Interview

DENIMS 大阪産ブラック・ミュージック由来のゆったりとしたグルーヴにのせて彼らは何を歌う!?

DENIMS 大阪産ブラック・ミュージック由来のゆったりとしたグルーヴにのせて彼らは何を歌う!?

大阪・堺から登場した4人組だ。彼らは、ブルースやファンクといった黒人音楽のエッセンスを、ヒップホップ以降の感覚で料理して聴かせてくれるが、初めてのフルアルバムとなる新作『DENIMS』では、独特のチャーミングなポップ感はそのままに、よりダウン・トゥ・ルーツな、ゆったりとした大きなグルーヴに取り組み、印象的なオリジナル・サウンドを展開している。
ここでは、バンド結成から新作完成までの気持ちの流れをたどってもらいながら、現在のDENIMSサウンドの個性について語ってもらった。

取材・文 / 兼田達矢 撮影 / 高木博史

今回のアルバムでは原点回帰というか、自分たちのなかではちょっと戻っていってる感じではありますね。

DENIMSは、どういうふうに生まれたバンドなんですか。

カマチュー 元々、僕とえやmaxとまっつんが“AWAYOKUBA”というバンドをしてたんですけども、キーボードがやめることになって解散したんです。でも、すぐにまたバンドしようということになって新しいメンバーを探して、ギターのおかゆが入っていまのようになりました。

ということは、新しいバンドではキーボードではなくギター2本の編成がいいなということだったんですか。

カマチュー いや、最初はちょっとキーボードを弾いてたんです。

おかゆ そうなんですけど、じつはキーボードは全然好きじゃなくて(笑)。人からも言われたんです。「おかゆくん、ギター弾いてるときは楽しそうやのに、キーボード弾いてるときは死んだような目になってるよ」って。それで、いまはギター1本でやってます。

バンド全体のサウンドは、前身のバンドから引き継いだ感じですか。

カマチュー ちょっとロックっぽい感じになってたんですけど、でも今回のアルバムでは原点回帰というか、自分たちのなかではちょっと戻っていってる感じではありますね。元々はブラック・ミュージックが好きでやっていたので、そういう感じにまた向かっていると思います。

えやmaxさんもまっつんさんも元々ブラック・ミュージックのリスナーだったんですか。

えやmax いや、僕は邦楽ばかり聴いてて、ブラック・ミュージックと言われるものには全然触れたことがなかったんですけど、“AWAYOKUBA”を始めるときにカマチューからいろいろ教えてもらったんですけど、そのときに初めて聴いたG. Love & Special Sauceの1stの1曲目がドラムだけで始まる曲なんですね。それを聴いた瞬間からもうそっちの音楽に引き込まれて、そこからずっとルーツ的なものを聴いてます。基本的にはファンクがいちばん好きなんですけど。

まっつん 僕はカマチューと出会ったのがアルバイト先だったんですけど、音楽の話をしたときに「ハナレグミを聴く」と言ったら「じゃあ、SUPER BUTTER DOGは知ってる?」みたいな話になって、その流れでトータス松本の『トラベラー』をカマチューに貸してもらって聴いて、そこからですね。ブラック・ミュージックが好きになったのは。

カマチュー(Vo、Gt)

カマチューさんは、いつ頃からブラック・ミュージックを聴き始めたんですか。

カマチュー 高校時代にウルフルズが好きで、それでトータスさんの『トラベラー』を聴いて、“そのオリジナルはどんななんやろ?”と思ってオーティス・レディングやサム・クック、マーヴィン・ゲイなんかを聴き始めて、その後に1969年のウッドストックのDVDをたまたま買って、そのなかでスライ&ザ・ファミリーストーンが凄すぎて…。そこでスライと、それにジミ・ヘンドリックスにはまって。そのうちにラップしてる友達がたくさんできて、DJさんから「ヒップホップのサンプリングの元ネタにマーヴィン・ゲイとか、そういうのがなってるんやで」という話を聞いたりしてて。で、G LOVEを知ったのがえやmaxやまっつんなんかとちょうど出会った時期やったんで、「こういうブルースとラップを混ぜたような、ルーツ音楽でありながら新しい感じなんをやりたいんや」という話をしたんです。

おかゆさんは“AWAYOKUBA”の音楽は知ってたんですか。

おかゆ 知ってました。かっこいいなと思ってたし、僕ら周りではもうけっこう売れてる感じやったから、そこに入るのはけっこうプレッシャーではありましたね。僕はファンクとか、深くは知らなかったんで。僕はビートルズがむっちゃ好きやったんですけど、そこからパンクとかブリットポップとか聴いていってたんです。僕もここに誘ってもらって入ってからカマチューにいろいろ教えていってもらった感じです。

