Interview

Uru 神秘的な存在と包み込むような歌声。1stアルバムの話とともに彼女の人となりを探る

Uru 神秘的な存在と包み込むような歌声。1stアルバムの話とともに彼女の人となりを探る

綾野剛主演のドラマ『コウノドリ』の主題歌「奇蹟」が話題となっている女性シンガーソングライター、Uru。YouTubeチャンネルにアップしたカバー動画で注目を集めた彼女は、’16年6月に有村架純主演の映画「夏美のホタル」の主題歌「星の中の君」でメジャーデビューを果たして以降、メディアには顔出しせず、ライブの数も多くはない。本名や年齢も明かしていない彼女は果たしてどんなアーティストで、どんな女性なのか。12月20日にリリースされる待望の1stアルバム『モノクローム』の話を入り口に彼女の人となりを探った。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 西槇太一(ライブ)

第一印象になるようなアルバムになったかなって思います

メジャーデビューから1年半を振り返るとどんな日々でしたか?

あんまり具体的な目標を立てず、ただ1つ1つ目の前のことをやってきたっていう感じですね。その中でも印象的な出来事というと、やっぱりデビューしたことです。デビュー曲「星の中の君」はデビュー前からあった曲だったので、その曲でデビューできたときに、それまで応援してきてくれた方がすごく喜んでくださったんですね。ライブでも毎回、歌ってるんですけど、その時の特別な感情がキラキラしていて、いつも思い出していて。毎回、ステージで歌うたびに、「ほんとなんだな」って感じています。

デビューしたことに実感が持てませんでした?

いえ、お店にCDが並んだり、実際に聴いてくださった方から<聴いたよ>とか<手元に届いたよ>っていうコメントをいただくたびに、「あ、本当に聞いてくださって、形として届いたんだな」っていうのは実感してるんですけど……なんていうんでしょうね。2013年にYouTubeチャンネルを立ち上げてから、ずっと画面を通して歌ってたので、聴いてくださっている方の顔が分からなかったんですね。それがデビューして、音源をCDという形にしてリリースして、皆さんを目の前にして歌うようになって。そこで、自分が今、こうしてステージに立って歌ってる時間や空間はほんとなんだなって噛み締めてるっていう感覚ですね。

では、1枚目のアルバムはどんな作品にしたいと思ってました?

初めてのアルバムなので、「これが私です!」っていう名刺がわりになるようなタイトルと内容にしたいなと思っていました。聴いてくださった方がUruはこういう曲を歌って、こういう歌詞を書くんだっていうのが、わかってもらえるようなアルバムになったと思います。

またここから出発しますっていう意味ですね

アルバムタイトルの『モノクローム』にはどんな思いを込めてますか?

私の原点がYouTubeで白黒の動画を発信したことだったので、その時の気持ちを忘れないっていう意味と、またここから出発しますっていう意味ですね。

そもそもカバー動画はどうしてモノクロでやってたんですか?

人物が映った方が聴いてくれる方が増えるかなと思ったんですけど、色がない方が私の歌には合ってるんじゃないかと思ったんです。バラードを歌うのが好きだったので、バラードが多くなるなっていうのはなんとなく自分でも分かっていて(笑)。バラードを歌うのであれば、白黒の方が見てくださった方が入り込みやすいのかなって思ったんです。

リスナーとしてはどんな音楽が好きですか?

聴く音楽は隔たりなく、いろんな音楽を聴きますね。ロックも聴きますし、歌謡曲や、洋楽も聞きます。あんまり偏ってないと思うんですけど、合う合わないでいうと、あんまり強く張った声が自分には合ってないんじゃないかって、何となく分かっていて。だから、自然とバラードが多くなっていったんですけど、誰か一人、好きなアーティストを挙げてって言われたら、スキマスイッチさんです。メロディラインとか、曲のアレンジも大好きですね。

「まだカバーして欲しい曲がたくさんあります」って言っていただくことも多くて

1stアルバムの初回盤Bには、Youtubeカバーからのセレクションと新曲カバーを含む8曲を収録した「カバー盤」がついてます。今回、カバー盤を作ろうと思ったのは?

