モリコメンド 一本釣り  vol. 43

Column

uchuu, “ジャンルレスにしてダンサブル”。果たして彼らの正体とは?

uchuu, “ジャンルレスにしてダンサブル”。果たして彼らの正体とは?

このバンドの音楽性を一言で説明するな“ジャンルレスにしてダンサブル”ということになるだろうか。強烈なダイナミズムに溢れたギターロック、しなやかなグルーヴを内包したファンク、きらびやかな光をまとったエレクトロなどを自在に融合させたサウンドには、圧倒的なオリジナリティと“聴けば自然と身体が動き出す”わかりやすいポップネスがナチュラルに共存している。映像的なイマジネーションと真摯なメッセージ性を融合させた歌詞もきわめて魅力的。あらゆる角度から楽しめるところも、このバンドの特徴だろう。

バンドの名前は、uchuu,。“宇宙”ではなく、“u”(YOU=君)、“chu”(Onomatopoeic of Kiss = キス)、“u”(YOU=君)、“,”(punctuation mark=まだ続く、永久調和の一瞬)からなる造語で、「君が君にキスをする。自尊心の表れと、自分を大切にしてほしい」という意味を持っているという。そして、このバンド名は、独自のスタイルを追求し続ける彼らのスタンスにもつながっている。

uchuu,の中心は、メインソングライターのK(V/G/Pf)。彼が作り上げた楽曲を的確に表現し、質の高いプレイヤビリティによって色を加えているのが、Sujin(Ba/Synth)、Airi(Dr)、Hiroshi(Seq/Per)の3人だ。Kが生み出す音楽は、きわめて幅広い。以前インタビューした際にKは「ロック、クラブミュージックはもちろん、レキシも聴くし、スキマスイッチも聴くし、ザ・キュアーも聴く。ボーダーはないですね」とコメントしていたが、“好きなもの、良いと思ったものは何でも聴く”というリスナーとしての傾向は、そのまま彼が作る楽曲につながっているといっていいだろう。

もう一つの特徴は、すべての楽曲にメンバー全員のセンスが反映されていること。作詞、作曲、ヘッドアレンジを手がけるのはKだが、制作の段階でメンバーそれぞれのプレイスタイルを考慮し、アレンジを固めていくときもメンバーから出たアイデアを取り入れているという。そう、uchuu,は決してKのワンマンではなく、個性的なプレイヤーたちの音が有機的に絡み合うことで成立しているバンドなのだ。

そのスタイルは12月6日にリリースされた2nd E.P.「WHITE」にもはっきりと示されている。リードトラック「FLY」は、タイトル通り、心地よく上昇していくようなビートが印象的なアッパーチューン。繊細なアコギのフレーズ、高揚感に溢れたバウンシーなビート、キラキラした光を放つシンセがひとつになったサウンドは、“自然に体が揺れるような楽曲”“メンバーの個性を活かしたアレンジ”を中心としたuchuu,の音楽性のど真ん中だと言っていいだろう。

「FLY」のミュージックビデオにもぜひ注目してほしい。東京の街のなかで「FLY」を演奏するメンバーを遠距離からズームイン/ズームアウトを繰り返す映像は、高空間解像度8Kカメラを使用して撮影されている。新しい機材を駆使したこのMVを手がけたのは、クリエイティブプロダクション「GROUNDRIDDIM」。気鋭のクリエイターとのセッションによって楽曲のイメージを増幅させるトライアルによって、きわめて刺激的な映像作品に結びついたとういわけだ。

その他の楽曲もバラエティに富んでいる。浮遊感のあるエレクトロ・トラックのなかでドリーミーなメロディが広がる「Magic」、シンプルかつタイトな4つ打ちのビート、抑制の効いたギターフレーズとともに“都会のなかで感じる孤独”をテーマにした歌を描き出す「東京エソラ」、軽快なギターカッティング、ファンキーなベースラインが結びついたuchuu,流のディスコチューン、「My Name is Answer」。本作の最後を飾る「Freedom」も素晴らしい。世界的なトレンドとなっているネオ・ソウル、オルタナR&Bのテイストを汲み取りながら、洗練されたトラックメイクとシックなボーカルを響かせるこの曲は、”大人のリスナーが堪能できるダンスチューン“としての魅力を備えていると思う。
 
今年6月には世界初の3Dホログラム専用シアターで、ホログラフィック映像との融合ライブ「未来都市 -mirai city-the 3“r”d」を開催するなど、ライブにおいても先鋭的な試みを行っているuchuu,。音楽的なジャンルを超越した楽曲、質の高い演奏を駆使したサウンド、最新鋭のテクノロジーを取り入れた映像/ライブ。さまざまな表現メディアを駆使しながら進化を続けるuchuu,の存在は、新しいエンターテインメントの担い手として認知されていくことになりそうだ。

文 / 森朋之

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