LIVE SHUTTLE  vol. 224

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「俺たちは音楽で会話していく」──THE ORAL CIGARETTESと“BLACK”を共有する新木場STUDIO COASTの熱いパフォーマンス

「俺たちは音楽で会話していく」──THE ORAL CIGARETTESと“BLACK”を共有する新木場STUDIO COASTの熱いパフォーマンス

6月16日に自身初となる日本武道館公演を成功させ、9月27日にリリースされたシングル「BLACK MEMORY」が映画『亜人』の主題歌として高い評価を得るなど、2017年後半、目を見張る勢いで疾走してきたTHE ORAL CIGARETTES。彼らのツアー〈唇ワンマン 2017 AUTUMN「Diver In the BLACK TOUR」〉のファイナル公演が12月6日に東京・新木場STUDIO COASTで開催された。

取材・文 / 岡本明
写真 / Viola Kam(V’z Twinkle Photography)

あなたたちも感情むき出しで俺たちに立ちはだかって来てください。勝てるもんなら勝ってみろ!

本公演は、ツアータイトルにもあるように、彼らがこれまでたびたび口にしてきた、人間の内側に潜む“闇の部分”を描いた楽曲を多めに取り入れたセットリストで構成されており、武道館のライヴともフェスに出演したときとも違うステージの感触をしっかりと残す展開になっていた。

得意とするマイナーメロディに乗せて内面的な葛藤を歌う山中拓也の翳りのあるボーカル、ベースのあきらかにあきらとドラムの中西雅哉が織りなす重厚なボトム、そして鈴木重伸の多彩なギターサウンド。どの曲でも雄弁に語りかけるバンドサウンドは一貫して骨太だ。

文句なしに盛り上がる「DIP-BAP」、大きなウネリを生み出す「起死回生STORY」など、疾走感を持続させながらキャッチーなメロディを刻んでいく。

「今日はツアーファイナルでかなりテンション上がっています。“Diver In the BLACK”というツアーの名前にもなっていますけど、あなたたちにもっと黒に身を投じて欲しいんです。つらいとか苦しいという想い、べつに悪いことじゃないよって、今日は一日かけてあなたたちと共有していきたいと思います。BLACKな感情をどんどんぶつけていきますから、あなたたちも感情むき出しで俺たちに立ちはだかって来てください。俺たち、負けませんけど(笑)。勝てるもんなら勝ってみろ! よろしくどうぞ!」(山中)

山中が挑発的なMCで煽ったあと、「BLACK MEMORY」のカップリング曲である「接触」では「負の感情を持って何が悪い」「マイナスの感情は悪くない」といった語りを冒頭に盛り込んで曲を始める。スリリングな演奏と力強いメロディが説得力を持って襲いかかり、息を飲むような迫力を生み出す。特に、全身から吐き出すように言葉に魂を込めて歌う山中のボーカルは、激しい口調でぶつけながらも決してひとりよがりになることはなく、聴く者の感情の繊細な部分に確実にヒットしていく。

「暗い曲、ドロドロした曲を多めにやっています。フェスとかでできへん楽曲、どんどんやっていきます。基本的に曲を作るときは負の感情から作っています。しんどいな、つらいな、あいつムカつくなっていう負の感情。そのなかで苦しんでつらい想いをしていると、周りが真っ暗になっていくと思う。どこを見ても真っ暗。でも、真っ暗になればなるほど、“光”って見えやすいんですよ。だから、悩み続ければいい、苦しみ続ければいい。そうしたらどんどん光が明確になります。その光を掴めるか掴めないかで、人間の成長って変わってくると思う。俺にとってその光のひとつがこのバンド。このメンバーと出会えたことで光を掴みました。THE ORAL CIGARETTESに感謝を込めて書いた曲を聴いてください」(山中)

その言葉を裏付けるように、「Flower」に繋いでいく。爽やかなサウンドに乗せたポップでありながらも切ないメロディがリアリティのある歌詞を紡いでいく。また、「気づけよBaby」では、感情のほとばしりを増幅させるようにレーザービームがふんだんに飛び交い、ミラーボールが華やかに会場を照らし出す演出で、会場に充満するエネルギーを何倍にも膨れ上がらせる。

熱気に溢れた場内をいったんクールダウンさせたのは、しっとりとしたアコースティックギターをフィーチャーしたアレンジの「トナリアウ」。シンプルなアンサンブルゆえに際立つ、楽器ごとの個性とコーラスの美しさを堪能させてくれた。

