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『アサシン クリード オリジンズ』終わらない復讐の物語

『アサシン クリード オリジンズ』終わらない復讐の物語

パスポートもタイムマシンも使わずにフラッと古代エジプト旅行ができる『アサシン クリード オリジンズ』(以下、『ACO』)! 欲を言えばアニムスが欲しい。開発、お願いします! さてさて、エジプトと言えばピラミッドだよね。ということでピラミッドを目指して物語を進めているけど、圧倒的ストーリー密度と古代エジプトを散策できる楽しさが私を寄り道させるので、進捗は亀のごとし! 1歩進めば賊に大事な書を奪われた老人がいて、2歩進めば砦に捕まっている人を助けようとしている人がいて、3歩進めばワニに囲まれたヘベレケな人がいる……。困っている人がいたら放っておけない、だってメジャイだもの。

今回もメジャイ・バエクの人生を辿りながら、より深く暗く染まっていく復讐の物語を追っていくよ! ひとつひとつのクエストが映画のように濃密な『ACO』をプレイしない手はないよ!

文 / 大部美智子


クレオパトラだ!

バエクとその妻・アヤの復讐相手は5人。それぞれサギ、トキ、ハゲワシ、ヒツジそしてヘビと象徴で呼ばれている。ふたりの手で5人を始末したけれど、本当にこれで終わりなのか? バエクが不安を拭えないでいると、アヤはアポロド―ロスを訪ねるように言う。アポロド―ロスはクレオパトラと行動を共にしている人物で、彼なら何でも知っているとか。ク、クレオパトラ! ちょっと前から物語上でその存在は知らされていたけど、歴史上で有名なあのクレオパトラ! 西暦2017年のいまなお、絶世の美女でありで聡明なファラオであったと語り継がれるクレオパトラ。その彼女との間にある悠久の時間、その果てしない距離を作中で徐々に縮めていっている感覚がワクワクする。これはもしかしてお目通り願えちゃったりするのだろうか……!?

▲恐怖しか感じない

▲すんなり会えちゃった

ふぇー!? いいのー!? 何もしていないのにご褒美で有名人に会えた気分。妖艶で、しかし端々からカリスマ性をビシビシと感じるクレオパトラ。力の使いかたというか、何をどうすればいいかをすべて心得ているこういうお姉さま、大好き。

クレオパトラのほかにもプトレマイオスやカエサルなど、エジプトの歴史に明るくない私でも知っている人物の名前や地名がバンバン出てくる『ACO』。学生のときに『アサシン クリード』シリーズがあったら世界史の成績はもう少しよかったんだろうなぁと思う。あ、CERO指定がZだからダメか(;’∀’)

復讐と策略と暴虐

クレオパトラ、アポロドーロス、パシェレンプタに話を聞くと、ヘビだと思っていたエウドーロスはカバと呼ばれている人物で、クレオパトラを王宮から追放した結社のひとりだと言う。ヘビは何人もいて、その集合体を“結社”と呼ぶと。

ふむぅ、仮面を着けていたからわからなかったが、どうやらエウドーロスは復讐の相手ではなかったらしい。しかし、エジプトを支配しようとしている結社のひとり、つまり復讐相手の一味であった。復権を望むクレオパトラにとってエウドーロスを始末できたことは僥倖で、引き続きバエクには活躍してほしいと考えていた……と言っても、単刀直入に“お願い”するわけではなく、バエクがせざるを得ないその話の運びかたはあざやかで、さすがファラオという感じだ。

一方、バエクは情報が足りなさ過ぎた。クレオパトラからもたらされる情報の数々はバエクが欲していたものであったし、何よりエジプト全土がシワの町のように恐怖に抑圧されたものになってしまうのは、正義感の強いバエクには耐えられないだろう。

両者の利害が一致して、晴れてバエクはクレオパトラのメジャイとなったわけだけど、クレオパトラの思惑や、ヘビたちの背後にうごめいている存在の大きさにおののいてしまいそう……。なるほど、これが歴史の動いている真っただ中なのか! 当初の復讐は終わったが、ゲームは終わるどころか、バエクの過酷な物語はまだ終わらないのであった。

▲結社の企みや蛮行を見過ごすわけにはいかない

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