LIVE SHUTTLE  vol. 215

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F-BLOOD 20周年を飾るツアーファイナル。ステージと会場が一体になった夜。「また帰ってくるからね」と再会を約束

F-BLOOD 20周年を飾るツアーファイナル。ステージと会場が一体になった夜。「また帰ってくるからね」と再会を約束

F-BLOOD 20th Anniversary POP ’N’ ROLL TOUR 2017
2017年11月24日 Zepp DiverCity

ファイナルを観ればそのツアーがわかるものだが、この日のライブはツアーの充実ぶりがビシビシ伝わってくる、とても楽しいものだった。

藤井フミヤと藤井尚之の兄弟ユニット“F-BLOOD”は、今年結成20周年を迎え、9年ぶりとなるアルバム『POP ’N’ ROLL』を発表。50代男子としては異例の、ポップなロックンロールがズラリと並ぶエネルギッシュなアルバムだった。2人にインタビューした際、彼らが強調していたのは、「普通にやれば年齢なりのアルバムも作れたけど、この年齢だからこそ、ポップで踊れるアルバムにしたかった。なぜかって言うと、この先、どこまで動き回るライブができるのかって考えたら、今でしょ。ツアーのことを考えたらからこそ、この時点で、こういうアルバムを作っておきたかった」ということだった。

あくまでライブを前提にアルバム作りをしてきたF-BLOODだからこその発想はいっそ潔く、『POP ’N’ ROLL』は弾けるようなアルバムになった。中には激しくブロウするサックスがイントロを飾る、往年のチェッカーズを思わせるナンバーもあり、ファンもツアーに期待を寄せていた。 
そして満を持して9月17日にスタートした“F-BLOOD 20th Anniversary POP ’N’ ROLL TOUR 2017”も、11月24日のZepp DiverCityでいよいよファイナル。僕はこのツアーの2日目を観ている。ツアーを経て、F-BLOODにどんな変化が起こっているのかも含めて、期待をこめてお台場に足を運んだ。

元祖ブルース・ロックのブッカ―・T&ザ・MG’sが演奏する「グリーン・オニオン」のBGMが「ロックンロール・ミュージック」に切り替わると、メンバーが登場。フミヤと尚之に加えて、大島賢治(dr)、中村昌史(b)、真壁陽平(g)の5人がステージを占める。このギター・トリオで『POP ’N’ ROLL』はレコーディングされ、その感触がよかったので、ツアーも同じメンバーで臨んだのだ。なので、5人がどれだけの高みに到達するのだろうか。

注目のファイナルは、ファーストアルバムの「BLOOD #1 #2」から始まった。血の絆を歌い上げるミディアム・ナンバーからスタートするあたりが、50代ユニットらしいと思っていたら、次の「ROCK BAR」は『POP ’N’ ROLL』収録の曲で、真壁の超ハードなギター・リフがイントロだ。この新旧の対比を、オーディエンスにいきなり突きつける。これもまた成熟した男子ならではの戦略だ。フミヤと尚之のボーカル・ハーモニーは迫力十分で、ギラギラしている。勢いに乗った真壁がギター・ソロに入る前に、フミヤが一瞬、素早いステップを踏む。“バンドの呼吸”をよく知っているのは、さすがフミヤだ。その“エール”を受けて、真壁が短いがシャープなソロを弾いたのもさすがだった。

「F-BLOODです!」とフミヤが言って、挨拶代わりに2人で“F”と“B”の形を身体を使って表わすと、場内から爆笑と拍手が起こる。「20年間でアルバムを3枚出しました。オリンピックより長い周期です(笑)。取りあえずF-BLOODは今日で“解散”だから、盛り上がって行こうぜ!」。

場内がすっかりあったまったところで、明るいロックンロールの「You Love Rock’n ROLL」だ。フミヤが思い切りヒップを振れば、尚之が歪んだ音色でサックスを吹きまくる。中村のタイトなベースと、余裕のある大島のドラム、そこに真壁の天然ロックギターが絡む。シンプルだが力強いバンド・サウンドが今回のF-BLOODの基本だ。

そうしたベーシックなサウンドをオーディエンスに沁み渡らせた後の、「恋するPOWER」と「I LOVE IT!ドーナッツ!」が凄かった。「恋するPOWER」は文字どおり、恋がすべてのパワーを生むと歌うのだが、Zeppを埋めた女子ファンたちがフミヤの歌に反応して頭上で両手のハンドクラップをすると、これはもう立派な愛のメッセージソングになる。すっかりソノ気になったところで、「I LOVE IT!ドーナッツ!」のエロいリリックと、バンドの腰に来るグルーブが炸裂する。フミヤのセクシーなアクションとマウスハープ(ブルースハーモニカ)のソロが、さらに会場を熱くする。ステージと会場が一体になってぐんぐん演奏が過熱し、凄いドライブ感だ。そういえばこの日はWOWOWの生中継が入っていて、ミュージシャンには若干の緊張があったのだが、この時点でメンバーはそんなことはすっかり忘れて音楽に熱中している。この感じ、若いバンドでも滅多にない。少年のようなステージ・パフォーマンスと、それにシンクロするオーディエンスのエネルギーが混じり合って、この日、いちばんと言える幸福な時間になった。

