Interview

演出・中屋敷法仁&鳥越裕貴が、稽古場での様子や原作愛を語り合う。強力なキャストとクリエイターたちが挑む、舞台『文豪ストレイドッグス』

演出・中屋敷法仁&鳥越裕貴が、稽古場での様子や原作愛を語り合う。強力なキャストとクリエイターたちが挑む、舞台『文豪ストレイドッグス』

近代文学を代表する文豪たちがキャラクター化し、それぞれの作品にちなんだ異能力を用いて戦う人気のバトルアクション漫画『文豪ストレイドッグス』が、アニメ化、ノベライズ化に続き、初舞台化。演出は劇団「柿喰う客」の代表でもある中屋敷法仁。主演の中島 敦役は、演技、身体能力ともに定評のある鳥越裕貴が務める。
初日を10日後に控えた取材日。たしかな手応えを感じている2人が語る、出会いから稽古場の様子までを、軽快な会話のテンポと熱いテンションそのままにお届けする。

取材・文 / 片桐ユウ 撮影 / 中原幸


稽古場もすごく素敵な空気。とにかく、やしきさん(中屋敷)が楽しそう

原作・アニメはご存知でしたか?

鳥越裕貴 はい、出演が決まる前から。深夜にテレビ番組をザッピングしていたときにアニメが目に留まって。そのときに放送されていたのは第2クールだったんですけど「これは人気が出そうなニオイがするぞ!」と思って(笑)。もちろん作品の面白さも感じて、そこから第1クールも遡って観ていました。

中屋敷法仁 僕は出会いで言うと……というかすみません、今日、声がガッスガスで(苦笑)。

鳥越裕貴

ものすごく枯れていらっしゃいますけど、大丈夫ですか?

鳥越 昨日の稽古で楽しみ過ぎちゃったんですよね?(笑)

中屋敷 昨日やった通し稽古で、カーテンコールで植田圭輔が出てきた瞬間に自分がすごい声を出しちゃったんですよ、「キャーッ!」って(笑)。

(偶然居合わせた)植田圭輔 俺、シュッとしていたいのに、つい笑ってしまいましたよ!(笑)

中屋敷 そんな理由で声が枯れています、すみません(笑)。僕は原作との出会いで言うと、横浜市が『文豪ストレイドッグス』とのコラボでスタンプラリーをやっていたときにたまたま街を歩いていて、イラストを目撃したのが最初です。2次元が3次元の街にあるのが新鮮だなと思った記憶があります。

中屋敷法仁

では、舞台化への参加が決定したときは「あ、あれか!」という。

中屋敷 そうです。もともとアニメが大好きなので、街で知ってからアニメも観ましたし。

鳥越 僕も決まってからコミックスも読みました。出演が決まったときは「どんな舞台になるんだろう?」と気になりましたね。

中屋敷 コミックスだと、春河35先生が朝霧カフカ先生の複雑怪奇かつキャッチーな原作をどうやって作画していくのか。アニメですと、それを五十嵐卓哉監督がどう動かしていくのか。そこが注目ポイントだったので、舞台化は後出しジャンケンのような感覚があります。いろんな方々がビジュアル化をすでにされているので、資料が豊富なんですよ。舞台では、そこからどう崩そうかとか、増やそうかということを楽しく作業している最中です。

お2人は今作で初めてご一緒されるんですよね。意外な感じもしますが。

鳥越 それ、結構言われるんですよ。役者仲間の平野 良くんにも「え! まだ一緒にやったことなかったの?」って言われて。飲み会の席で何回かご一緒させていただいたことはあったんです。僕、いろんな舞台を観に行くのが好きで、中屋敷さんの劇団「柿喰う客」も何度か拝見しているんですけど、たしかそのあとの飲み会で。

中屋敷 あーいた、いた!

鳥越 王将で飲みましたよね?(笑)そのときにすごくフランクで面白い方だなーと思ったのが最初だったと思います。「僕もいつか柿喰う客に出たい!」と思っていたら、この作品でご一緒させていただけることになり……ありがたいです。

中屋敷さんは、鳥越さんのことを舞台で観ていたりは?

中屋敷 もちろん観ていました。

鳥越 ホントですか!?

中屋敷 観てる観てる! 舞台『弱虫ペダル』も観劇していたし。

鳥越 ああ、そうか……怖いぃ~(笑)。いつ誰に見られているかわからない世界!

