『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』大人でも楽しめる魅力の追究  vol. 1

Review

『ポケモン US・UM』新要素と伝統的なシステムが生み出す新鮮なノスタルジア

『ポケモン US・UM』新要素と伝統的なシステムが生み出す新鮮なノスタルジア

1996年に登場し、20年以上に渡って世界中の人々を魅了する『ポケットモンスター』(以下、『ポケモン』)シリーズ。最新作である『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』(以下、『ポケモン US・UM』)に至るまでに数々の進化を遂げてきた本シリーズだが、くさ、ほのお、みず等のタイプ間の相性を使った、わかりやすくて戦略性を持ったバトルシステム、個性豊かな外見や特徴を持ったポケモンの収集と育成など、本シリーズの面白さを支える根底部分は長年経っても変わっておらず、過去にプレイしたユーザーがいつ戻ってきても戸惑うことはない。

この特集では、子供のころに『ポケモン』シリーズを遊んだ人たちが、時間が流れ大人になったいま改めてプレイする、大人が遊ぶ『ポケモン』の魅力を追及していく。第1回の記事では、懐かしいポケモンや初めて見るポケモンに出会いながら冒険していく楽しさ、演出がド派手に進化しながらも遊びやすいバトルシステムなど、本作のベースとなる部分の面白さに焦点を当てていく。

文 / 村田征二朗(SPB15)


久しぶりの『ポケモン』は驚きの連続

海を越え、世代を超え、ゲームやアニメにマンガ、各種グッズなどジャンルの壁も越えて、ありとあらゆる層から絶大な支持を受けている『ポケモン』シリーズ。第1作目である『ポケットモンスター 赤・緑』(以下、『ポケモン 赤・緑』)の発売からすでに20年以上が経っており、シリーズを追い続けている人もいれば最近になって遊び始めた人、そして子供のころには遊んでいたけどいつの間にかプレイすることは少なくなった、という人もいることでしょう。

筆者も『ポケモン 赤・緑』を遊んで以降はしばらく『ポケモン』シリーズに触れていなかったのですが、いまの『ポケモン』はどんな風になっているのか久しぶりに見てみよう、と今回『ポケモン US・UM』を手に取ってみました。歴代シリーズ作品のことはCMなどで見聞きしていたので、さすがに脳内の『ポケモン』がドット絵のままだったわけではありませんが、それでも本作での進化には驚かされました。

▲ソフトを起動したときのオープニング映像からしてかなり格好良くなっており、20年という時間の長さを感じさせられます(『ポケモン 赤・緑』のオープニングもかなり好きなのですが)

ポケットモンスター、略してポケモンと呼ばれる不思議な生き物が存在する世界でポケモン同士のバトルを行うポケモントレーナーとして冒険し、各地でさまざまなトレーナーたちと戦い、最後にはトレーナーの頂点であるチャンピオンを目指す。これが従来の『ポケモン』シリーズに共通する大まかな流れであり、各地に存在する対戦施設“ポケモンジム”で“ジムリーダー”と呼ばれるトレーナーと戦うのが冒険のアクセントとなっていました。

ところが、『ポケモン US・UM』、およびその前身である『ポケットモンスター サン・ムーン』ではそもそもポケモンジムが存在せず、当然ながらジムリーダーも登場しません。その代わりに、主人公は本作の舞台となる“アローラ地方”の島々を巡り、そこでさまざまな試練に挑んでいき、トレーナーとして成長していくのです。

▲当然、ポケモン同士のバトルも絡んできますが、特定のポケモンを追いかけたりポケモンのダンスで間違い探しをしたりと、試練にはユニークな遊びが用意されています

▲試練の最後には、普通のポケモンよりもはるかに巨大な“ぬし”と呼ばれるポケモンとのバトルもあります。とんでもないサイズだけあって、手ごわさも相当なものです

ほかにも、主人公の髪型や服装などを変更できたり、ロトムというポケモンがポケモンのデータを記録する“ポケモン図鑑”に入り込んだりするなど、久しぶりに『ポケモン』シリーズに触れる身としては驚くことばかりです。

▲ときにはマップを表示し、ときには冒険に役立つロトポンを出すロトム。意思を持ったポケモン図鑑という発想はなかったため、なかなかに衝撃的な設定です

プレイ序盤は初めて目にするシステムが多く、同じ『ポケモン』シリーズでもだいぶ違ったゲーム体験を味わうことができます。過去に『ポケモン』シリーズを遊んでいた人、最後にプレイした作品が古いものであればあるほど驚きは大きく、新たな『ポケモン』の世界に心躍ることでしょう。

過去作から色褪せない面白さの根っこ

『ポケモン』の面白さと言えば、やはり各地に登場するポケモンを集め、育て、バトルを勝ち進んでいくという、出会いと成長の部分です。初めて見るポケモンと出会う新鮮さ、それがどんなポケモンなのかと予想するときのワクワクは、20年以上前に遊んだ子供のころに感じたものと変わることはありません。むしろ、その新鮮さをより多く味わえるぶん、久しぶりに遊ぶ人ほど『ポケモン』シリーズの醍醐味であるポケモンとの出会いを楽しむことができます。

▲これぞ『ポケモン』、というポケモンゲットの瞬間は昔と変わらぬ達成感があります

▲捕まえたポケモンが何段階進化するのかがひと目でわかるようになっているなど、細かなシステム面の進化にも感心させられます

長く続いている作品であれば、新しい作品が出るたびにシステムが進化、変化し、初代作品と最新作とでまったく別のゲームになっている、ということは珍しくありません。しかし、グラフィックが進化し、演出も強化され、さまざまな機能が追加されながらも作品の背骨とも言える部分は変化せず、新鮮なノスタルジアとでも言うべき不思議な体験を提供しているのが『ポケモン』シリーズなのです。

新鮮な要素だらけで、見た目にも最新の技術が使われているのに、遊んでみると懐かしい。この不思議な体験は、『ポケモン』シリーズのゲームデザインがいかに秀逸なものであるかということを改めて実感させてくれます。

▲初めて見るポケモンが進化する際のドキドキはプライスレス。ぜひともネットで調べたりせず、素の状態で遊んでもらいたいところです

また、久しぶりに『ポケモン』を遊ぶプレイヤーを喜ばせてくれるのはゲーム性だけではなく、懐かしいBGMと再会できるという点にも触れなければならないでしょう。戦闘BGMやポケモンが進化する際のBGMなど、随所で流れる音楽のベース部分は『ポケモン 赤・緑』のころから変わっておらず、その懐かしさに悶絶してしまいます。

▲バトル中にカメラがぐりぐり動くという演出に驚きながらも、耳には聞きなじんだメロディが入ってくるという新鮮さと懐かしさのダブルパンチがたまりません

また、シリーズを重ねるごとに新たなポケモンが作中で発見され、かつては151匹だったポケモンも今では800匹以上、本作だけでも400匹以上いて、種類は非常に増えています。筆者もプレイする前は「それだけ膨大な数のポケモンが登場するとなると、見たことのないポケモンばかりが出てくるのでは?」などと思っていたのですが、意外と序盤からなじみのあるポケモンが登場し、初めて出会うポケモンと懐かしいポケモンとのバランスがちょうどよく、純粋に「見たことのないポケモンだ!」とファーストコンタクトを楽しむことができました。

▲草むらからポケモンが飛び出す、躍動感を感じさせるバトル開始時の演出も相まって、新天地でポケモンと遭遇するのが非常に楽しいのです

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