息を整え、水分を補給したフミヤが話し始める。「9年ぶりのツアーでして、気持ちは前とそんなに変わってないと思うんだけど、アルバムジャケットを見ると、だいぶキテるな(笑)。次は60代でアルバムか。たぶん、ライブは座ってやってるな」。すると尚之が「お茶とヨーカンを置いてね」。「次は若作りで行こうぜ! お前たちも若作りしてんだろ?」とフミヤが言うと、客席から笑いが起こる。「いい感じで年を取らせてもらってます。みなさんのおかげです。では、ここで大人の恋愛の歌を」と、「東京STYLE」など3曲、ロマンティックなナンバーを歌った。

メンバー紹介をはさんで、「あの歌も、この歌も、F-BLOODで」と言って猿岩石に書いた「白い雲のように」と、チェッカーズの「Long Road」をセルフカバーしたのも、楽しかった。

そして後半の盛り上がりは、『POP ’N’ ROLL』収録の「孤独のブラックダイヤモンド」から。この曲が問題の(笑)チェッカーズ・テイストのナンバーだ。ツアー2日目に見たとき、オーディエンスは楽しんではいたが、どちらかといえば“見て”いたように思う。その意味では、完全にステージ側の“勝ち”だった。が、ファイナルのこの日は、この曲の楽しみ方をマスターしたオーディエンス側が、曲のオイシサにがっちり噛みつく。イントロで思い切りサックスをブローしながら、ステップを踏む尚之をがっちり受け止め、フミヤのハンパない“昔風アクション”にもキャーキャー歓声を上げる。それに触発されたように、真壁がロカビリー風のギターを奏でる。つまり、ステージもフロアも一緒になって、懐かしさを爆発させ、だからこそ懐かしさを越えて、“たった今のF-BLOOD”がそこに現われたのだった。どちらの勝ちでも負けでもない、全員がハッピーな勝利を収めたのだった。

そこからは一気にラストまで。乱暴な「NANA」も、みんなが踊る「THE FRUSTRATIONS」も、フミヤが腹筋を見せつける「COOL BABY」も、完全燃焼の終盤だった。

アンコールではメンバー全員、黒のTシャツで登場。「今日で今回のF-BLOODは終ります。ツアーは長かったような、短かったような。兄弟でこんなに長く一緒にいることって、あんまりないよ。親は喜ぶかもしれないけど(笑)。楽しかったです。最後に『POP ’N’ ROLL』の中でいちばんポップな歌を、みんなで歌おう」とフミヤ。始まった「未来列車」は、作詞・フミヤ、作曲・尚之という“F-BLOODのルール”が最大限に活かされたナンバーだ。セクシーなF-BLOODも魅力的だが、一方で、おおらかさや明るい未来志向は藤井兄弟の姿そのものでもある。その明るさのまま、アンコールは終った。

再びステージに現われたフミヤは、「無事、生中継が終わりました。最終日ということで、(メンバー全員で缶ビールを持って)、今日は本当にありがとう。みんなに乾杯! スタッフに乾杯! バンドのメンバーに乾杯! Zeppに乾杯! F-BLOODに乾杯! 日本に乾杯!世界に乾杯! 宇宙にカンパーイ! こっからは飲酒演奏で♪」とビールをごくごく飲んで、「友よ」を歌い出す。生中継の緊張がほどけて、メンバーも楽しそうだ。特にベースの中村のプレイのハッチャケ方が愉快だ。続けてチェッカーズ・ナンバーの「I have a dream」をフミヤも尚之も気持ちよさそうに歌う。途中でフミヤは尚之に「コーラスはいいから、そっちに行けよ」と、端っこのオーディエンスに挨拶するように促す。

ステージを去るとき、フミヤはようやく「F-BLOODで、また帰ってくるからね」と、オーディエンスと再会の約束をした。温かい気持ちになったところで、ファイナルが終了したのだった。

文 / 平山雄一

F-BLOOD 20th Anniversary POP ’N’ ROLL  TOUR 2017
2017年11月24日 Zepp DiverCity

SET LIST
1. BLOOD
2. ROCK BAR
3. 砂
4. 「I」 
5. You Love Rock’n Roll
6. Want Chu
7. 恋するPOWER
8. I LOVE IT!ドーナッツ!
9. 東京STYLE
10. Love is blind
11. Full moon night
12. 白い雲のように
13. Long Road
14. Make Me
15. 孤独のブラックダイヤモンド
16. NANA
17. 蜂蜜の蜘蛛の巣
18. THE FRUSTRATIONS
19. カモなのかも
20. COOL BABY
EC1. 未来列車
EC2. 君だけのHERO
EC3.SHOOTING STAR
EC4. 友よ
EC5. I have a dream

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