カマチュー でもおかゆが入って、逆にビートルズとかブラー、それにクーラ・シェイカーとか教えてもらったりしたんです。特にクーラ・シェイカーはやりたかった感じやなと思ったんですよね。ロックなアウトプットやけど、めちゃめちゃブラックを感じるなっていう。僕らはゴリゴリのブラック・ミュージックをしっかり再現するようなバンドをしたかったわけじゃないんで。やっぱり僕らにしかできひんような音楽をしたいなという気持ちはあったんで、いろいろ聴いてきたものや好きな感じを自分たちなりのアウトプットで出したいなという気持ちはずっと変わらずにありますね。

できる限り自分が聴きたいなと思う曲を作りたいというほうにシフトしてきたのかもしれないです。

活動の流れとしては、一昨年、昨年とミニアルバムをリリースして、今回初めてのフルアルバムをリリースするわけですが、今回のアルバムを作り始める時点で何か意識していたことはありますか。

カマチュー さっきもちょっと言いましたけど、テーマとしては原点回帰的なことをやりながら、ただそれだけじゃなくていままでやってきたことを加えて進化させたものをやろうということを考えてました。

原点回帰ということがテーマにあがってくるということは、そこからずいぶん離れてしまったというか、原点が気になるような気持ちの流れがバンドのなかにあったんでしょうか。

カマチュー DENIMSになって、ロック志向というか、ギターをジャカジャカ鳴らすような感じにシフトしつつあったんですけど、でもやっぱりブラック・ミュージックっぽいリズムを中心にした音楽が僕自身は好きやなというか、普段聴いてるのがそういう音楽やなと思ったんです。だから、自分が普通に聴いてる音楽をバンドでもやりたいなというところに戻っていったということなのかもしれないですね。自分が好きな音楽に素直になっていったというか。“ライブするんやったら、こうや”とか“バンドってこうあるべきや”みたいな意識がすごいあったけど、でも今回はそういうことはあまり考えずに、自分が元々好きで聴いてたものに戻っていったというか。実際、“AWAYOKUBA”のときはそうやったし。

「“ライブするんやったら、こうや”とか“バンドってこうあるべきや”みたいな意識がすごいあった」ということですが、それはやっぱり人気を広げていくにはそういうことを考えないといけない、みたいな気持ちがはたらいてたんでしょうか。

カマチュー そういう部分もあったのかもしれないですけど、いちばん大きいのはライブのことを考えてたんでしょうね。ライブ映えするというか、ライブでお客さんが喜ぶようなものをやろうということやったんやと思うんです。簡単に言うたら、やっぱり速いテンポで大きい音でジャーンと鳴らすのが盛り上がるから、そういう曲をいちばんに考えてたんやと思うし、そういう音楽も好きでしたからね。でも、元々は遅くて静かで、っていう感じの音楽がやっぱり好きやから、そういうのをやってみようというのが原点回帰ということやと思います。

元々好きだったものにまた気持ちが向かったのは、ライブでお客さんが盛り上がるものをやっても、自分自身がそれほど盛り上がってなかったりしたからでしょうか。

カマチュー 単純に、自分が好きで聴ける曲かどうか、ということは考えたかもしれないですね。ライブについては、ずっと楽しくやってるんですけど、それでもできる限り自分が聴きたいなと思う曲を作りたいというほうにシフトしてきたのかもしれないです。

まっつん(Ba)

いまカマチューさんが話してくれたことを、今回のアルバムの制作の過程でみなさんにも言葉にして伝えるような場面はあったんですか。

まっつん ありましたよ。原点回帰ということはずっと言ってましたね。原点回帰かつ新しい、みたいなことを。それで自分が気をつけてたのは、自分なりの原点に帰るというわけじゃないですけど、いちばん最初に教えてもらったアルバムを全部聴き直して、その上で自分がいま思うフレーズを弾いていったというか…。新しいことをしようと思っても無理やけど、いまの自分がしたらそれは新しい、という理解でいいんじゃないかなと思って、思うことをいつも通りやりました。

