Interview

accessが5年ぶりとなるオリジナルアルバム『Heart Mining』をリリース! 二人にしかできない、“剛速球のキャッチボール”で作り上げた作品への思いとは。

accessが5年ぶりとなるオリジナルアルバム『Heart Mining』をリリース! 二人にしかできない、“剛速球のキャッチボール”で作り上げた作品への思いとは。

accessにとって約5年ぶりのニューアルバム『Heart Mining』。スペーシーなインストゥルメンタル「Cassini」で幕を開ける。最新シングル曲「Knock beautiful smile」やライブ定番曲「永遠dive」のリミックスバージョン、さらには秋のホールツアーで披露されたバラード「Inside me, Inside you」の完全版などを含む全11曲(初回生産限定盤は全12曲)。二人の言葉を借りるなら、「剛速球のキャッチボールで完成させた」アルバムだ。つまり、お互いが100パーセントを出し合ったということ。1+1=∞のaccessだから、100+100は∞以上。どれだけ期待しても、それを上回る新作だ。

取材・文 / 藤井徹貫

常に自分に満足していない自分がいて。もっと追求したい気持ちが年々強くなっている(貴水)

10月1日、“access 25th Anniversary TOUR 2017 double decades + half”のファイナル(中野サンプラザ公演)のMCでニューアルバム発売を発表しましたね。

浅倉 25周年のベストアルバムやツアーを終えたaccessをしっかりひとつの形にしたかったので、12月にリリースするべきだと思っていました。

貴水 でも、12月発売と、大ちゃんがなかなか断言してくれなかったから。ステージ上で「12月にリリースします」と言ったとき、思わず「言いましたね」と念を押しました(笑)。

浅倉 ボクはボクで、12月何日までは言えなかった(笑)。

貴水 だって、あれから発売まで約2ヵ月だよ。access史上最高の瀬戸際スケジュール(笑)。

浅倉 ボクら二人は、全然焦っていなかったけど、周りはね。ジャケットの印刷とか、CDのプレス工場の納期とかあるので、結構ピリついていたみたい(笑)。それにしても、あのスケジュールで無事完成したのは、HIROの喉がとにかく立派だったおかげ。

貴水 細心の注意を払ったから。

浅倉 昔だったら、レコーディング中に喉の調子が悪くなったりしたこともあったけど。今回はね、お父さんね、博之ちゃんをほめてあげる(笑)。

貴水 お、お父さん!?

浅倉 おこづかいをあげたいくらい。

あ、その意味での、お父さんね(笑)。

貴水 自分自身のデータ分析を、最近、すごくするようになって……。

浅倉 自分の中に蓄積されたデータを掘り起こす、まさに〈Heart Mining〉だね。

貴水 データ分析とか言っておいて、すごく初歩的な結果だけど、結局は喋らないのが一番。だから、レコーディング中は、スタジオで無駄話しないとか、普段も口数を減らすとか、意識していました。孤独ですよ(笑)。

浅倉 孤独Mining(笑)。レコーディングに突入したときの、ボクら二人のキャッチボールの凄まじさは、アルバムを聴いてもらったら、わかってもらえると思いますよ。25年も一緒にやっているから、キャッチボールだって剛速球の投げ合い。

貴水 うん。僕のところに送られてくるとき、オケというかトラックがほぼほぼ完成している曲もあれば、デモ音源みたいな曲もあって。で、僕が歌詞を乗せたら、その歌詞に沿った音を大ちゃんが加えてくれたり。曲によっては、4割か5割のオケでボーカルを先に入れて、そのボーカルを活かすようなアレンジで仕上げてくれたり。そういうキャッチボールが楽しかったね。

浅倉 HIROが歌ってから完成までで一番大きく変わったのが「Tragedy」です。

貴水 そうだよ。あれは、完成版を最初に聴いたとき、イントロが始まってもどの曲かわからなかったもん(笑)。

浅倉 あの歌詞とあの音……。

貴水 ゴリッとしたサウンド。

浅倉 あの歌詞とあのメロディー、ああいう歌詞とあの声、あの歌とああいう音……すごくアートなバランスになった。

貴水 25周年の今の、2017年の僕らのポテンシャルがはっきり出ました。一緒にやってきたからこそできた点と、お互い別々のソロをやってきたからできた点、その2つの歯車がうまく噛み合っています。だから、自分自身にとってフレッシュなアルバムになりました。

ボーカルもフレッシュでした。25年の重みのようなものを無理に出そうとしてない点が。

貴水 25年だから、5年ぶりのアルバムだから、こう歌おうという邪念はなかったです。今までやってきたことのベストを出そうと思っただけで。この頃、生き方もシンプルになってきて。

浅倉 いいぞ、いいぞ。なんか〈Heart Mining〉な話になってきたぞ(笑)。

貴水 子供の頃から歌手を夢見てきて、そうなったけど、常に自分に満足していない自分がいて。もっと追求したい気持ちが年々強くなっているし。25年を応援してくれた皆さんへの感謝の気持ちとともに、また次の一歩を踏み出せるアルバムができました。

HIROが言うところの「access史上最高の瀬戸際スケジュール」を残り越えられたひとつの要因に、ボーカルレコーディングの早さも挙げられますか?

