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back number 清水依与吏1万字インタビュー前編 最新ライブ映像と新曲「瞬き」を語り尽くす

back number 清水依与吏1万字インタビュー前編 最新ライブ映像と新曲「瞬き」を語り尽くす

年末から新年へ向け、back numberの存在感が増している。彼らの歌は、ランプの灯りのように、恋しさや切なさを、彫りの深いものとして照らす。だからこそ、存在感を増すのである。この20日には、待望の新曲、「瞬き」がリリースされる。ボーカル・ギターの清水依与吏に、さっそく話を訊いてきた。今回は、その前編である。

まずは11月15日にリリースされた、LIVE Blu-ray & DVD「All Our Yesterdays Tour 2017 at SAITAMA SUPER ARENA」のことから。そしてもちろん、新曲のことを、たっぷり語ってもらった。

取材・文 / 小貫信昭 撮影(ライブ) / 佐藤祐介

「楽曲を、いちばんいい形で伝えよう」という気持ちが大きかったんです。そういうツアーにしたい。そこに集中して、疲れよう、みたいな。

前回のツアーの埼玉公演がLIVE Blu-ray & DVDとして残されたわけですが、映像作品として、どんな感想を持ちましたか?

正直、この日はあまり体調が良くなかったんで、体調がいいときには出ない集中力みたいなものがあった、ということでしょうかね。「さいたまスーパーアリーナ」の2日目は、ともかく命を懸けてステージに上がる覚悟でしたし、“ライブ”としては、今までやってきたなかでも凄く手応えがあったんですよ。でも、それを“作品”にするとなると、「大丈夫なんだろうか…」って不安があった。ところが実際に見てみて、「あ、大丈夫だ」と思って…。きちんと熱さも伝わっていますしね。

今回のツアーに臨むにあたって、強く想っていたことはなんだったんですか。

「楽曲を、いちばんいい形で伝えよう」という気持ちが大きかったんです。そういうツアーにしたい。そこに集中して、疲れよう、みたいな。動いて疲れるんじゃなく、歌に集中し過ぎて疲れるみたいなことになるといいのにって、そう想ってました。

ベスト・アルバム『アンコール』を引っ提げてのものだからこそ、「歌に集中して疲れる」という発想も生まれたんでしょうか。

ツアーが始まる前、「ベスト・アルバムのツアーっていうことはさ…」、みたいなことを、サポート・メンバーも含め、みんなと話したんです。やはりオリジナル・アルバムのとき以上に、「見に来てくれるお客さんたちのためのもの」っていう意味合いは強いのかなって思ったし、そこはきちんと、“僕らが歌を大切にする”ことで、結果的に“来てくれる人たちを大切にする”というか、その手法に重きを置こう…。そんな結論が出て、そこに特化していったんですけどね。曲の繋ぎ方であるとか、照明ひとつにしても、その曲がいちばん“いい聞こえ方になる”ことしか考えなかったというか…。“バンドがカッコ良く見える”ことより“楽曲の空気作り”というか、そこをすごく…、こんなにもそのこと考えたのは、きっと初めてだったと思います。

曲の繋ぎ方とか、曲と曲のインタールード的なものとか、かなり事前に練り込んだ部分もあったのかなと、そう思ったんですけど。

ありました。以前は繋ぎ方みたいなことより、1曲1曲に集中することを大事に思ってたところがあったけど、でもまぁ、「それは当たり前だなあ」と思い始めて、その先のことを考えた時、「(繋がりみたいなことにも)本気で向き合わなきゃ」ということにもなり、だから今回はそうですね。全体の“流れ”みたいなことや、さっきも言いましたけど、楽曲の空気作り、でしたよね。

お話を聞いてると、ちゃんと方針が固まってから、具体的な準備に入ったようですね。

これ、例えが合ってるか分からないけど、今まではこう、女の子に「好き」とか「結婚してくれ」みたいなことを言うときは、“出来る限りロマンチックじゃないほうがロマンチックだ”と思ってたんですよ。“公園の横をふたりで通り過ぎるとき、さりげなく言う”、とか…。

敢えて、「えーっ、ここで!」的なものを狙う、と。

はい。“そういう感じがいいかな?”と思ってたんですけど、でも今回は、“時には夜景の見えるレストランも、グッと来るんじゃないか?”、みたいなね(笑)。なんか、そういう感じだったというか。

