Interview

Ivy to Fraudulent Gameの“革命”がここから始まる。バンドの圧倒的熱量を放出するメジャー1st『回転する』

Ivy to Fraudulent Gameの“革命”がここから始まる。バンドの圧倒的熱量を放出するメジャー1st『回転する』

ポストロック、シューゲイザー、マスロックなどを吸収した独創的かつダイナミックなバンドサウンド、すさまじいパワーとエモーションを兼ね備えたボーカル、そして、世界と正面から対峙し、音楽によって自分たちの居場所を築き上げようとする意志を込めた歌詞。ロックバンド本来の魅力を濃密に詰め込んだ、とんでもないポテンシャルを備えたニューカマーが登場した。群馬県出身の4ピースバンド、Ivy to Fraudulent Game(アイヴィー トゥー フロウジュレント ゲーム)。1stアルバム『回転する』とともにメジャーシーンへと進む彼らに、バンドの成り立ちとアルバムについて語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 山野浩司

「これが今の僕たちです」と言える一枚になった

1stアルバム『回転する』は、Ivy to Fraudulent Gameというバンドの音楽的なキャラクターがしっかりと提示された作品だと思います。ポストロック、シューゲイザーなどの幅広い要素が内包されたアルバムだなと。

寺口宣明 そうですね。今回のアルバムは過去の曲を再レコーディングしたものが4曲、新曲が3曲、インストが2曲なんですが、この機会に初めて自分たちの音楽を聴く人もたくさんいるだろうし、一枚で振り幅を見せられる作品にしたくて。そのバランスを含めてすごく良いアルバムが出来たと思うし、あとはもう、どうかたくさんの人に届いて欲しい、そしてライヴに来て欲しいと願うばかりです。

福島由也 過去曲の選定をしている時点で、バンドの幅を見せるということは意識していました。新曲を含めていろいろな方向の曲があるので、それをひとつの作品としてまとめるのがいちばん大変でした。結果的にすごく自信を持てるアルバムになったと思います。

大島知起 レコーディングで苦戦した曲もあるんですけど、頑張りましたね。

カワイリョウタロウ 「青写真」「アイドル」はずっとライヴでやっているので、ライヴテイクのアレンジを取り入れてます。ステージで培ってきた熱量も入っているし、「これが今の僕たちです」と言える一枚になったんじゃないかなって。

寺口宣明(guitar, voval)

これまでのキャリアを総括したアルバムとも言えそうですね。

寺口 「+」はこの2人(大島、カワイ)に出会う前からあった曲ですからね。曲は全部、福島が作ってるんですけど、「+」は16歳か17歳くらいのとき?

福島 そうだね。高1のときだから。

寺口 ライヴでやっていくなかで、どんどん曲の雰囲気が変わってきたんですよね。最初は“きれいに始まって、きれいに終わる”という感じだったんですけど、もっと音像が広がって、最近は“壊す”“汚す”みたいな感じもあって。すごくドラマチックな曲になりました。

なるほど。それにしても「+」のドラマチックなメロディを高1のときに作っていたとは。かなり早熟ですよね。

福島 その頃は右も左もわからなかったし、自分の好きな感じに仕上げていただけですけど……逆にそれがいいなと思うこともあるんですよね。「+」にしても、今だったらもっと音を詰め込もうとするかもしれないし。

ポストロック、シューゲイザー系の音楽も当時から聴いていたんですか?

福島 ポストロックはリアルタイムで聴いてましたね。

大島 流行ってたからね、高校くらいのとき。

福島 残響レコード(People In The Box、cinema staffなどが在籍していた音楽レーベル)のバンドとかね。シューゲイザーのバンドは後追いで聴くことが多かったです。マイブラ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)とかは、僕が生まれた頃のバンドなので。まあ、そういうのは俺のルーツで、ほかのメンバーはまた違うんですけど。

福島 由也(drums)

カワイさん、大島さん、寺口さんはどのあたりの音楽がルーツなんですか?

カワイ 音楽が好きになったきっかけは、小学校のときに聴いたORANGE RANGEですね。そのあと、テレビでBUMP OF CHICKENのライヴ映像を観て、バンドというものに興味を持って。あとは父親の影響で昔のハードロックなんかも聴いてました。

大島 僕は、バンドやギターに興味を持ったのは、マキシマム ザ ホルモンが最初ですね。その後、X JAPAN、メタリカなどを聴くようになって、よくコピーしてました。

寺口 僕はバンドをあまり知らなくて、音楽に興味を持ったのはYUIがきっかけなんです。そのあと、ポルノグラフティをテレビで観て「エレキギターってカッコいいな」と思って。歌のすごさということでは、玉置浩二さんで、CHAGE&ASKAのASKAさん、山下達郎さんですね。そのお三方にはかなり影響を受けています。

ホントに全員バラバラですね。Ivyの楽曲には福島さんのルーツが色濃く出ていると思いますが、寺口さんはまったく違う角度からアプローチしているんでしょうか?

寺口 (福島が)作ってきた曲に対して、俺が感じたものをそのままぶつけてます。それがバンドのオリジナリティにもなっていくと思うので。

福島 僕もそうだと思ってます。本気で感動できるものをどれだけ知っているかが大事で、それが増えれば増えるほど、バンドの個性になるので。だから(寺口が)別のアプローチをしてくるのもすごくいいことだと思っていて。あとはもう自分たちの感覚に忠実にやるだけですから。

大島知起(guitar)

かなり緻密にアレンジされた楽曲もありますが、大島さん、カワイさんはどうアプローチしているんですか?

カワイ もとになるアレンジも福島が作ってるんですけど、曲によっては「これ、どうやって音を組み合わせてるんだろう?」と思うこともあって。実際に演奏しても「何これ?」ということもあるし。

福島 (笑)。

カワイ けど、それがすごく楽しいんですよね。「この音、どうやって出そう?」って考えることで自分の幅も広がるし、自分の解釈でフレーズを加えることで、いろいろとデイスカッションもできるので。

新しい引き出しも求められる?

大島 そういうことばっかりですね。「こういう表現もあるんだ?」と思うことも多いし、勉強になります。

カワイリョウタロウ(bass)

これだけ熱量が高いサウンドの中で歌うのは、めちゃくちゃ気合いが必要ですよね。

寺口 はい(笑)。最初の頃はわりと淡々と歌ってたんですよ。無機質な感じのほうがいいのかなって、勝手に思ってたので。でも、ライヴを続けているうちに少しずつ意識が変わってきたんです。まず歌を聴く人も多いし、バンドの中で言葉を使っているのは僕だけなので、その表現のやり方はもっと考えていかないとダメだなって。聴き手に言霊を届けないとやってる意味がないというか。

福島 そうだね。

寺口 俺が好きな日本のトップシンガーも、歌を伝える力がすごいじゃないですか。音楽をやるからには自分もそういう存在になりたいし、そのためにはもっともっと歌の力をつけないと。