浅倉 そうだね。ボーカルを録っている途中で、悩みに入ることはないから。潔いというか……。

貴水 体調管理や精神状態も含め、ボーカルを録る前は、家で仕上げてからスタジオに行きます。前の日は、何時にお風呂に入るとか、どれくらい走るとか、何時に食事をするとか、決めているし。昔は、スタジオに行ったら、まず喋る(笑)。どう歌おうか?とか。

そのアルバムタイトルはいつ頃決めたんですか?

浅倉 レコーディング序盤か中盤あたり。

Miningは、辞書を引くと、採掘の意味。

浅倉 何年か前から、データマイニングという言葉が当たり前になってきて。その意味は、ネット上などに蓄積された膨大なデータをコンピュータで解析して、規則性や将来の動向などを得ることで。ビットコインも仕組みを知りたいと思って、少し調べても、すぐにマイニングという言葉が出てくるし。その言葉と、人間の精神も意味するハートを合わせて造語にしました。

ファーストアルバムを作ったときと同じときめきが25年経ってもありました(浅倉)

アルバムの方向性を決定づけた曲はありますか?

浅倉 全曲の方向性が違うからね(笑)。その質問はなかなか答えにくいですね。ただ、序盤にできた曲、追い込み時期にできた曲では、ひょっとしたら何かが違っているかも。例えばバラードの「Inside me, Inside you」は、序盤に作曲した3曲の中の1曲。だから、春ツアーの“ELECTRIC NIGHT 2017”の、新潟振替公演のとき、ピアノとボーカルだけのデモバージョンを披露して、秋ツアーではバンドを入れたベータバージョンで演奏して、今回のアルバムバージョンになると、また全然違った音になっています。HIROのハイトーンに対抗するじゃないけど、せめぎ合っているようなロー(低音)が欲しいなと思っていて。大先輩の吉田建さんにお願いしました。

貴水 25年目にしてね、フレッシュな、accessを代表するバラードができたよね。

浅倉 HIROのハイトーンと建さんのベースの掛け合いが、ボクの中でのツボです。それと、音をすべて固める前にボーカルを録ったから、アレンジに合わせて、熱く歌い上げるボーカルになっていない点も成功。

「Crack Boy」は、どことなくレトロフューチャーな匂いがしましたが……。

貴水 今回、もっともハードルが高かった曲ですね。ただ、アルバムを作るたび、必ず1曲は難産がございますから(笑)。

ございますか?

貴水 はい。序盤からあった曲なのに、歌詞を書き上げたのは、終盤でした。何パターンも書き直しました。

浅倉 デモ段階ではM3だったのが、完成したのはラス2くらい。

貴水 80年代の匂いがするのに、なぜか新しい。そこが大ちゃんの技というか、マジック。

浅倉 あの曲でHIROが苦戦したのは、ボクにしたら、ちょっと意外だったかな。逆の意味で意外だったのがアルバムタイトル曲「Heart Mining」。その言葉に含まれるいろいろな意味合いを歌詞で表現するのは難しいだろうなと思っていたから。言葉にしたら、限定される場合があるから。なのに、意表を突いて、音を渡したら、すぐに歌詞が返ってきた。

貴水 音をもらって、そのまま朝方に集中して書き上げました。剛速球のキャッチボールを繰り返した上での、あれだったのが功を奏したと思うよ。

浅倉 最後の曲だったんだよね。

貴水 しかも、アルバムタイトルになる曲だってことはわかっていたから、大ちゃんの音を聴いた瞬間、わかっちゃった。こうでしょって。通じ合ってた。

浅倉 完全にクリエイターモードに入ってたよね、あのときのHIROは。

意表を突くって点では、アコースティックギターの弾き語りにも聴こえる「Friend Mining」です。知らずに聴かせたら、accessとは思わないかもしれない。

浅倉 アンプラグドと思う人がいるかもしれないけど、実はフルデジタルサウンド。HIROの声も5年くらいかな、前にサンプリングしたものを使っています。『FAST ACCESS』のオマージュも入っているし。スルッと聴けるけど、意表を突いて凝ってる曲です。

貴水 このアルバムの裏テーマじゃないけど、ひそかなテーマとしては、『FAST ACCESS』オマージュなので。

浅倉 自分たちに何ができるのか、どこまで手を広げられるのか、ファーストアルバムを作ったときと同じときめきが25年経ってもありました。それがうれしかったです。

「25年経っても」という点では、前々からアルバムが完成するたび、HIROは「accessのコーラスは世界一大変」と言っていましたが、25年経ってみて、変わりましたか? 変わりませんか?

貴水 コーラスの量が多いので、物理的に時間がかかりますね。そこは25年経っても変わりません。ただ、25年経つと、最短時間で録れるようになったと思います。デビュー当時だと、今の3倍くらいは時間がかかっていました。

浅倉 ボーカル以外は、すべてチップ(基盤)の中で生成された音だから。ボーカルとの橋渡しというか、のりしろがコーラス。でも、昔よりは、ムチャな要求はしなくなったよね。

貴水 いや……。 

浅倉 !?

