LIVE SHUTTLE  vol. 216

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The Birthday 新しいモードに足を踏み入れたバンドが見せつけた“完成度の高い破壊力”

The Birthday 新しいモードに足を踏み入れたバンドが見せつけた“完成度の高い破壊力”

The Birthday TOUR 2017“NOMAD”
11月25日 Zepp DiverCIty Tokyo

オープニングからダブル・アンコールまで爆音で貫き、バンドが終始、オーディエンスを圧倒。The Birthdayの本領を、改めて痛感したライブだった。

5月27日、横浜Bay HallからスタートしたThe Birthday TOUR 2017“NOMAD”もいよいよ大詰め。ファイナル前日の11月25日、Zepp DiverCityを観に行った。

アルバム『NOMAD』のインタビューで、チバユウスケは「俺はね、前作の『BLOOD AND LOVE CIRCUS』がこれまでの“集大成”で、今回の『NOMAD』は“その先”なんだろうなっていう感じなんだよね」と語っていた。“その先のThe Birthday”を掲げたツアーは、果たして半年を経てどのように突き詰められたのか。

いつもと変わらず開演を告げるThe Crestsの「Sixteen Candles」が、轟音で鳴り響く。いつ聴いても、胸が高鳴る。そう、これがThe Birthdayだ。まずフジイケンジ(g)、ヒライハルキ(b)、クハラカズユキ(dr)がステージに現われる。少し遅れてチバが入ってきて、不敵な眼差しでフロアを見渡す。と、いきなりクハラが演奏をスタート。一段と太くなったドラミングが、ライブの開幕を告げる。チバはポケットに左手を突っ込んだまま、「Year!」と叫ぶ。オープニングはアルバム『NOMAD』の1曲目「24時」だ。♪右手には吉田式♪という歌詞が、妙に耳にこびりつく。かつて日本製の拳銃に“南部式”という名機があったが、そのゴツいフォルムを思い出す。危険な匂いがフロアに漂い出す。

The Birthdayは少し前の時期、歌モノに目覚ましい進化を遂げた。チバのタフさに裏打ちされた優しさが、グッとくる楽曲と演奏が楽しみになった時期があった。が、今回はそれとは明らかに違う。ガンガン攻めてくるのだ。“完成度の高い破壊力”とでも言えばいいのか。特にフジイのギターが凄い。アバンギャルドなフレーズを、スピード感たっぷりに弾いて、リスナーの耳に的確に突き刺す。安心は与えない。その代わり、チバが叫ぶリリックに、鋼鉄のようなリアリティを与える。さっき僕の耳に飛び込んできた“吉田式”のように、危険な匂いを増幅させる。

チバが♪I have a blues,you have a blues♪と歌ってから始まった「バーテンダー」も、ヒライのベースがドライブする「愛でぬりつぶせ」も、暴力的なビートでオーディエンスを圧倒する。

かと思うと、中盤の「月の上のイライザ」では、チバの弾くグレッチとフジイの弾くレスポールが、調和の取れたアンサンブルで♪反逆のハートはここだ♪という強い言葉を届ける。続く「爪痕」では、思い切り切ないサウンドで、オーディエンスの心に爪痕を刻みつけたのだった。歌うチバの後ろには、The Birthdayの文字をかたどったピンクのネオンが光っている。

終盤に入ってもスリリングなセットリストが続く。♪もしも俺が 七色の銃を 持ってたとしたら♪と歌う「VINCENT SAID」は、聴く者を切迫した気持ちにさせる。次の「LOVE SHOT」でチバはブルースハープでオーディエンスを挑発。この場面で天井のミラーボールが回り出し、オーディエンスがチバの挑発に応じるように♪LOVE SHOT!♪と叫ぶ。

高い緊張感が支配するライブで、ひと息入れることができたのは、「プレスファクトリー」だった。歌う前にチバが「もう、なんかさ、悲しみとか捨ててさ、ファンキーに行こう!」と呼びかけると、オーディエンスが歓声で応える。♪サンドイッチに トマトはさ 入れないでほしいね パンの耳は 切らないで 結構それは重要♪というユーモラスな歌詞が、気持ちを和ませてくれる。

