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THE CONVOY SHOWが生み出す異次元レベルのエンターテインメント。『asiapan(アジァパン)』公開稽古レポート

THE CONVOY SHOWが生み出す異次元レベルのエンターテインメント。『asiapan(アジァパン)』公開稽古レポート

世界の北野武に「死ぬまでに一度は見るべきだ」と言わしめた男たちTHE CONVOY SHOW(ザ・コンボイ・ショウ)。「全員が脇役で主役」を合言葉に約30年。前々作の『asiapan』は、50代のパフォーマー(瀬下尚人、石坂勇、舘形比呂一、黒須洋壬、トクナガクニハル)、そして還暦を迎えた今村ねずみ6人に、4人の20代の若手パフォーマー(荒田至法、後藤健流、佐久間雄生、本田礼生)が加わったことで新鮮なコントラストを生み好評を博した。そして、わずか半年後には新作『星屑バンプ』を歴史ある博品館劇場で上演し、こちらも大ヒット。今年12月には、『asiapan』の再演が早々と決定した。わずか1年で3作品。主宰で、作・演出家の今村ねずみの衰えを知らぬエネルギーに感服するけれど、「走り出したら止まらない」というスタンスを崩すことなく、これからも未来へ突っ走り続ける。今回は、公演間近にも関わらず稽古場に潜入。さらに今村ねずみにインタビューの奪取に成功した。

取材・文・撮影 / 竹下力

初演からさらに研ぎ澄まされたダンスと芝居とタップ

稽古場の袖でストレッチをしているメンバーをよそに、「まだまだ出来は3割だよ。よろしくね」と取材陣へ挨拶し、軽い冗談を飛ばしながら、颯爽と稽古場の中央に立つ後ろ姿に思わず見惚れてしまうような今村ねずみの合図で稽古が始まる。

まずはオープニングのダンス・パートを披露。10人全員が横一列に並び、目を閉じて開ければ、軽快なアコギのカッティング、そして激しい四分打ちキックのダンスミュージックが流れる。

初演から10ヶ月足らずなのに、50代のメンバーと今村ねずみ、そして20代のメンバーのケミストリーは高まり研ぎ澄まされ、新たな躍動感を感じさせてくれる。これのどこが3割の完成度だろうと思わず首を捻るような統制のとれたダンス。

なかでも50代のメンバーが際立つ。瀬下尚人の仕草、石坂勇の表情、舘形比呂一の動き、黒須洋壬のリズム感、トクナガクニハルの放つグルーヴ。どれをとっても幾多の年月を経て醸成されたウイスキーのように光り輝く美しいダンスに目を奪われる。

そして芝居パートへ。ストーリーは、幼馴染の日本人旅行客2人が、とある南国のゲストハウス「sweet home SAKURA」を訪れるも、ゲストハウスに予約を入れていないことが明らかになる。慣れない英語で、なんとかオーナーからしぶしぶ部屋を借りることができるが、戸惑いを隠せない彼らが巻き起こす笑いあり涙ありの物語だ。

ここでも50代・20代のメンバーの息のあったセリフのやりとりに思わずクスリとすれば、スーツケースをドッジボールのように橋渡しする動きもスムーズで、初演では垣間見えないカンパニーのリズム、結束力が増しているのをまざまざと感じさせてくれる。

最後に披露されたのは、20代のメンバーも初演から格段にキレを増すタップ。見ていて興奮が抑えきれない。後藤健流は2015年の『キャプテン・ハーロック』で振付を担当しており、オリジナリティに溢れ、荒田至法のクールネスはますますクールに、佐久間雄生には一部の隙がなく、本田礼生はアクロバティックに決める。

そんな彼らを統率しながら、誰もが引き立つ演出をする今村ねずみ。ダンスは卓抜で、タップも申し分ない、なのにインタビューで答えてくれたように、伸び代を感じてさらに高みを目指す彼は、餌を狩るライオンのように鋭い眼光でこちらを見据えている。とても還暦を迎えたとは思えないタフさ、パッションを感じる。彼の巧みに練られた構成が煌めくダンス・芝居・タップは、何度見ても飽きないと改めて痛感させられる。もちろん、彼らの連携に欠かせない見事なスタッフワークも見逃せないだろう。