貴水 今が一番ムチャ言ってる(笑)。今が一番大変。

浅倉 そ、そうなんだ。

25年目の衝撃の告白(笑)。

浅倉 今の発言が一番意表を突かれた(笑)。

貴水 ここまでやってきたら、コーラスで今まで聴いたことのない旋律はないだろうと思っていたし、皆さんもそう思ってるかもしれないけど、あるんですよ。大ちゃんの頭の中にはある。今回のレコーディングでもありました。3回か4回、集中して聴かないと、音の動きがわからないフレーズが。

「Cassini」と「Voyager」、2曲のインストゥルメンタルは、大ちゃんの宇宙好きの現われですか?

浅倉 まさに(笑)。カッシーニは20年前に打ち上げられた土星探査機の名前。土星のリング越しに青い地球が小さく見える映像を送信してきて。あれを見たとき、涙が出たもん。

貴水 カッシーニが任務を終了したとき、NASAのスタッフが危機管理マニュアルを破り捨てたんだっけ?

浅倉 あ、その話、覚えててくれた?

貴水 ま、僕の場合、宇宙はいつもここ(胸)にあるけどね(笑)。

浅倉 ボクの趣味だけじゃなくて、秋ツアーに来てくれた人は、もしかしたらどこかで聴いたことのあるメロディ-に気がつくかも。そういう意味では、accessの過去・現在・未来が凝縮されています。

そして、10曲目の「Voyager」までが正式なニューアルバムということですか?

貴水 そうです。だから、「Voyager」と11曲目の「永遠dive(Heart Mining Ver.)」の間に∞の表記を入れました。で、初回生産限定盤のみ、さっき大ちゃんが言ったホールツアーで披露した「Inside me, Inside you」のベータバージョンも収録されています。あのバージョンとアルバム4曲目のバージョンをぜひ聴きくらべて欲しいですね。

浅倉 その点も、過去・現在・未来をギュッと真空パックできたアルバムです。ミキサーもそう。デビュー当時のaccessを手がけてくれた大里正毅さんと、『Re-Sync Cluster』にも参加してくれたGARIのYOW-ROW(ヨウイチロウ)くんと、ボク。

貴水 それぞれのキャラが立っているよね。そういう点も含め、攻めたアルバムになっています。

浅倉 攻めなきゃいけないとかも考えず、結果的に攻めているアルバムになった点がよかったよね。accessとはこうあらねばならないとか、次はこういう方向ですとか、そういうことは一切なく、今までの流れのまま作れば、きっと未来は見つかるだろうな、という思いで作りました。HIROの生き方じゃないけど(笑)、シンプルな発想です。

貴水 音楽の根底にあるのはLOVE&PEACE、そのシンプルなことを、これからも音楽でもっと表現できるようになるんじゃないか、伝えることができるんじゃないかと、自分たちに自信を持てるアルバムです。

では、最後に25周年の2017年を振り返って一言ずついただけますか?

浅倉 25年も続けられたことへの感謝もありつつ、どんな25年だったか振り返ると、どの瞬間を切り取っても、ときめいていたし、エキサイティングでした。だから、これからもときめきながらエキサイティングな活動をしたいと思った25周年でした。

貴水 25年と一口に言っても、実際は長い年月なわけで。それだけの時間や時代をともに歩いてくれたみんながいて。新しいファンの方も応援してくれて。みんながいるから僕らが成り立っているんだなって思いが年々強くなります。だからこそ、僕らの音楽活動には、責任が伴うことも再確認した25周年でした。これからもみんなと一緒に1cmでも1mmでも前に進みたいので、26年目もよろしくお願いします。

その他のaccessの作品はこちらへ

ライブ情報

access 25th Anniversary Christmas in Naeba
double decades+half Christmas Special Live

12月23日(土) 苗場プリンスホテル ブリザーディウム
12月24日(日) 苗場プリンスホテル ブリザーディウム

access

浅倉大介(プロデューサー)/貴水博之(ボーカル)からなるユニット。1992年11月26日、「VIRGIN EMOTION」でデビュー以来、「MOONSHINE DANCE」「夢を見たいから」などヒット曲を連発。1994年には、3rdアルバム『DELICATE PLANET』でオリコン初登場1位を獲得し、その年の『NHK 紅白歌合戦』にも出場する。1995年、一旦活動休止をするが、2002年、access再始動。以来、毎年全国ツアーを実施、シングルやアルバムもコンスタントにリリースし、精力的に活動している。デビュー25周年のアニバーサリーイヤーとなる今年も、9月13日にベストアルバムをリリース後にホールツアーを開催。12月20日には約5年ぶりとなるオリジナル・フルアルバム『Heart Mining』をリリースした。

オフィシャルサイトhttp://www.access-web.jp


【ニュース!】
25周年記念特集「時空を巡る旅」EXTRAバージョンを12月29日(金)に掲載予定。お楽しみに。


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