「東京は人口がデカいなあ」と、チバがふともらす。全国のライブハウスをツアーしてきたからこそ、最後の東京の盛り上がりをストレートに喜ぶ。チバのライブ・アーティストとしての素朴な実感が沁みた瞬間だった。

そんな場の雰囲気を読んだように、鋭く刺激的な「夢とバッハとカフェインと」で会場をクレイジーな喧噪に引き戻す。「GHOST MONKEY」、「1977」と、アルバム『NOMAD』から選りすぐったエッジーなナンバーで最終盤を突き進む。そして本編のラストは、『NOMAD』で最高にエモーショナルな「抱きしめたい」だった。クズ共から世界を奪い返すと俺は決めたと、繰り返し叫ぶチバの決意がダイレクトにオーディエンスに伝わり、フロアの熱気は最高潮に達する。ステージ背後にセットされた照明が灯り、チバの後ろに“五芒星”が浮き上がる。最もThe Birthdayのロックを感じさせるエンディングになった。

アンコールでチバが缶ビールを持って現れ、フジイがギャリーンとギターを鳴らして始まったのは、「KIMAGURE KING」。理屈抜きで血を熱くさせるパンキッシュなナンバーだ。オーディエンスも理屈抜きで拳を上げて楽しむ。「なぜか今日は」でオーディエンスは、突き上げた拳を開いてクラップする。ラストはおなじみの「READY STEADY GO」で、4人のメンバーはオーディエンスとの一体感を存分に楽しんだ。その気持ちがあふれ出したかのように、クハラは最前列のファンとハイタッチしてステージを去っていった。

ダブル・アンコールでこの日の模様がライブ・アルバムになることを告げると、オーディエンスは一層大きな声で喜びを表わす。「ローリン」でチバは楽しそうにステップを踏み、曲の中でメンバー紹介をする。メンバーは最後の曲らしく、解放感いっぱいのプレイでThe Birthdayのロックを鳴らす。リラックスした演奏の持つ破壊力は、どんな人の心も溶かしてしまう。そんなTHE BIRTHDAYの魔法を見せつけられて、僕は「大人気(おとなげ)ないなあ」と思った。いい大人のThe Birthdayが、まるで少年のように暴れ回る。こんな大人になりたいと思ったオーディエンスが、きっと多くいただろう。若さをあふれさせるThe Birthdayは、やはりロック・バンドの中のロック・バンドだ。ライブ・アルバムのリリースが、ますます楽しみになった一夜となった。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 新保勇樹

The Birthday TOUR 2017“NOMAD”
11月25日 Zepp DiverCIty Tokyo

セットリスト
1.24時
2.夜明け前
3.ゲリラ
4.バーテンダー
5.ROCK’N’ROLL GIRL
6.木枯らし6号
7.愛でぬりつぶせ
8.月の上のイライザ
9.爪痕
10.DEVOLA
11.SATURDAY NIGHT KILLER KISS
12.VINCENT SAID
13.LOVE SHOT
14.プレスファクトリー
15.夢とバッハとカフェインと
16.GHOST MONKEY
17.1977
18.抱きしめたい
ENCORE-1
1.KIMAGURE KING
2.なぜか今日は
3.READY STEADY GO
ENCORE-2
1.ローリン

The Birthday

Vocal & Guitar : チバユウスケ(7.10)、Guitar : フジイケンジ(3.08)、Bass : ヒライハルキ(6.20)、Drums : クハラカズユキ(4.03)。
05年9月、チバユウスケ(Vo&G)が中心となって結成。2010年末から現在のメンバーに。結成10周年となる2015年には、ベスト・アルバム『GOLD TRASH』をリリースし3度目の日本武道館公演を成功に収める。
2017年3月シングル「抱きしめたい」をリリース。5月にニュー・アルバム『NOMAD』をリリースして、27日からは全国ツアーがスタート。2018年1月31日には初のライブ・アルバム『LIVE AT XXXX』をリリースする。

オフィシャルサイト
http://www.rockin-blues.com/category/the-birthday

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