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あの伝説のバトルが池袋の街に甦る!大野拓朗、染谷俊之、矢部昌暉(DISH//)ら新解釈で魅せる『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』

あの伝説のバトルが池袋の街に甦る!大野拓朗、染谷俊之、矢部昌暉(DISH//)ら新解釈で魅せる『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』

12月23日、東京・池袋の東京芸術劇場シアターウエストにて『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』が開幕した。石田衣良の人気小説を原作に、池袋西口公園にたむろする若者たちを中心とした青春群像劇を、初めてミュージカル化して描き出す。前日に囲み取材が行われ、主演の大野拓朗、染谷俊之、矢部昌暉(DISH//)が登壇した。それぞれが語ったコメントと公開ゲネプロの模様から、ステージの見どころを伝える。

取材・文 / 片桐ユウ 写真 / 渡部孝弘

2人はチームのリーダーとしてカッコいい。でも、マコトは熱い心で突っ走るところは負けない!

囲み取材に登壇した3人は、それぞれの衣裳で登場。マコト(真島 誠)を演じる大野拓朗は白いTシャツにチェック柄のシャツというラフなスタイル。京一(尾崎京一)役の矢部昌暉(DISH//)は赤い裏地の黒ロングコート、通称“キング”=タカシ(安藤 崇)役の染谷俊之は真っ青の毛皮のコート姿と華やか。ステージ上では火花を散らし合う関係性だが、共演者同士は和気藹々。カメラマンのリクエストに応じて笑顔で肩を組み、仲の良さをアピールしていた。

左から、矢部昌暉、大野拓朗、染谷俊之

2000年には宮藤官九郎の脚本で連続ドラマ化され、一世を風靡した作品の初舞台化だけに、プレッシャーのほどを訊ねられた3人。

大野は「ドラマのイメージがとても大きいのでよく聞かれますけれど、僕自身としてプレッシャーは特にないです。ミュージカル化なので歌と踊りが入っていて、また別モノになる感覚があります。舞台稽古をして対面式ステージの臨場感も確信できましたので、お客様に観ていただくのが楽しみです!」と笑顔で回答。

染谷も「僕自身、ドラマが大好きですし、池袋も馴染み深い場所です。でも、この舞台は我々ならではの作品に仕上がったと思っているので、プレッシャーというよりは、すごく楽しみです」と、舞台の完成度に自信を覗かせた。

一方、矢部は「僕は舞台経験も少ないので、僕なんかが伝説の作品に出ていいのだろうかと……。プレッシャー、めちゃめちゃあります!」と告白。そんな矢部のコメントに、大野が「よく言うぜー!」とツッコミを入れ、染谷も「ダンスのキレがスゴイ!」と矢部のダンスを絶賛。2人のリアクションに対して矢部が慌てるという展開に、マスコミ陣から笑いが起こっていた。

物語の舞台となる池袋西口公園を訪れたという染谷が「女子高生がゴミ拾いをしていて、その姿にグッときた」と、平和なエピソードを明かしたり、大野が「2人がチームのリーダーとしてカッコいい一方、僕が演じるマコトは何も持っていない。でも、熱い心で突っ走るところは負けないです!」と闘志を燃やしつつ、「タカシと京一にはテーマ曲があって、めちゃくちゃカッコいい。マコトのテーマ曲はないのに!(笑)」と羨ましがる一幕も。大野を中心に、お互いの良いところを褒め合ってコメントする3人の姿から、カンパニーの団結感が伺えた。

ナチュラルなスタンスで応じる大野のマコトは、天性の明るさが光っていた

囲み取材のあと、公開ゲネプロが行われた。開演時間の15分前から、ストリートダンサーによる日替わりダンスバトルが開催される。囲み取材に登壇した3人が「どのチームもレベルが高い!」(大野)、「お客様も参加型だから楽しめると思う」(染谷)、「ここから作品の雰囲気が掴める」(矢部)とコメントしていたとおり、MCの煽りに乗ったダンスバトルが繰り広げられ、劇場を一気に池袋のストリートへと変える。観劇の際は、ぜひともこのダンスバトルから参加して、臨場感を味わって欲しい。

大野拓朗(マコト 役)IWGPオープニングテーマ 歌唱シーン

本編は静かな語りから始まるが、オープニングは男性キャストたちの迫力を活かしたキレのある“SONG&DANCE”だ。対面式ステージで間近な客席スタイルだからこそ追えるフォーメーションの変化が美しい。

ドラマを観ていた世代には「あの『池袋ウエストゲートパーク』を“ミュージカル”で??」と、不思議に思ったファンもいたかもしれないが、この冒頭を観れば「20年前の池袋の喧騒と若者たちの鬱積をこうして表現するのか!」と納得できるだろう。

