Interview

痛快! キュウソネコカミの入魂作『にゅ〜うぇいぶ』完成。ヤマサキセイヤ&ヨコタシンノスケの本音トーク

痛快! キュウソネコカミの入魂作『にゅ〜うぇいぶ』完成。ヤマサキセイヤ&ヨコタシンノスケの本音トーク

キュウソネコカミのニューアルバム『にゅ~うぇいぶ』は、エネルギッシュな八方ツブテ。あらゆる方向に石を投げるかのように、歌がリスナーの耳を撃つ。自分たちを、独自の道を突き進む5匹のネズミに例える「5RATS」でアルバムはスタート。シングル「サギグラファー」に続く「メンヘラちゃん」は、危険な存在を「この歌はお前の事では無いから安心して眠れ」とケムに巻く。かと思えば、「ギラギラおじさん」は不倫がテーマの歌謡曲。とにかくバラエティに富んでいる。中には投げた石が、自分に当たっちゃうような曲もあったりして、痛快きわまりない。
名作3rdアルバム『人生はまだまだ続く』(2015年10月発表)でバンドシーンに鋭い爪痕を残したキュウソネコカミが、満を持して野太いメッセージを放つ。タフなライヴを連戦してたくましさを増したポンコツたちは、心の底に“ポンコツ仲間”に対する優しさを秘めつつ、世の中にガブリと噛みつくのであった。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 関信行

ごった煮のアルバムに平仮名で『にゅ~うぇいぶ』っていうのは、ようやく噛み合った感じ

アルバム『にゅ~うぇいぶ』の制作には、いつ頃から取りかかったんですか?

ヨコタシンノスケ 『人生はまだまだ続く』に持っていた曲を全部入れちゃったので、一回まっさらになりまして。そこから「新しく作ろう!」と仕切り直して、最初にプリプロした曲も今作には入っていたりします。

その初プリプロをやった曲は?

ヨコタ 「☆断捨離☆」と「NO MORE 劣化実写化」ですかね。

ヤマサキセイヤ ほかにも曲のテーマとか、ちょっとだけアイデアやデモはあったりもして。

ヨコタ 「NO MORE 劣化実写化」はいいなと思ってはいたんですけど、ちょっと置いてあって。その頃は「サギグラファー」(2016年8月発表シングル)をリリースする時期も重なっていたので形にならなかったんです。ただ「今年(2017年)の夏には出さないと」と去年から思っていたので、夏に出すつもりでちゃんと作りました。

そういえば、あんなにシビアな歌詞の「NO MORE 劣化実写化」を出したのに、世の中では相変わらず映画の実写化が続いてるよね(笑)。

ヤマサキ ありがたいことに(笑)。でも、あくまで僕らはスベってる実写化をディスってるだけなので(笑)。

ヨコタ そう。スベってないのには、関知しておりません(笑)。

アルバムの曲作りは順調に?

ヤマサキ うーん(笑)。ラストスパートで4曲くらいは今年作った気がしますね。

ヨコタ それまでに作った曲も多かったんですけど、わりと今年に入ってからですね。そろそろアルバムを出さないといけないなと思っていたので。

ヤマサキ 結果、『にゅ~うぇいぶ』が完成するまでに、2年くらいかかってます。

L:ヨコタ シンノスケ(keybords, vocal)、R:ヤマサキ セイヤ(vocal, guitar)

今回のアルバム『にゅ~うぇいぶ』を聴いて、好き放題に歌ってるし、自由だなって感じました。

ヨコタ 「こんなんもできるし、こんなんもあるよ」って。俺たちは幅広くやれていて、楽しんでるんだぜって感じです。だからシングルを切ったときに、お客さんが不安になる気持ちもわかるんですよ。「すごくいい曲だけど、もしかして今、キュウソは真剣モードなのか?」って深刻になられても……もちろんつねに真剣ではあるんですけど、曲のままをバンドの印象として捉えられると困るなと。

「NO MORE 劣化実写化」のインタビューのときに「キュウソのイメージを、いい意味でくだらない感じにリセットしたい」って言ってたけど、そういうことなんだね。

ヨコタ そうです。

それで『にゅ~うぇいぶ』で、キュウソネコカミのアルバムの在り方を確認できたのかな? それとも新しい一歩という感じなの?

ヤマサキ 新しい一歩というよりは、いつもどおりという感じかな。僕らのアルバムっていつもバラバラな曲が集まってるじゃないですか。その意味で言うと今回のアルバムタイトルは、やっとそういうバンドの姿勢に沿えたかなって感じてて。今までだったら、『人生はまだまだ続く』と言いながら、ふざけた曲が入っていたり、そこにちぐはぐ感があったんですけど、このごった煮のアルバムに平仮名で『にゅ〜うぇいぶ』っていうのは、ようやく噛み合った感じがしていて。「キュウソ感、完成!」みたいに、ドーンとハマったんじゃないかと思ってるんですよ。今までは漢字のアルバムタイトルにこだわってたんですけど、それが最近、重たく感じてきていたので。

キュウソらしく、もっと自由にやろうと?

ヤマサキ 俺ら、後輩バンドたちにめっちゃ抜かれて。後輩のほうが先にどんどん売れてったんですよ。それで今までのこだわりを捨てて、売れようと曲を書いたんだけど、ダメだった(苦笑)。やってみたんですけど、結果ぐちゃぐちゃになって何もできなかったんですよね。今回はそういうことを乗り越えたあとの2年間に作った曲が多いので、遊んでる、肩の力が抜けてる、音楽を楽しんでるみたいなものになりました。

ヨコタ 雰囲気も良かったです。曲を作ってるときにワイワイ、大喜利みたいに作っていったり。キレイに整えないでヘンな感じのままレコーディングまで置いといて、やってしまうというのもありましたね。

デコボコのままでいいと?

ヨコタ むしろそっちのほうがいいんじゃないかという曲も多かったので。しかも一発録りが、今までのアルバムの中ではいちばん多い。

そのわりに音がどっしりして聴こえたけど。

ヨコタ そうなんですよね。演奏がうまくなったというのもあると思います。

ヤマサキ スタッフもわかってきてるし。

ヨコタ 「ちゃんとしなきゃ!」ってやっているよりも、こういうほうが僕らうまいんで。クリックに合わせてというより、ムラがあってしかるべきというか。そのほうがうまく聴こえるという、バンドの特性がいい具合に出たんじゃないかとも思います。

ライヴという、“充実した練習”を重ねてきたわけだから(笑)。

ヨコタ そうですね(笑)、ひたすらライヴやってきましたからね。

ヤマサキ CDになった瞬間に勢いがなくなるというのもあって、やっぱりキュウソはライヴがいい。

ヨコタ そう。ライヴ盤(2017年4月発表『キュウソネコカミ-THE LIVE-DMCC REAL ONEMAN TOUR 2016/2017 ボロボロ バキバキ クルットゥー』)を出して、そのときにキュウソはライヴで聴くほうがかっこいいなと改めて思ったんですよね、ノリノリな感じが。だから新曲もそうあって欲しいなと思って、一発録りをやりました。