えやmax 僕は“AWAYOKUBA”の時代はけっこう好き放題叩いていたんですけど、DENIMSになって音楽もちょっと変わってきて、そのなかで“できるだけシンプルに、ノリやすいように”みたいなことばかり考えるようになっちゃって、ドラムとして全然面白くないようなことを叩いてる場面もあったんですよね。それが、今回のアルバムを作ることになったところで「原点回帰みたいな気持ちがあって…」という話が出たんで、自分が元々やってたような、でも昔ほど好き放題ではない、いい塩梅の感じをいまはみつけたんで、その感じで思うようになりました。

えやmax(Dr)

おかゆ 例えば「カーテンコール」という曲でちょっと新しいことをやってみようかなと思ったりもしたんですけど、でもやっぱりいつも通りでいいやと思い直して、だから意識したのはとにかくシンプルにやるということで、ただ新しい試みとして「Ben & Robin」という僕の曲を初めてアルバムに入れたり、「teach me」という曲ではAメロの歌詞を書いたりして、そういういままでになかったことはやってたりしますね。

おかゆ(Gt)

結局自分のことを歌ってるなあというのはありますね。女の子のことも歌いたいですけど。

「teach me」で歌詞を共作みたいな形で作り上げることにしたのは、何か思うところがあったんですか。

カマチュー なんか同じことばかり言うてるなあと思って(笑)。曲のタイプとして聴くだけでメッセージがパーッと入ってくる曲とそうでもないというか音とか響き重視の曲があると思うんですけど、そのバランスをいい塩梅でやりたいなと思ってて、「teach me」は音重視のほうで作ってて、そこに新しいアイデアが欲しいなと思ったんでおかゆに「こういう感じの発音の歌詞にしたい」ということでお願いして書いてもらったんです。それが、僕のなかではけっこう面白かったんで、今後もまたやっていいかなと思ってるんですけど。

おかゆ めっちゃ文字数が多いんですよ。半分ラップみたいな感じやったんで、大変でした(笑)。

歌詞の内容に関して、カマチューさんとして、あるいはバンドとしてこういうことを歌おうというような、何かテーマのようなものはあるんですか。

カマチュー 時々思うんですけど、結局自分のことを歌ってるなあというのはありますね。女の子のことも歌いたいですけど、でもたいていは自分のことになっていくんですよね。多分、誰もが結局は“自分、がんばれ”みたいなところはあるんやないかなと思うんですけど。

おかゆ 目線はいろいろ違ったりするんですけど、結局そこに行き着いてたりしますね。

カマチュー だから、そういうのとは違う新しい歌詞を書きたいなとも思ったんですけど、それは自分自身がいまとは違うところにおらないと書けないなということも思いましたね。

ということは、このアルバムで歌われていることはカマチューさんがいまいる場所で感じていることだという理解でいいですか。

カマチュー そうだと思います。

例えば「hooligan」に♪やっぱこれだと再確認するルーツがいまなら斬新♪というフレーズがありますが、これは原点回帰の意識に通じる感覚ですよね。

カマチュー 勢いで書いたんですけど(笑)、そういうことですね。ただ、音楽としてルーツ・ミュージックがいま世間にとって斬新ということではなくて、自分のルーツが自分にとっていまは斬新なんちゃうかな、ということやと思います。

カマチューさんが書いた歌詞に対して、3人から何かチェックが入ったり注文がつくことはあるんですか。

おかゆ たまに…、ストレートな歌詞というよりは小学生の作文みたいなときがあるんで(笑)、そういうときは「こういう言い方のほうがええんちゃうかな」みたいなことは言ったりします。

えやmax 歌詞ができるのがギリギリなことがあって、その場合レコーディング期間中に間に合わなくて、自分たちのスタジオで録ることもあったんですけど、僕らもそこで初めて歌詞を聴いて、そこでオケと言葉がぶつかってることに気づいて直したりすることもありますね。

修正点は細かい言葉遣いやオケとの噛み合わせの部分だけで、全体的な内容について指摘することはないですか。

おかゆ 全体的な内容ということではないですけど、カマチューには「こういうのは恥ずかしい」というラインが何かあるみたいなんですけど、でも僕らからしたら「そうかなあ?」ということがめっちゃあって、だから何かの曲をやったときにしれえっと歌詞を変えてきてたりして、そこで初めて僕らは“あそこの歌詞を恥ずかしいと思ってたんや”と気づく、みたいなこと感じなんですよね(笑)。ただ、人と違うということに対してコンプレックスがあるというのはいいことなんやないかな、と最近思ってきて、そういう人のほうが他にはないものの見方ができるのかなって。だから、もう自由にさせとこかなというふうになってきましたね。