矢部昌暉(京一 役)バルトーク弦楽四重奏 第四番 ダンス

元・バレエダンサーという設定の京一のダンスシーンも“SONG&DANCE”という枠組みを得たことで、存分に堪能できる。クラシックに乗って優雅に踊る京一を演じる矢部は、インタビューでは「身体が固くて……」と謙遜していたが、しなやかに舞う姿からは自信と色気が滲み出ていた。

キング=タカシを演じる染谷も、堂々たるキングぶり。池袋を牛耳る“キング”としての凄みと、マコトと親友である“タカシ”の持つ柔らかさの両面が同居していた。孤独な佇まいの裏に持つ過去は、静かな楽曲によって語られる。多彩なナンバーもこのステージを見飽きさせない要素のひとつだろう。

大野演じるマコトも、多くのナンバーを歌い上げる。ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』をはじめ、グランドミュージカルで鍛えた歌声が、心情の移ろいに説得力を与えていた。エネルギッシュな周囲に対して、ナチュラルなスタンスで応じる大野のマコトは、天性の明るさが光っていた。

キングが率いる“G-Boys”、京一がリーダーを務める“レッドエンジェルス”は互いに張り合い、その抗争は徐々に激化していく。ほとんどのキャストは、G-Boysとレッドエンジェルスの両メンバーを演じているため、その転換も注目ポイントだ。

染谷俊之(タカシ 役)タカシのテーマ ダンス

マコトは両グループの抗争を追うビデオジャーナリストに煽られ、事件に巻き込まれていく。随所に盛り込まれるダンスナンバー、畳みかけるようなセリフの応酬で、観ている側の体感としてはスピーディーだが、マコトと各人物との関わりは丁寧に描かれるので、どのキャラクターの心情もスムーズに受け取れるだろう。

対面式ステージは、舞台の隅々まで演者の動きを追えることも醍醐味。どのシーンもフラストレーションを感じることなく観られるが、「次は逆側から観てみたい!」という楽しみ方も見つけられるかもしれない。

休憩なし約2時間の上演。池袋の街を俯瞰で見守り、ひとつの結末までを見届けた気持ちになる。

大野拓朗(マコト 役)真島フルーツ店 マサとの会話

観終えたあと、『ロミオ&ジュリエット』や、それを基盤とした『ウエスト・サイド・ストーリー』を彷彿とさせる対立構造と、そのもっと奥深くにある“世界への憎しみ”、その輪に飲み込まれない主人公が訴えるもの……壮大なテーマに想いを馳せる人もいれば、20年前の“草食系”という言葉もなかった頃の男子たちが持っていた“ギラギラ”感と、何となく寂しい背中の匂いを懐かしく思い出す人もいるかもしれない。

劇場を出たとき、そこが“現代の池袋”であることを少し不思議な感覚で感じられる、観劇後まで“臨場感”を残してくれる作品だ。

脚本・作詞を務める柴 幸男(ままごと)、演出・美術の杉原邦生(KUNIO)、振付の北尾 亘(Baobab)。若きクリエイターたちの勢いも伝わってくる『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』。東京芸術劇場シアターウエスト(12月23日~1月14日)で上演されたあと、兵庫県立芸術文化センター(1月19日~1月21日)でも上演される。

「池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE」

【東京公演】2017年12月23日(土・祝)~2018年1月14日(日)東京芸術劇場シアターウエスト
【兵庫公演】2018年1月19日(金)〜1月21日(日)兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール

原作:石田衣良(『池袋ウエストゲートパーク』文春文庫刊)
脚本・作詞:柴 幸男
演出・美術:杉原邦生
振付:北尾 亘

出演:
真島 誠 役:大野拓朗
尾崎京一 役:矢部昌暉(DISH//)
マサ 役:塩田康平
ヒロト/カニザワ 役:海老澤健次
磯貝/ヒロミ 役:大音智海
サル 役:尾関 陸
サトウ/マカオ 役:加藤真央
ノジマ/トリオ 役:小島ことり
マサオカ/セイヤ 役:笹岡征矢
タケハシ/ショウイチ 役:高橋駿一
峰岸 茂/ダイキチ 役:富田大樹
ホリカワ/ユウジ 役:細川 優
ミツヤ/リュウ 役:三井理陽
峰岸 薫 役:伊東佑華、徳永純子(Wキャスト)
横山礼一郎 役:田中佑弥
安藤 崇 役:染谷俊之

オフィシャルサイト

関連書籍 小説『池袋ウエストゲートパーク』

小説『池袋ウエストゲートパーク』

著者:石田衣良
出版社:文藝春秋