披露されたのは以上だが、ここから歌あり、笑いあり、涙の物語があるはずだ。ダンス・芝居・タップだけで、彼らの魅力を余すことなく感じることのできた貴重な時間。さあ、開演はまもなく。12月13日から始まる赤坂ACTシアターでTHE CONVOY SHOWのネクスト・レベルを感じよう。そして泣いて笑って帰ろう。きっと終演後には見たことのない新たな景色が広がっているはずだ。

より深みを増した“再演という初演”

公開稽古の後、貴重な時間を割いてもらい、今村ねずみにインタビューをすることができた。取材しながら彼の溢れんばかりの生命力に感動してしまった。

ここまでの稽古の手応えを聞かせてください。

今村 稽古は順調ですね。初演よりもっと高いレベルへ行こうと追い込みをかけています。

初演から演出は変えられますか。

今村 極端に演出を変えないですが、それぞれのパートに深みを与えようと思います。ダンス、セリフ、タップ、歌、それが『asiapan』にとって必然性のあることにこだわっていきたいですね。

再演がすぐに決まる人気作になりました。

今村 初演は今年の2月ですから、ずっと繋がっている感じです。なので、初演と再演という感覚は『asiapan』に関してはないですね。あえていえば、より深みを増した“再演という初演”かな(笑)。

ねずみさんの年代に向けた作品と思います。

今村 そういう目線でしか物事を作れないですし、いまの自分の年齢に見合ったところから今作は始まっているんです。中年男性の旅のお話ですから、もし、時間がなくて違う景色が見たい人は『asiapan』で旅した気分になってもらえたらいいですね。

20代のメンバーとはこれで3作品目のコラボレーションになります。

今村 若いメンバーは成長が著しいですね。今年の初めから一緒に過ごしていますが、出会った頃の彼らとは格段に違います。だんだんコンボイ色に染まってきたし、役者としても力をつけてきた。頼もしいですね。若さはやっぱり特権かな。おっさんたちに忘れた若い頃を思い出させてくれます。調子に乗っている時はちゃんと叱りますけどね(笑)。初演で彼らをご覧になった方も、今回の彼らを観たら驚くと思いますよ。当然、僕らおっさんたちも、じわーっと伸びています。伸び代がないと役者をやっても面白くないですからね。

若手の存在感が増しているんですね。

今村 人ってこんなに変わるんだと思わせてくれる。彼らにいい刺激を受けています。板の上に立つのに年齢は関係ないです。コンボイは「全員が脇役で主役」なので余計にその思いがあります。もちろん、やり続けているおっさんたちも大したものですよ。この年齢になってやっとみんなを褒めることができる自分になりましたね(笑)。

最後にお客様にメッセージを。

今村 THE CONVOY SHOWは、30年間、オリジナルスタイルを貫いてきました。まだご覧になったことのないあなた。一度もコンボイを体感したことないあなた。触れていないあなた。このメンツでやるTHE CONVOY SHOWは、この先いつになるかわからないですし、これで最後という覚悟を持っています。メンバーの動いている姿を目に焼き付けていただければ、THE CONVOY SHOWの凄さを感じてもらえると思うので、一度騙されたと思って観にきてください。スタッフ・メンバー一同、皆さんとお会いできることを首を長くして待っています。ぜひ、いらしてください。

THE CONVOY SHOW vol.34『asiapan(アジァパン)』

2017年12月13日(水)~17日(日)赤坂ACTシアター

作・構成・演出:今村ねずみ
出演:瀬下尚人/石坂勇/舘形比呂一/黒須洋壬/トクナガクニハル/荒田至法/
後藤健流/佐久間雄生/本田礼生/今村ねずみ

オフィシャルサイト