えやmax 歌詞のなかで照れ隠しするから面白いんですよね。「ソウルバラード」で♪この先は2人でいよう♪と言うたと思ったら、その後すぐに♪ありきたりな歌詞だな 笑ってしまうよな♪って(笑)。

(笑)、おかゆさんが言ったように、人と違うということは魅力である場合も多いと思います。今回のアルバムのなかにも“はぐれ者”とか“アウトサイダー”とか、あるいは♪いたって普通から掛け離れてしばらく経つ♪というような表現が出てきて、でもそういう有り様を肯定する歌になっていると思いますが、カマチューさんも人と違うことを肯定する気持ちになってるんですか。

カマチュー そういうふうに歌で自分に言い聞かせてる感じがありますね(笑)。自分のなかではずっと堂々巡りなんですけど…。僕は人に向けて歌ってる意識はあまりないんですけど、それでも人と違うことをコンプレクッスに思ってる人がいて聴いたときに“人と違うということは強いことなんやで”というふうに感じてもらえたらいいんやろなということは出来上がってから思いました。

ライブをめっちゃやってきたからこそ、曲が良くないと意味がないと思うから、僕はどんどんCDを作りたいですね。

アルバム2曲目の「モータウンサイクルダイアリーズ」はワゴン車でいろんなところに出かけていってライブするということを歌った曲ですが、DENIMSにとってもやはりライブは重要ですか。

カマチュー そうですね。むっちゃやってますね。みんなやってるんでしょうけど、でも僕らもすごいやってます。

ソロでもバンドでも、レコーディング・スタジオでの作業を積み重ねてディスコグラフィーを重ねていくことを第一に考えるタイプと、レコーディングの時間も惜しんでライブをやりたいタプと両方いますが、そこのバランスについてはDENIMSはどんなふうに考えていますか。

カマチュー 知らずにライブばっかりやってたんですけど、やっぱりCDというか、曲やと思うんですよ。ライブをめっちゃやってきたからこそ、曲が良くないと意味がないと思うから、僕はどんどんCDを作りたいですね。でも、ライブは知らないうちにいっぱいやるんでしょうけど(笑)。

おかゆ 僕らはライブ・バンドではあると思うし、熱いライブをやるバンドでいたいと思いますけど、でもCDはCDで質のいいものを作っていきたいですよね。やっぱりライブもCDも、両方ですよね。

さて、12月13日に1stフルアルバムをリリースするわけですが、その先の展望については、いまはどんなふうに考えていますか。

カマチュー 武道館やりたいなとか、思ってたんですよ。でも、最近はもっと単純に、音楽でゴハン食べられるようになりたいなっていう。それだけですね。

おかゆ そう、5年先、10年先もやってたいなと思いますよね。

さしあたって、リリース後にはツアーが決定しています。

カマチュー 愛はズボーンという友達のバンドと一緒にまわって、東京、大阪、名古屋、福岡はワンマンになります。

楽しみです。ありがとうございました。

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ライブ情報

デニムズボーンツアー2018

1月11日(木)兵庫・神戸 太陽と虎   w/愛はズボーン and more
1月12日(金)京都・京都GROWLY   w/愛はズボーン and more
1月18日(木)千葉・千葉LOOK   w/愛はズボーン and more
1月19日(金)神奈川・横浜FAD   w/愛はズボーン and more
1月26日(金)広島・広島4.14   w/愛はズボーン and more
1月27日(土)大分・大分SPOT   w/愛はズボーン and more
1月28日(日)宮崎・宮崎SR-BOX   w/愛はズボーン and more
2月2日(金)香川・高松TOONICE   w/愛はズボーン and more
2月3日(土)岡山・岡山PEPPERLAND   w/愛はズボーン and more

『DENIMS』release ONEMAN tour.

2月10日(土)大阪・梅田Shangri-la
2月12日(月・祝)福岡・福岡Kleth flack
2月17日(土)愛知・名古屋CLUB ROCK’n’ROLL
2月18日(日)東京・下北沢SHELTER

DENIMS

カマチュー(Vo、Gt)、おかゆ(Gt)、まっつん(Ba)、えやmax(Dr)。
2012年結成、大阪・堺出身の4人組バンド。2015年に自主レーベル“OSAMIstudio.”から初の全国流通盤となる1st ミニアルバム『Daily use』をリリース。2016年に2 ndミニアルバム『iggy&pops』をリリースし、ツアー・ファイナルである東心斎橋CONPASSで行われた初ワンマンはソールドアウトを記録。同年、FUJI ROCK FESTIVAL’16にも出演を果たした。

オフィシャルサイトhttp://denim-s.jp