀(Dr.)。熊本発、都内在住4人組。
熱く激しくオーディエンスと一体になり、MCでは時に自らが涙してしまうほどの感情をぶつける熱血なパフォーマンスが話題のエモーショナルロックバンド。2014年9月10日にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。2015年1月にリリースしたファーストシングル「もっと光を」は、新人ながら全国35局でのパワープレイを獲得。5月には人気のテレビ東京系アニメ『銀魂゜』のオープニングテーマとなるシングル「DAY×DAY」をリリース。7月にファーストフルアルバム『≒』(ニアリーイコール)をリリースし、数多くの夏フェス、年末イベント等、いまや大型フェスには常連参加アーティストとして名を連ねる。2016年には1月に第94回全国高校サッカー選手権大会の応援歌にもなった「はじまり」、そして『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のオープニングテーマ「Survivor」、全ブルエンリスナーに向けた「だいじょうぶ」、ドラマ『THE LAST COP/ラストコップ』の主題歌「LAST HERO」と4枚のシングルをリリースし、そして2016年10月9日には日本武道館ワンマン公演、<LIVER’S 武道館>も大成功に収める。2017年1月11日にはセカンド・アルバム『THE END』をリリースし、オリコンウィークリーチャート7位に堂々のランクイン! 3月からはバンド史上最大規模となる全国ツアー<TOUR2017 break”THE END”>も行うなど、まだまだ快進撃が止まらないベストルーキー!!

オフィシャルサイトhttp://blueencount.jp/