中屋敷 あはは。良い作品があったら、いつかご一緒したいと思っていました。この作品のキャスティング相談があったときに、アニメを観ていて「並の俳優じゃ超えられないな」と思ったんですよ。ビジュアルがキャラクターに寄っているというよりは、身体や声が利く人がいいなと思って。それで「中島 敦 役は鳥越裕貴くんがいいな」と思い、大きな声で勝手に希望を言っていたんです。

鳥越 (笑)

中屋敷 でも、正直な話をすればムリかなとも思っていたんですよ。みんな人気者だし。

鳥越 すごいメンバーが集まりましたよね。

中屋敷 本当に『文豪ストレイドッグス』的。誰がメインでもおかしくないような、ヒリヒリする魅力的なメンバーが集まりました。

鳥越 僕もメンバーを見て安心しました。各々がしっかりしていて、原作への愛も強いですし。

原作のどんなところに魅力を感じましたか?

鳥越 語り尽くすには42時間くらいかかりますけど大丈夫ですか?

中屋敷 42時間!?(笑)

鳥越 最新刊を稽古場で先を争いながら読んでいたときも、全員から「面白いな!」って感想が素直に出てくるんです。遡って読みたくもなりますし、アニメも観返したくなったり、中毒性があるんですよ。関係性もそうだけど、いろいろなところに面白さを感じることができる。ハマれる作品だってところが一番の魅力かもしれないです。

中屋敷 解釈が豊富にできるところが楽しいんですよね。原作でもまだ明らかになっていない謎がありますし、舞台ではそれをどこまで匂わせるかも楽しいな、と思っています。「コッチが勝って、アッチが負ける!」って正解を提示していくものじゃなく、深さがあるところが原作の魅力でもあると思うので。それがお客様を惹き付ける引力になってもいますし、舞台でもあまりサービスするのではない作り方をしていきたいなと思っています。俳優も答えを出すというより、ヒントを出すような奥深い演技がいいなあと。

俳優さんにとってもハードルですね。

鳥越 そうですね。奥深さって難しい! でもセリフを言っていると自然にノッていけるところがあります。また、最近涙もろくなっちゃって、良いセリフで泣いてまう……でも、抑えるのも違うと思うので、素直にボロボロ泣いているんですけど(笑)。稽古場もすごく素敵な空気なんですよ。とにかく、やしきさん(中屋敷)が楽しそうで!

中屋敷 僕の大好きな俳優たちがいて、大好きな原作があって、現在はまだお客様にお見せする前段階なのでいろんなアイデアを出し合っていて。すごく豊かにやらせていただいている稽古場です。

鳥越 たくさん“頭”がいらっしゃる印象ですね。振付のスズキ拓朗さんも、殺陣の六本木康弘さんもそうですけど、とにかく頭がいい人の集まり! それに加えて遊び心満載の少年たちが集まっているという、良い大人たちの現場だなって思います。

中屋敷 クリエイターの話で言うと、脚本は絶対に御笠ノ忠次さんがいいと思っていたんです。この原作はすごく難しいから、もっとヤバイ人が良くて(笑)。原作の膨大な情報量を舞台に収めて、なおかつ、“文スト(文豪ストレイドッグス)の良さ”をさらにダイレクトに伝えるには、一番良いアイデアを持っている方ではないかと思いました。そして異能力の表現は身体を使うものなので、振付のスズキ拓朗さんとアクションの六本木康弘さんも必要不可欠だった。音楽の岩崎 琢さんもオリジナル曲を作ってくださっていますし、クリエイターチームも相当ヤバイ人の集まりなんです。キャスト陣もプレイヤーとしてはアホというか、すぐ飛び込んでくれる人たちですしね。

鳥越 もう、すーぐ飛び込んじゃいますよ。罠であろうがすぐ飛び込みます(笑)。

キャストに加えて、クリエイター陣もオールスターという。

鳥越 いい意味の化学反応をバチバチ感じていますね。稽古もすごく楽しくやれています。

中屋敷 場面に登場したとき、「鳥ちゃーん!」って声かけちゃうもん(笑)。

鳥越 「ちゃう、ちゃう! 僕、今、中島 敦!」って思うんですけどね(笑)。

中屋敷 「ここでコレがこうなってああなって……」と考えていて、鳥ちゃんが「ココで来るだろう!」というタイミングで“ドンッ!”と現れるから。思わず声が出ちゃうんですよ。

鳥越 本当にこんな現場ないですよ(笑)。面白いです。

中屋敷 スタッフチームは苦笑いしていますけどね。昨日の通し稽古はいろんな方もご覧になるので、そのときばかりは黙っておこうと思っていたんですよ……でも映像を観返したら、めっちゃ自分がうるさくて、自分の笑い声のせいでセリフが聞こえないときもありました(苦笑)。本番は気をつけようと思います。

鳥越 本番の劇場であれだけ声出したら、さすがにつまみ出されますよ!(笑)

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