後半のラストスパートに突入すると、バンドの勢いは加速。サウンドはより攻撃的になり、曲によってはフロントの3人はステージ左右、あるいは客席ギリギリまで前に出て観客のひとりひとりを音で射抜き、全身で歌を力投する。観客もそれに応え、力を振り絞ってサビを合唱するなど、ラストに向けて果てしなく熱量が上昇していく。

そして、山中が自身の幼少期からの様々な挫折の話に続き、「俺は才能ゼロだから人一倍、努力しないといけないんだということに気づいた」と静かに語りかける場面も。

「人生は8割しんどい、2割しか楽しいことはない。その2割をライヴに持ってくるのもいいけれど、俺はその2割をここで共有するより、あなたたちの苦しい8割をライヴハウスで共有したい、一緒に苦しみたいと思います。ライヴハウスは楽しいだけじゃない、苦しくつらい想いをすべて音楽で共有できる場所。音楽を通して俺たちが何を会話するのか、それをこれからもやっていく。だから楽しい曲ばかりやりません。俺たちは音楽であなたたちと会話していくバンドでありたいなと思っています。ついて来れないならついて来れないでいい。でも俺はこの感情を持ってあなたたちと一緒に成長できると確信していますから、その景色を見たい人は信じてついてきてください」(山中)

その真摯な語りに満場の拍手が送られる。

「狂乱Hey Kids!!」に突入すると、観客はビートに合わせて何度もジャンプを繰り返し、エンドレスに続きそうなほどの盛り上がりを見せる。コール&レスポンスのたびに熱気が渦巻き、会場の一体感は最高潮に。そして、最新シングル「BLACK MEMORY」は音源以上に躍動感のあるサウンド、より深みの増した演奏、エモーショナルなシャウトで、楽曲の印象を強烈に刻み込んでくれた。新鮮でありながら、すでにライヴに欠かせない曲になっていることを実感させる大きな手応えがそこにあった。

また、この日は新曲「ReI」も披露。スピード感を備えながらも丁寧な情景描写でじわじわと歌詞の重みが伝わる楽曲だ。こちらも彼らにとって重要な曲になるだろう。

2018年2月15日には、すでに発表されているように大阪城ホールでのワンマンライヴ〈唇ワンマンライブ 2018 WINTER「Diver In the BLACK Tour~ReI of Lights~」〉の開催が決定。念願の地元会場であっただけに、バンド活動の今後を左右する大きなターニングポイントとなるのは間違いない。充実した2017年を踏まえ、2018年はさらに大きな飛躍の年になるだろう。彼らの最高の景色はもっと先にある。

唇ワンマン 2017 AUTUMN「Diver In The BLACK TOUR」 2017.12.6@新木場STUDIO COAST SET LIST

M01. ONE’S AGAIN
M02. カンタンナコト
M03. DIP-BAP
M04. Uh…man
M05. 起死回生STORY
M06. 接触
M07. 嫌い
M08. マナーモード
M09. Flower
M10. エンドロール
M11. 気づけよBaby
M12. トナリアウ
M13. Shala La
M14. mist…
M15. See the lights
M16. 5150
M17. CATCH ME
M18. 狂乱 Hey Kids!!
M19. BLACK MEMORY
EN01. ReI(新曲)

唇ワンマンライブ 2018 WINTER「Diver In the BLACK Tour~ReI of Lights~」

2018年2月15日(木)大阪城ホール
※SOLD OUT

THE ORAL CIGARETTES(ジ・オーラル・シガレッツ)

山中拓也(vocal, guitar)、鈴木重伸(guitar)、あきらかにあきら(bass, chorus)、中西雅哉(drums)。2010年に奈良県にて結成。2012年に〈MASH A&R〉にて初代グランプリを獲得。2013年1stミニアルバム『オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証』を発表。2014年に上京、拠点を東京に移す。2017年は、2月に3rdアルバム『UNOFFICIAL』を、6月に7thシングル「トナリアウ/ONE’S AGAIN」を、9月にシングル「BLACK MEMORY」をリリース。11月より〈唇ワンマン2017 AUTUMN「Diver In the BLACK Tour」〉〈唇ワンマン2017 AUTUMN「Diver In the BLACK Tour 〜裏ツアー編〜」〉を敢行した。2018年2月15日には大阪城ホールでのワンマンライヴが決定している。
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