自分がやってきたことを何かしらの形にできたらいいなと思っていて。あと、SNSとかメッセージで、「まだカバーして欲しい曲がたくさんあります」って言っていただくことも多くて。待ってくださっている方がたくさんいたので、この機会に出すことができたらいいなと思ったんですね。なので、ライブで歌ったカバー曲と、アンケートを見て、これがよかったですっていうのを参考に決めました。

特に思い入れのある曲を1曲選んでいただけますか?

中島みゆきさんの「糸」ですね。デビュー前、まだマネジメント事務所とも契約してなかったときに、テレビ朝日さんから「ニュースの一コマで流したいんですけど」って、直接、ご連絡をいただいて。それをきっかけに私のことを知ってくださった方もたくさんいらっしゃって。私もすごく大好きな曲だったので、こんな形で出せるのは感慨深いですね。

1曲1曲、声色が全然違いますよね。

そうですね。柔らかい感じの私が「たしかなこと」(小田和正)で、「木蘭の涙」(スターダストレビュー)は、YouTubeの時の感じに近いかな。YouTubeでは歌ってないんですけど、この曲があの中にあっても違和感ないかなという感じですね。

ずっとそばにいてくれる確かな存在、寄り添ってくれる人を歌ってます

では、14曲が収録されたオリジナル盤の方で、「これが私だ」と言える曲は?

やっぱり「星の中の君」ですね。

この曲、ピアノとストリングスによるバラードで、ドラムが入ってないんですよね。ビート重視の時代に、ドラムレスのバラードでデビューするのはすごく新鮮に映りました。

そうですね。音数を増やしたくなくて。’13年にはもうあった曲で、本当はもうちょっと短かったんですけど、メジャーデビューに際して、元々の曲が持っていたすごくシンプルな良さを残したアレンジをしてもらって。歌詞は、自分の全てを相手には捧げてあって、あとは、いつでもあなた次第なんだよっていう。ずっとそばにいてくれる確かな存在、寄り添ってくれる人を歌ってます。

僕視点で書かれたラブソングで、隣に君がいるんですけど、君はどう思ってるんですか? 君も僕に全てを捧げようと思ってるのか。

どう感じてるんですかね(笑)。その辺を想像して聞いて欲しいなと思います。

Uruさんは聴き手の想像力や風景、ストーリーを喚起させてくれる曲多いですよね。ちなみに、映画『悪と仮面のルール』の主題歌「追憶のふたり」はどんなイメージですか?

原作を読んで、映画も見させていただいてから書かせてもらったんですけど、作品の雰囲気と世界観を壊さず、ちょっとミステリアスなところが残るように曲を書きました。だから、やっぱりこの曲も、この男の人に一体何があったんだろうって想像してもらえたらいいなと思って。ちょっと理由があって、どうしても別れなければいけなくなった二人の歌なんです。

女性視点で書かれてますけど、映画を観ると、映画の続きのように聴こえるんですよね。劇中では微妙な描き方をされていた部分の答えになってるというか。

おっしゃってくださったように、曲の頭を<気づいてた/優しい嘘>で絶対に始めたかったんです。最初に答えから始まっていて、過去を振り返って、もう一緒になることはないんだろうけど、結局はいまでもずっと好きだっていう。映画の監督さんとプロデューサーさんから、悲しいだけの歌ではなくて、最後に前向きな要素も欲しいですといただけたので、最後に、会えなくても、どこかであなたが同じ時間を生きているのであれば、ただそれだけで大丈夫という気持ちを描きました。

