Review

『ファイアーエムブレム無双』を『FE』ファンはどこまで楽しめるのか?

『ファイアーエムブレム無双』を『FE』ファンはどこまで楽しめるのか?

2017年9月に『無双』シリーズ最新作『ファイアーエムブレム無双』(以下、『FE無双』)が発売された。任天堂とコラボレーションした『無双』は『ゼルダ無双』に続く第二弾で、Team NINJAが開発を担当している。Nintendo Switch™向けとしては最初に発売された『無双』シリーズとあって、手触りも含めてどんな仕上がりになるのか注目を集めていた。その内容は『ファイアーエムブレム』(以下、『FE』)ファンも『無双』ファンも、それぞれが納得する形で丁寧に作り込まれたものと言っていいだろう。今回は、それぞれのファン視点から見る形で、2回に分けてあれこれと書き綴っていきたいと思う。まず1回目となる今回は『FE』視点から見ていく。現在も『ファイアーエムブレム ヒーローズ』というスマートフォン向けゲームが大ヒット中で、非常に根強いファンを多く持つシリーズなだけに、どのような部分がファンの心に刺さったのか。2017年12月21日から、新キャラや新武器が加わる追加コンテンツの配信も決まっている本作を改めてチェックしてみよう。

文 / 松井ムネタツ


一手ずつが真剣勝負なターン制シミュレーションゲーム

いきなり話は変わるが、今年の将棋界は藤井聡太四段フィーバーで盛り上がった。筆者も小学生のころから将棋を嗜んでいたので、藤井四段がどれだけすごいのかもわかっているつもりだ。じっくりと思考し、何手も先を読みながら打っていくあの感じは、脳で戦う格闘技と言っていいだろう。

そんな将棋好き少年だったこともあり、一手一手じっくりと考えて行動するタイプのターン制シミュレーションゲームが大好きだった。パソコンゲームから続いた『大戦略』シリーズはPC8801版、PC9801版、X1版、ファミコン版、メガドライブ版など、いろいろな機種で遊んだ。ミリタリーマニアというわけでもないのだが、どこか将棋っぽさを感じるものがあったのだろう、一心不乱に各機種で遊びまくった。

▲弱攻撃を連打して強攻撃につなげていき、無双ゲージが溜まったら無双奥義! というのはいつもどおりのわかりやすい『無双』操作だ

「『大戦略』以外にもこういうゲームないかなあ?」と思っていたところ、1990年にファミコンで『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』が発売された。「ほほう、『ファミコンウォーズ』(1988年 任天堂)もまあまあだったし(上から目線)、これも面白いだろうな」なんて軽い気持ちで買って遊んでみたら……そりゃもう驚いた。こんな真剣勝負のシミュレーションゲームは初めてだったからだ。

ユニットがやられたらそれっきり。

敵ユニットから攻撃を受けて耐久値がゼロになると、マップ上からそのユニットは消える。ミリタリー系のシミュレーションゲームならまた生産してマップに配置すればいいのだが、『FE』シリーズの場合はそう簡単な話ではなかった。登場人物として名前の付いたキャラクターがユニットになっており、ロールプレイングシミュレーションという名のとおりで、ユニットの成長システムが要でもあった。つまり、ユニットはオンリーワンな存在なので、”やられたらそれっきり”という諸行無常なシステムだったのである。

▲各章のスタート時などに入るキャラクターとの掛け合いも本作の見どころ

「それっきり?」、「負傷して戦線から離脱しただけでしょ?」、「次のマップから復活なんだよね?」なんて思ったキミ、そんな生やさしいシステムではない。やられたらそれっきり、もうキミの記憶にしか残っていないのである。

そんな『FE』が満を持しての『無双』化!

さらに話が脇道に逸れて恐縮なのだが、筆者はRPGの古典名作『ウィザードリィ』も大好きで、これにも”ロスト”のシステムがあった。戦闘でパーティのキャラが死亡すると、いくつかの回復手段で復活させることができるのだが、失敗するとロストしてしまって完全にゲーム上から消去されてしまう。どんなに育てたキャラも一瞬でいなくなるという恐ろしさ。オートセーブだったので、「あっ」と思っているうちにロストした情報が上書きされてしまう。なんとも恐ろしや、である。

▲ゲーム中、重要な場面に差し掛かるとイベントムービーが入る

この緊張感たるや、手に汗を握るどころか、むしろ喉がカラカラになる思いで『ウィザードリィ』を遊んでいたのだが、そんな緊張感が『FE』にもにあった。やられたらもう次のマップから登場しないのだ。ファミコン本体をリセットして切り抜ける方法もあったのだが、「それは邪道!」と思ってかたくなにリセットはしなかった……はず……あれ、1回くらいは……いやもっとしたかも……。

▲『ファイアーエムブレム 覚醒』に登場したペガサスナイトのティアモは、飛行可能なユニット。空からルートを移動することができる

まあ昔の話はこれくらいにして、そんな『FE』シリーズはファミコン以降もほとんどの任天堂ハードで発売され続けるほどの人気シリーズに育った。『スーパーマリオブラザーズ』、『ゼルダの伝説』に継ぐヒットシリーズと言っていいだろう。そしてついに、Nintendo Switch™でも『FE』が発売になった……と思いきや、なんと発売元はコーエーテクモゲームス。そう、『FE』の名前が付いたシリーズ最新作は、『FE無双』だったのである。

▲大勢の敵を吹っ飛ばす爽快感は『無双』ならではだ。このあたりは次回の記事でじっくり語っていきたい

コーエーテクモゲームスの『無双』シリーズは、これまでにさまざまなコラボレーションを展開し、2014年には『ゼルダ無双』が登場。まさかの任天堂ゲームタイトルが『無双』シリーズに降臨した。

こうなると、次のコラボ展開が気になる。多くのファンが「『ゼルダ』がアリなら次はきっと……!」と予想しつつ待ちわびて、満を持して発表されたのが『FE無双』だったわけだ。

『FE』ファンに、本作はどのように映ったのだろうか。筆者のまわりには無類の『FE』好きが何人かいるので、そんな彼ら彼女らの意見も聞きながらまとめていきたいと思う。

1 2 >