Interview

THE PINBALLSのメジャー1st『NUMBER SEVEN』。作品に込められた“謎”からバンドのスタンスを紐解く

THE PINBALLSのメジャー1st『NUMBER SEVEN』。作品に込められた“謎”からバンドのスタンスを紐解く

ついにメジャーデビューする、THE PINBALLS。幼稚園から一緒のメンバーもいて、小学生でバンドの真似事を始めたという4人の強い絆が生み出す、男気満点のガレージロックは唯一無二。音楽への切実な想いに溢れた4人が『NUMBER SEVEN』とラッキーナンバーをタイトルにした7曲入りミニアルバムを持って登場だ。

取材・文 / 今井智子 撮影 / 増田慶

すぐにわからない、そんなものを入れるのも愛情。いろんな意味で謎を入れている

ついにメジャー1stミニアルバム『NUMBER SEVEN』リリースおめでとうございます。もう10年ぐらい活動されてるんですね。

古川貴之 はい。ぎゅっとすると3年ぐらいですけどね(笑)。みんな働きながらやっていたので。

森下拓貴 4人とも小学校の頃から一緒なんで、バンドを組む前からの仲間なんですよ。だから今でも、チャイムは鳴ったけど、もう少し一緒に遊んでいたいなみたいな感じで(笑)。

古川貴之(vocal)

バンドとしての焦点がはっきりしている作品だと思いますけど、自分たちらしさみたいものは意識してます?

古川 最初は気づかなかったんですけど、11年もやってくると、俺たち4人がいること自体が俺たちらしさだなって。バンドのいちばんの誇りがメンバーを変えてないってことなので、今になると。だから、自分たちらしさはそこだなと思いますね。

誰にもマネできない11年ですもんね。

古川 どんな天才的な人が来ようが、俺たちがバンドを組む前からの繋がりは知らないわけですから。

中屋智裕(guitar)

THE PINBALLSは2006年結成だそうですが、当初からガレージロックを目指していたんですか?

古川 4人が集まったときはそうでもなかったんですけど、THE PINBALLSと名付けてからは自然とそうなりましたね。

それ以前に音楽的な交流みたいなものは? 影響を受けたアーティストとか?

古川 僕はボブ・ディランが好きですけど、子供の頃は俺が森下の家にファミコンしに行って、ビートルズの『パスト・マスターズ』を借りたり、逆に俺が夏木マリを貸したり。

森下 それで俺、大ファンになりましたから。昭和歌謡が好きで、山口百恵さんも大好きです。

石原天 俺はNUMBER GIRLかな。

中屋智裕 僕はジミ・ヘンドリックスが好きですね。影響は受けてると思います。

バンド名がブランキー・ジェット・シティ(BJC)の「死神のサングラス」から付けられたということは、みなさんBJCがお好きなんだと思いますが。

森下 BJCは白米みたいなもので、真ん中につねにあるというか。だから、ほかはオカズですかね(笑)。

森下拓貴(bass)

曲を作るときはどんなふうに?

古川 歌詞は全部僕ですけど、曲は僕がだいたいのイメージ設計みたいのをして、みんなで具体的に作っていきます。だから、大元は僕と言えば僕なんですけど、みんなのおかげで出来てるというものもありますし、各々の楽器がかなりいいレベルのものを演奏してくれるので、4人の楽器の音がいいから、しょぼい原曲でもどうにかなってるという意味合いもあります。

森下 大元を作ってくるのは古川なんですけど、それぞれが持ち帰ってアイデア出して作ってきたものを、全員で合わせて。そこでは特に会話もないんですけど(笑)、「あいつがああいくなら、俺はこうしようかな」とかっていう感じで。

石原 でも、録り終わったあとに感じることない?(笑)

森下 ああ、あいつこんなことしてたんかとか、話が違うじゃんかとか?(笑)

石原天(drums)

(笑)このアルバムのテーマみたいなものはあったんですか?

古川 謎、です。今の時代って、僕たちが子供だったときより、スピード感がある時代で、かっこいいなと思ったらすぐに何を言っているかわかるし、すぐにDLしたりSNSでメッセージも送れる。そういうときにCDを手に取っていただいてもすぐにわからない、そんなものを入れるのも愛情のような気がして、いろんな意味で謎を入れています。普通の曲としても聴けるんですけど、僕はこういう意味を込めて作ったとお客さんには言わないけど、そういう秘密みたいなものを自分の中には隠しておくというか。

「君が好き」と直接言うのではなくて、ほかのことの歌だけどラブソングになっている、みたいな?

古川 好きな女にラブレターを直接渡すんじゃなくて、どこかの棚の奥か何かに隠しておいて、ドキドキしながら平気な顔して話してる、みたいな(笑)。

石原 それ、ちょっと怖い人だな(笑)。

めっけてもらえないかもしれない(笑)。寓話的な歌だというのは感じるので、歌詞にはいろいろな意味を込めているのだろうと思いました。それを聴きながら解きほぐして欲しい、と?

古川 解きほぐしてもらいたいし、答えが見つからなくてもいいかなって思うんです。考えてくれるだけでいい。実際、たいした謎じゃなかったりもするんですけど、謎があると思ってもらえたらいいかな、と。

ところで『NUMBER SEVEN』は7曲入りだから?

古川 それがさっき言った謎のひとつで。まあ通算7作目というのもあるんですけど、それぞれ“7”をモチーフにした曲が集まってまして。「ひとりぼっちのジョージ」と「that girl」は、個体では関係ないんですけど、全体像とか、それぞれの曲の中とか、さっき言った自分が込めた裏テーマとかがあるので。「“7”って何か関係あるの?」って、聴いた人も疑問を持ってくれたら嬉しいなと思います。考えなくても、パッと聴いただけでかっこいいと思うんですけど、僕は作品とかって長く付き合うタイプで、気に入ると10年20年、ずっとその作品でいいタイプなので、そういう感じで楽しみ方がいろいろあるといいですね。

「七転八倒のブルース」は“7”が入っていますね。ほかには、謎になるものとして、寓話的なものとかを持ってきてる気がします。ゾウガメのロンサム・ジョージとか。自分ではないストーリーを膨らませていくのが得意なのかなと思いましたが。

古川 「ひとりぼっちのジョージ」は、ロンサム・ジョージのことを歌ってるストーリーでもあるんですけど、俺たちのことを好きだと言ってくれてる人に対して、あなたたちのおかげで生きていけてますって、それが言いたいだけなんです。この曲は謎でもなんでもなく、本当にありがとうみたいな感じですね。

その言葉の中には、みなさんが4人だけで続けてきた時間があるかと思います。