今、<生きている>という言葉がありましたけど、Uruさんの歌は“生”と密接に関わってるものが多いですよね。

私が携わらせていただけている作品が、そもそも生きることをテーマにしたドラマや映画が多いんですよね。『悪と仮面のルール』は、自分が誰かを殺めているんだけども、どうしてもその世界の中で生きていかなければいけなくて。でも、守りたい人がいるから、必死にもがきながら生きているっていうのがあって。『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の主題歌「フリージア」もそうですね。生きるか死ぬかっていう保証のない世界で、毎日、生と死が、次の日が来るかどうかわからないところで戦ってる。ドラマ「コウノドリ」の主題歌「奇蹟」も、命が生まれてくること自体がまさに“生”の奇蹟なので、書かずにはいられないワードでした。

「鈍色の日」も生きてく力の弱さと強さを歌ってます。

私が「鈍色の日」だったことがたくさんあるんですけど、常々思ってるのは、朝がきて、夜がくるみたいに、生まれて死んでいくと思うんですね。たぶん、生きる意味とかはなくて。それは自分で見つけていくものだっていうのも人間のエゴだと思ってるんですけど……。

虫や動物と同じように生きて死んでいくだけで、そこに意味はないと感じてる?

そうです、そうです。だから、苦しいときとか、つまづいたときは、いつまで続くんだろうって、結果を知りたくなるんですけど、やっぱり、わからないから、結局は生きていくしかないんだっていうことで、いっぱい出てくるんだと思います。

生きるとは何かを日々考えてます?

考えちゃいますね。死のうと思ったとかいうことではなくて。命って不思議なので、考えていくと、宇宙の話まで行くじゃないですか(笑)。本当に不思議だなって感じていて。その感覚を、知らず知らずのうちに書いてるんだと思います。

自分の幼いときの態度や言葉がどんなに辛かっただろうなっていうのを思うと、まず、ごめんねが出てきますね

ここから少しずつUruさんのヴェールを剥がして、人となりを知りたいなと思ってるんですけど、トイピアノで始まるバラード「娘より」はご自身のことですか?

これは98%くらい私のことで、実話ですね。個人的に、母に歌として書けてよかったなっていうのと、これもドラマ「しあわせの記憶」の主題歌にさせていただいたので、ありがたかったなって思います。

母へのどんな思いを込めました?

まず、ごめんねっていうのと……。

ごめんねが先なんですね。

そうですね。ごめんねが先で、その後にありがとうっていう感じですね。理解するまでに時間がかかりすぎていて。やっと大人になって大変さとか、こういうつもりだったんだなっていうのがわかってきて。わかってきたときに、自分の幼いときの態度や言葉がどんなに辛かっただろうなっていうのを思うと、まず、ごめんねが出てきますね。

Uruさんは、そんなひどいことを言わなそうですよね。「くそばばあ」とか。

あははは。それは言わないですけど、歌詞にあるように、一緒に歩きたくなくて、わざと離れて歩いたりとか。授業参観を見にきてても、絶対に話しかけないでねとか言ってたので、すごいひどかったなって。

すごくいい天気で、気持ちのいい日だったんですよ。こんなにいい天気だったら、例えば、昨日フラれた人がいても救われるなって

(笑)映像作品とのタイアップなどのテーマがないときはどんな曲を書きます?

意識せずに出来たのは、「いい男」ですね。スタッフさんに「曲ができました」って送ったときに、何かあったなって思われたみたいなんですけど(笑)、別に何もなくて。すごくいい天気で、気持ちのいい日だったんですよ。こんなにいい天気だったら、例えば、昨日フラれた人がいても救われるなって思ったところから、これ、書けるかもって思って。そのまま。いい天気の日にものすごい暗い曲を作ったっていう感じです。

晴れの日に作ったとは思えない暗さと重さですよね。フラれた男の独り言のように呟いてますし。フラれた後の態度として、これが理想ですか。最後に<幸せになれよ>って言えるっていう。

そうですね。嫌いになるんじゃなくて、あの人、いい人だったなって思えたらいいと思います。でも、私は<幸せになれよ>とは言えないです、たぶん(笑)。言えても本心じゃないと思います。だから、歌詞の最後で<絶対幸せになれよ>って言った後に<絶対>が抜けて、<幸せになれよ>になってるのは、ちょっとさみしさがあるからなんです。

その前の曲が女性視点で書かれた壮大なラブバラード「The last rain」で、この曲で女性が<さよなら>を告げてるように感じます。雨と晴れ、女と男で対になってて。

そうなんです。共通点はどっちも自分に落ち度があったなって思う歌詞になってます。あなたを包むことができなかったっていう感じですね。

朝、起きて、いつも同じ景色が飛び込んでくるっていうのは幸せだなと思います

生きる、家族、恋愛観ときて、Uruさんにとって幸せって何ですか?

