Report

ひばりくん、ふたたび!『江口寿史展 KING OF POP』で80年代へトリップ

ひばりくん、ふたたび!『江口寿史展 KING OF POP』で80年代へトリップ

80年代を生きた人なら、ポップでちょっとエッチなキャラクター、女の子よりかわいい男子高校生、ひばりくんを覚えていない人はいないだろう。江口寿史さんは、1981年「ストップ!! ひばりくん!」の大ヒットで、日本のギャグマンガを革新したマンガ家。その江口寿史さんの38年間の画業を振り返る大規模な展覧会『江口寿史 KING OF POP』が川崎市市民ミュージアムではじまった。

本展は江口さんの画業を集大成した画集『KING OF POP 江口寿史 全イラストレーション集』(玄光社)の刊行を記念し、300点以上の原画(高精度デジタル出力を含む)を一堂に集めて展示されるもので、マンガからイラストレーション、キャラクター原案など、広がる江口ワールドに触れる絶好の機会となる。会期は2016年1月31日まで。前期展示は12月5日~12月27日、後期展示は1月5日~1月31日となり、1980年~1990年代のイラストレーション作品とマンガ作品が展示替えされる。

DSC_0188 DSC_0240 DSC_0205

白いワニがきたってこわくない、江口寿史の画力

江口さんは1977年にヤングジャンプ賞入選作『恐るべき子どもたち』で週刊少年ジャンプでデビュー。を飾り、同年、初連載作『すすめ!! パイレーツ』で連載デビューとなる。非常に洗練された画風、質の高いギャグで絶大な人気を集め、1981年に最大のヒット作『ストップ!! ひばりくん!』で人気は不動のものとなる。しかし、代表作として「ストップ!! ひばりくん!」以外に作品名があがることがないのは、江口さんのもうひとつの大きな “特徴” とされる「遅筆」によるものだ。

画風のクオリティが上がれば上がるほど、筆の遅さが目立ち、ネタ切れによるまっさらな原稿を「白いワニ」と比喩し、自虐ネタにするほどで、人気作品の『〜ひばりくん』ですら未完となるなど、頻繁な落稿による事実上の不定期掲載や連載放棄で、『江口寿史のなんとかなるでショ!』など円満に完結した作品はごくわずかで、マンガ家としてフェードアウトしていった。にも関わらずその人気が衰えることがないのは、ひとえにそのクオリティの高い画風による。

DSC_0206 (1)

ごく少ない線で立体感や質感を表現する独自のPOPな画風と卓越したデザインセンスを活かし、イラストレーションの世界へと進出し、広告や雑誌・書籍のカバー、CDジャケット、映画作品のキャラクター原案など、マンガ家の枠を超えた活動で、ジャンルの垣根を超え、サブカルチャー全体に大きな影響を与え続けている。マンガ家としての全盛時代をまったく知らない若い世代にも、炭酸飲料「マッチ」の広告イラストや、Twitterでの “5分スケッチ” で江口さんの画力に驚かされ、過去の江口作品に興味が集まるなど、まさに “ひばりくん再臨” の状況となっている。

DSC_0265 DSC_0278 DSC_0286

映画や図書資料で見る江口寿史と80年代

映像ホールでは、企画展『江口寿史展 KING OF POP』に関連して『《特集上映》江口寿史と80年代日本映画』として、江口さんが製作に関わった映画作品として、原作による『エイジ』(監督:西久保瑞穂/1990年)、キャラクター原案を手がけた『PERFECT BLUE』(監督:今敏/1998年)ならびに『老人Z』(監督:北久保弘之/1991年)が上映される。

また、12月13日に行われる『リスペクト対談「江口寿史☓ちばてつや」』の特別上映として『ゆき』(監督:今井正/1981年)、『あしたのジョー2』(監督:出崎統/1981年)も上映される。さらに江口さんの代表作「ストップ!! ひばりくん!」が一世を風靡した時代にスポットを当て、1980年代の日本映画を同館収蔵フィルムからセレクトして上映する。「江口寿史展 KING OF POP」とは別料金となる。各回入替制。上映作品は次の通り。

『ぼくらマンガ家 トキワ荘物語』(監督:鈴木伸一/1981年)
『の・ようなもの』(監督:森田芳光/1981年)
『逆噴射家族』(監督:石井聰亙/1984年)
『転校生』(監督:大林宣彦/1982年)
『櫻の園』(監督:中原俊/1990年)
『ノーライフキング』(監督:市川準/1989年)

また、同時期に明治大学米沢嘉博記念図書館の展示室において、『江口寿史展 KING OF POP Side B』が2016年2月7日(日)まで開催されている。こちらではマンガやイラストの原画に加え、初出誌や関連資料を展示している。なお、明治大学米沢嘉博記念図書館の観覧証明書または川崎市市民ミュージアムの観覧券半券を、もう一方の館で提示するとオリジナル・クリアファイルがプレゼントされる。ぜひ、両館とも訪れていただきたい。

DSC_0229 DSC_0221 DSC_0244 DSC_0291 DSC_0293

江口寿史展 KING OF POP

会場 : 川崎市市民ミュージアム 企画展示室1
期間 : 2015年12月05日-2016年01月31日
観覧料 : 一般 700円 / 学生・65歳以上 600円 / 中学生以下 無料

オフィシャルサイト http://www.kawasaki-museum.jp/exhibition/king-of-pop-2/