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年末年始に戦慄せよ!全世界3500万部の大ベストセラー作家カリン・スローター最新作に注目!

年末年始に戦慄せよ!全世界3500万部の大ベストセラー作家カリン・スローター最新作に注目!

猟奇×キャラクターイヤミスならこの作家!

世界での発行部数が累計3500万部を超える、戦慄ミステリーの女王カリン・スローター。その作品は、“常軌を逸している”と思えるくらいに猟奇シーンの描写が細かく書き込まれ、これまでに触れたことのないようなエグさに満ちている。登場する人物の誰も彼もが業が深く、作家は物語の中で彼らがもつ“闇”もつぶさにあぶり出し、後味の悪い余韻を残す。そんな作風はサイコ・イヤミスとしても人気を博している。 そのスローターの日本最新刊『血のペナルティ』(〈ウィル・トレント〉シリーズ)が、12月にハーパーBOOKSより刊行された。


血のペナルティ
カリン・スローター(著)
鈴木美朋(訳)
ハーパーBOOKS


スーツで身を包むエリート捜査官の“心の闇”

〈ウィル・トレント〉シリーズは、米国ジョージア州捜査局の特別捜査官ウィル・トレントが主人公の警察小説。ウィルは三つ揃いのスーツに身を包み、一見すると弁護士か銀行員と見紛う優男の風貌。見た目だけでなく物腰も柔らかで、いわゆる“脳みそまでもが筋肉”のようなマッチョな警官たちからは煙たがれているが、実はウィルにはディスレクシア(読み書き障害)があり、彼は強いコンプレックスを周囲にひた隠しにしている。 両親はおらず養護施設で育ち、里親に虐待されて育った過去もあり、同じ施設で育った幼なじみで別居中の妻でもあるアンジーが唯一の友達といえる存在だが、彼女は“悪女”。捜査局の上司アマンダは“鉄の女”で、さらに相棒のフェイスは“姉御肌”のシングルマザー。強い女性たちに囲まれウィルはいつも肩身が狭いが、そんな彼が凄惨な事件の数々を冷静に読み解いていく。

警察の汚職事件もあぶり出す?!

最新刊の『血のペナルティ』は、フェイスの母親で、麻薬取締課の元警部イヴリンが何者かに拉致された事件から始まる。現場に駆けつけたウィルはすぐに、4年前、イヴリンが率いていた麻薬捜査課の部下たちが汚職にまみれて刑務所送りになった事件を思い出す。彼女だけは無罪放免となったが、その事件の担当だったウィルは証拠が握り潰されたことを未だに疑っていた。そして、事件を洗い直すため彼は服役中のイヴリンの元部下を訪ねるが、面会の直後、その元部下は獄中で殺害されてしまう。 事件の真相はいったいどこにあるのか──。主要人物たちは揃ってさまざまな問題を抱えており、一人一人の隠された過去がえぐり出されていく。情景描写の巧みさも際立ち、先の見えないストーリー展開のなか、読者の恐怖感だけが膨らんでいく。

『羊たちの沈黙』を彷彿させる恐ろしさ

実際の作家は写真の通りの美人で小柄、残酷で猟奇的な事件を描くとは思えないチャーミングな人物だ。自身のSNSではよくかわいらしい猫の写真や動画をシェアし、温泉に入っているカピバラに大興奮するなどの一面ももつ。一方で、話す相手とはしっかりと目を合わせ、その鋭いまなざしからは深い観察力を発揮していることがうかがえる。
米国人作家にはめずらしく緻密で繊細でじっとりした作風をもち、本国よりヨーロッパでの人気が高く、特に英国、アイルランド、オランダで注目され、文学青年や女性のファンが多い。〈ウィル・トレント〉シリーズの主人公ウィルは知的でもコンプレックスの強い、やや神経質な人物として描かれるが、女性の読者からは優しいまなざしで愛され、男性読者からも好意的な共感を寄せられている。
「読み始めたとたん、話の渦の中に巻き込まれる」「『羊たちの沈黙』を彷彿させる恐ろしさ」「それぞれの人生の複雑さ、被害者の過去の苦しさが絡んで、先へ先へと読みました」といった読者からの声にもあるように、一度カリン・スローターの世界へ入り込むと、一気にその虜になってしまう。目が離せないサイコ・イヤミスの世界をじっくりと堪能したい。

文 / 吉田桐子

年末年始はこのミステリーに注目!
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