日常かな。特別なことは何もなく、普通のことが幸せですね。ご飯を食べてるとき、寝てるとき。「しあわせの詩」にも書いたんですけど、朝、起きて、いつも同じ景色が飛び込んでくるっていうのは幸せだなと思います。

では、Uruさんにとって故郷とは? 「Sunnyday hometown」は心弾むカントリーポップになってます。

安心できる場所だし、ずっと味方でいてくれるような感覚ですね。

この曲と、新曲「fly」のみアップテンポになってます。「fly」は応援歌と言っていいですか?

そうですね。ポジティヴな歌詞になってて。私、あんまり引っ張っていくような歌がないんですけど、ずっと好きだった絵本があって。「ラチとらいおん」を思い出しながら書いたライオンの曲ですね。また何か落ち込んだ時に聞いて、自分で自分を励ませられたらいいなっていう曲でもあります。

落ち込んだ時はどうしてます?

寝ます。寝て起きると、治ります。重かったら引きずるんですけど、だいたい、朝起きると大丈夫です。リセットできるのかな。夜ってぐーっと入り込みがちなんですけど、朝、特に天気がいい日は、元気になります。

こんな歌も歌ってるんだなって思ってもらえたらいいなと思いました

全14曲中12曲がミドル〜スロウテンポのバラードですが、今後は?

バラードも好きなんですけど、アップめの曲も歌ってるとものすごく楽しいので、たくさん歌いたいなって思っています。


アルバムが完成してご自身ではどんな感想を持ちました?

本当にアルバムだなと思いました。アルバムに写真を1枚1枚貼って行くような感覚で、1つ1つを思い出しつつ、マスタリング作業をしてましたね。あとは、いろんなシーンで、こんな歌も歌ってるんだなって思ってもらえたらいいなと思いました。例えば、YouTubeでアップテンポを歌ってたときみたいにグッとあげて、雰囲気を変えたりとか、ちょっと早い曲で、力強い声で歌ったりとか。そういう違った顔も見せていけたらいいなと思います。

3月4日には2016年9月にグローブ座で行われたデビューライブ以来、1年半ぶりの東京単独公演が決定してます。

前回はデビュー後初のライブだったので、感謝の気持ちと、これから頑張りますを宣誓する気持ちがあったんです。その時に来てくださった皆さんが、もしかしたら3月にも来てくださるかもしれないので、少しでもあの時の自分を上回ったなっていう歌が歌えたらいいなと思ってます。

ライブ情報

http://uru-official.com/news/list/3

Uru

The Singer —
聞く人を包み込むような歌声と、神秘的な存在感で注目を集めるシンガー。
2013年よりYouTubeチャンネルを立ち上げ、新旧問わず数々の名曲をカバーする動画をアップする事をスタートし、楽曲の歌唱、演奏、アレンジ、プログラミング、動画の撮影、編集など、そのすべてを一人で行い、2016年6月のメジャーデビューまでに100本に及ぶ動画を公開。
デビュー時点で総再生回数は4400万回以上、チャンネル登録者は14万人越えというデビュー前の新人としては異例の実績を作り上げた。
2016年6月のデビュー以来、リリースを重ねるほどにその名前を浸透させている。
ライブは、幾重にも重ねられた幻想的なステージ演出が話題を呼び、過去6回の単独公演はすべてチケット発売とともに即日完売。

オフィシャルサイトhttp://uru-official.com/