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『逆転裁判4』新主人公・王泥喜が描く逆転劇をもう一度

『逆転裁判4』新主人公・王泥喜が描く逆転劇をもう一度

無実の罪に問われた依頼人を救うため、調査やカガク捜査で得た証拠品や情報をもとに法廷で飛び交うウソやムジュンを暴き出し、無罪を勝ち取る法廷バトルゲーム『逆転裁判4』。2007年にニンテンドーDSで登場した名作が、10年のときを経て、画質の向上、立体視への対応、英語版の同時収録といった要素を加えてニンテンドー3DS向けにリリースされた。

本稿では、鉄板の面白さを誇る『逆転裁判』シリーズの法廷バトル、『逆転裁判4』での法廷バトルや証拠品探しにメリハリを生むシステム、プレイヤーを驚かせ楽しませてくれるストーリー展開やキャラクターたちなど、オリジナル版の発売から10年経っても色褪せない本作の魅力を追及していく。

文 / 村田征二朗(SPB15)


「異議あり!」の変わらない痛快さ 

2001年の『逆転裁判』発売以降、シリーズ作品を数多くリリースし、舞台化、宝塚歌劇による上演、実写映画化、コミック化、TVアニメ化など、非常にマルチな展開でユーザーを楽しませ続けている『逆転裁判』シリーズ。本シリーズは、主人公である弁護士となって、絶対的に不利な状況にある依頼人を救うために証言のムジュンやウソを暴き、真実を明らかにする法廷バトルを描いたミステリーアドベンチャーゲームです。

シリーズ第4作の『逆転裁判4』では、新人弁護士・王泥喜 法介(おどろき ほうすけ)がそれまでの主人公・成歩堂龍一(なるほどう りゅういち)に代わって新たな主人公となり、無実の罪に問われた依頼人の潔白を証明するため奮闘します。

▲赤いスーツとツノのようにとがった前髪が印象的な王泥喜。発声練習をしすぎて裁判当日に喉を傷めてしまうなど、ちょっと間の抜けたところもあるアツい性格の男です

▲本作で有罪を立証すべく立ちふさがる検事・牙琉 響也(がりゅう きょうや)。検事かつバンドマンというぶっ飛んだ設定になっており、法廷でエアギターを披露することもあります

“逆転”の名を冠している通り、『逆転裁判4』そして『逆転裁判』シリーズ最大の魅力は、法廷でくり広げられる逆転につぐ逆転、そのハラハラドキドキな展開にあります。本作は大きく分けると“探偵パート”と“法廷パート”のふたつからなっており、探偵パートでは法廷で有利になる証拠品や情報を探し、法廷パートでは集めた証拠品を使って証言のムジュンを暴いていきます。

▲事件現場や関連する場所に移動し、調査を行ったり、関係者に話を聞いたりする探偵パートの操作は非常に直感的で、ゲーム初心者にも安心です

提示された証拠品と証言のあいだに隠されたムジュンを突きとめ、依頼人に有利な状況になったかと思いきや、新たな証言によってそれが根底から覆される。この有利、不利の振り幅が非常に大きく、状況が何度も劇的に変化するため、法廷での展開にプレイヤーは一喜一憂することになるのです。

▲証言のムジュンを暴く証拠品をつきつける際の名セリフ「異議あり!」などの動的な演出は、プレイヤーを勢いづけプレイを盛り上げます

ウソやムジュンを探し、それに対応する証拠品を提示するというのは非常にシンプルですが、演出の勢いやキャラクターのオーバーなリアクションのおかげもあって自分で謎を解いた快感は格別です。さらに、「異議あり!」と証拠品をつきつける爽快感もたまらないのです。明らかなムジュンを見つけるのは当然簡単ですが、一度間違えると案外ドツボにはまって正解を見失ってしまうところもあり、ゲームとしての手ごたえも楽しめます。

▲間違った証拠品を提示したりすると、画面右上に表示される“心証ゲージ”が減少。ゲージがなくなると有罪判決が下ってゲームオーバーになるため、当てずっぽうは禁物です

法廷バトルのテンポ感は小気味よく、この点に関しては初代『逆転裁判』の時点でほぼ完成していると言ってもいいでしょう。読み物的な性格の強いアドベンチャーでありながら、証言に隠れたムジュンを探して指摘するという高い能動性があるおかげでプレイに躍動感が生まれ、読み物としてだけでなく、ゲームとしてもかなり楽しめる作品になっています。そして、『逆転裁判4』はシリーズの伝統とも言える面白さを引き継ぎつつ、過去作にはなかった要素も備えているのです。

法廷バトルや調査にメリハリを生むシステム

『逆転裁判4』の法廷パートでは“みぬく”システムが登場し、証言に隠されたウソやムジュンを探すだけでなく、証言台に立つ証人の“しぐさ”からも精神的な動揺を暴き出すことができるようになっています。手持ちの証拠品と決定的にムジュンする証言がなく、打つ手がないように見える状況でも、証人の動きに注目することで活路を開くことができるのです。

▲“みぬく”を発動すると、下画面で証人の動きがスローになり、ちょっとしたしぐさもクローズアップしてチェックできます。証言のどの部分で相手が動揺しているのかを探し当てて指摘することで、さらなる証言を引き出せるのです

このシステムによって、プレイヤーはムジュンがない発言に対する新たな注意をするようになります。そのため、本作以前の初代『逆転裁判』から『逆転裁判3』を遊び込んだ人でも、本作の法廷パートではひと味違ったゲーム体験を味わうことができるのです。 

また、裁判中には事件現場を3Dモデルで再現して事件内容を検証する場面もあり、2Dの平面図からスムーズに3Dモデルへと移行していく演出は見事のひとことです。シンプルな3Dモデルは現実のニュース番組で流れる検証映像のようなリアリティがあり、臨場感を高めてくれます。さらに、推理が進んでいくさまを視覚的に見せてくれるので、プレイヤーの手ごたえをよりわかりやすいものにしてくれるのです。

▲裁判中には平面図が登場することもあり、2Dの面図がスムーズに3Dモデルへと移行します

探偵パートにおいても、事件現場に残された指紋や足跡を検出してそれらが誰のものかを特定するカガク捜査が登場しています。タッチスクリーンに軽くタッチして指紋採取用の粉を振りかけ、ニンテンドー3DS本体のマイクに息を吹きかけて粉を飛ばすことで指紋を検出するなど、カガク捜査ではちょっとしたミニゲームのような、普段とは違う操作を行うことになります。

▲指紋検出中の下画面。3DS版では採取用の粉はAボタンで吹き飛ばすこともできるようになっています

▲こちらは足跡検出をする際の下画面。石膏を流し込み、それをドライヤーで固めてからインクを付けて足跡を取るなど、操作内容も違っています

カガク捜査も“みぬく”同様、人に話を聞いて証拠品を探し回るというこれまでの調査スタイルに大きすぎず小さすぎない変化を与えており、探偵パートにメリハリを与えています。1回の調査にかかる時間が長すぎるとダレてしまうところですが、そのあたりも絶妙な長さとテンポで、証拠品探しのほどよいアクセントとなっているのです。

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