セットリストでいうと、「光の街」の辺りは前後含めて組曲風に受け取れたり、逆に、順当な流れではない抑揚のつけかたも、上手く構成されていたな、という印象でしたけど。

あー、嬉しいです、そう言って頂けると。繋げて聴くと、頭の中で歌詞がグチャグチャになる曲順とかもあって、でもなんか、“それもすごくいいなあ”、みたいなね。「幸せ」のあとに「助演女優症」をやったりとか、「おい、やめてくれよ」って、自分が聞いてるほうだったら「それやめてくれ!」って思うようなことを敢えてやって、で、そのあとに「恋」をやる、みたいな(笑)。なんかそれが、ある種、快感のような感じにもなってましたね。自分としては、今回のセットリストの中盤とか、そのあたりの曲順は好きでしたけど。

今回はツアーの後だし、しかも久々のシングルだったりするんで、謙虚さがよく出てますね(笑)。

ここからは、「瞬き」の話を。ベスト・アルバムを引っ提げたツアーでひと区切りして、新たな一歩がこの作品なのでしょうか? ツアーで得たものも反映されてますか?

ツアーのあとに書く歌詞って、何て言うか、すごく誰かに感謝してるんです。感謝して、ものすごい、謙虚というか(笑)。こうしてインタビューを受けることで、自分の楽曲の仕組みを知って、改めて思うことでもあるんですが。ツアーしないで曲ばっかり作ってると、自分が大っきくなって、“自意識過剰な奴”みたいになっていく。今回はツアーの後だし、しかも久々のシングルだったりするんで、謙虚さがよく出てますね(笑)。

歌詞のなかに、“大切な人に”“傘を差せる事だ”という表現がありますが、あれも謙虚さから出た表現でしょうか。

ここ最近、「誰かのための自分でありたい」という想いが、どんどん強くなっているからじゃないですかね。なので“傘を差す”というのは、その心掛けをシンプルに表わしたものというか、「こうありたい」というふうに、常々思ってきたことでもあるんですよ。「誰かのための自分でありたい」みたいな精神が、まんま出た、というか…。

「こうありたい」って想いが、実際の行動となったら、例えば傘だった、みたいな…。

“あるべきだ”、とまでは思わないですけど、“ありたいな”、みたいなところが、強く出たんだと思います。もちろん、こういうことばかり、常に思っているわけではないですけどね。でも、例えば「瞬き」の歌詞を、中途半端に今までの自分色に染めようとして、文の最後をヒネってみたり、なんやかんややってたら、ここまで強いものにはならなかったと思うので。「誤解を恐れずに言わせていただきますけれども…」っていうのが、カップリング含め、今回の3曲なんじゃないですかね。

映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』の主題歌ですけど、映画とはどう響き合う作品になったと思いますか?

脚本を読ませて頂いたりもしましたが、自分たちが今、いちばん歌いたいことにこそ影響を受けるべきだと思ってましたから、出だしだけは映画と足並みを揃えたけど、途中からはあんまり考えないで…、みたいな感じでしたね。でも結果的には、映画の“主人公の気持ち”としても取れる歌だろうし、いい形になったんじゃないですかね。それでいて、映画と関係ないところでも、ちゃんとひとり立ちしてくれる曲ではあるので、それも心強いと思ってます。

最初は“頭サビ”は考えてなかったんです。

「瞬き」というタイトルは、いつごろ決めたんでしょうか?

歌詞を書き終えた時は、「誰かタイトル、決めてくんねえかな」と思ってたんですけど、“これがいいかな”って「瞬き」にしてみたら、「だったらここを、こうしたいな…」、とか、いくつかその後で、歌詞を変えることにもなりました。まあ、変えるというか、そこから少し調整していったということですが。

イントロなしで、いきなり歌い始めますよね。頭にブレス(息を吸う音)も聞えるし、ある意味、生々しい、というか。

最初は“頭サビ”は考えてなかったんですけど、作っていく中で「ハマるかもなぁ?」ってなって、そんな時、マネージャーさんと電話で話していたら、「あの曲は、“頭サビ”、いいかもね」って言ってたんで、「実は僕も思ってたんですよ」って、「じゃあ1回、やってみましょうか」みたいな、そんな感じで構成していきました。そしたら上手くハマって、「あ、これは“呼んでた”んだなぁ」ってことで、仕上げていきましたけどね。

曲調は、いわゆるハチロクの、ロッカバラード的なリズム・アプローチですけど…。

このリズム自体、僕らはあまりやってなくて、珍しいんですけどね。たぶん、「いつか忘れてしまっても」っていう、インディーズの曲以来です。

小林武史さんのプロデュースですね。

これまでに何曲かやっていただいてまして、「このぐらいまで作ってお渡しすると、小林さんもやりやすいのかな」とか、それも分かってきてて、そのまま僕らが欲しいもの、それ以上のものが小林さんから返ってきて、さらにバンドも乗って、「じゃあ、ああして、こうして」って、スムーズに、パワフルなものが出来ていく感じでした。特に今回の曲は、今まで以上にスム−ズでした。

実は「傘を差せる事だ そしていつの間にか僕のほうが守られてしまう事だ」ってところを最初に書き上げて、それを1番のサビにしようとしてたんです。

歌詞の構成について訊かせてください。“幸せとは”で始まって、それを“ような”って例えてるじゃないですか? こういう例え方にすぐ行き着いたんですか?

すぐではなかったですね。でも、「幸せとは」なんて仰々しく始まってるからには、きちんとそれを言わなきゃダメだと思って、すごくその後、(この言葉に)向き合わざるを得なくなる、ということだった気がします。で、何日か掛けて「星が降る夜」という、そのくだりが出てきて、改めて、“これだったら「幸せとは」って歌い始めてもいいんだな”って思えるようになり、そこから他を埋めていく…、という感じでした。

「星が降る夜」「眩しい朝」に対して、「降りかかった雨」という対比は、自然に浮かんだんでしょうか。

まず、「幸せとは大切な人に降りかかった雨に傘を差せる事だ」っていう、ひとつの文章として考えていて、それが本当に言いたいことで、でもそれだけだと、“なんか強すぎて、メッセージ・ソングみたいになるなぁ”ってことで、この言葉を聴くとき、いい景色というか、キラキラしたものが頭の中に浮かんでいる上で聴けたら、強すぎることもないだろうし、“許せるんじゃないか?”っていう…。つまり、“説教臭くない形で説教して欲しかった”んですよね、もし説教なら(笑)。

説教なんだ(笑)。

いや、この歌は説教じゃないんですけど、きちんと言うんだったら、その方が、という。それがたぶん、「星が降る夜」と「眩しい朝」という対比だったんだと思いますけど。

いちばん最後のサビのほうに、「そしていつの間にか僕のほうが守られてしまう」ってフレーズが出てくるじゃないですか? この曲を聴き始め、やがて時間の経過と共に、ジワジワと感情がしみ込み、納得しながら聴き終えることが出来る構成ですよね。

それはもう、おっしゃる通りです。実はこの部分、最初に作ったんです。「傘を差せる事だ そしていつの間にか僕のほうが守られてしまう事だ」ってところを最初に書き上げて、それを1番のサビにしようとしてたんです。でも、いきなりこれだと、“もう…、言うことがねぇ!”ってなって(笑)。これ、“ちょっと待とうかなぁ”と思い、切り離して、後ろのほうにしたというか…。だからおっしゃる通り、ある程度、時間の経過も欲しかったし、心の準備が自分にも必要だったんですよね。

それにしても、「幸せとは」とか大上段に振りかざすところから、よくぞここまでPOPで魅力的な歌へと着地しましたよね。

そこを言って頂けるのは、ホント、ありがたいですよ。

後編へ続く

back number 清水依与吏1万字インタビュー後編はこちら
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2017.12.21


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清水依与吏(Vo・G)、小島和也(B・Cho)、栗原寿(Dr)の3人組。
2004年、群馬にて清水依与吏を中心に結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年現在のメンバーとなる。2009年2月1stミニアルバム『逃した魚』リリース。2010年6月1stアルバム『あとのまつり』リリース。2011年4月メジャーデビューシングル『はなびら』リリース。同年10月2ndアルバム『スーパースター』をリリースし、“スーパーツアー2011”開催。2012年11月3rdアルバム『blues』リリース。2013年9月初の日本武道館公演「live at 日本武道館-stay with us-」開催。2014年3月4thアルバム『ラブストーリー』リリース。2015年12月5thアルバム『シャンデリア』リリース。2016年1月から6カ月をかけて全国のホール&アリーナ全国32か所39公演をまわるツアー「back number tour 2016 “ミラーボールとシャンデリア”」を開催。同年12月、初のベスト・アルバム『アンコール』をリリース。2017年2月から全国アリーナツアー“All Our Yesterdays Tour 2017”を開催。

オフィシャルサイトhttp://backnumber.info/