モリコメンド 一本釣り  vol. 46

Column

もう一度推しておきたい! “超・極私的ブライテストホープ” 。CHAIほか3アーティストをピックアップ

もう一度推しておきたい! “超・極私的ブライテストホープ” 。CHAIほか3アーティストをピックアップ

2017年2月に始まった「モリコメンド一本釣り」は、私、音楽ライターの森朋之が“いまチェックすべき! 聴くべき! ライブに行くべき!”と思うニューカマーを毎週一組リコメンドする連載。気が付けば既に45組を紹介しているわけだが、ネタに困ることはまったくなく“すごいな、ヤバイな”というバンドやシンガーソングライターが次から次に登場して、むしろ“次はどのアーティストを紹介しよう?”と悩んでしまうほど。つまり現在の日本の音楽シーンには新しい才能がどんどん出現しているのだ、本当に。

2017年最後の「モリコメンド一本釣り」は、これまでの連載のなかから「この人たちをもう一度推しておきたい!」というアーティストをピックアップする、名付けて“超・極私的ブライテストホープ”。ここで紹介した人たちが2018年、さらなる飛躍を遂げることを心から願う。

2017年を象徴するニューカマーといえば、やっぱりCHAI。この連載で彼女たちを紹介したのは5月なのだが、その後、FUJI ROCK FESTIVAL“ROOKIE A GO-GO”をはじめとする大型フェスに続々と出演、10月25日には1stフルアルバム「PINK」をリリースし、シュアな耳を持つ音楽ファンはもちろん、岸田繁(くるり)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、藤原ヒロシ、松尾レミ(GLIM SPANKY)などのトップアーティストがこぞって絶賛し、まったく新しい価値観を掲げたこのバンドの存在感はさらに強くクローズアップされている。

海外のインディーロック、ニューウェイブ、エレクトロをはじめ、ロックンロール、サイケ、フォークなどのルーツミュージックを内容した自由度高すぎのバンドサウンド、ビビッドな色使いを駆使したビジュアル/アートワークもすごいインパクトだが、CHAIがここまで急激に注目を集めている最大の要因はやはり、“コンプレックスはアートだ”というメッセージだ。当たり前の話だが、人は誰でも何らかのコンプレックスを抱えている。顏、体型、性別、性格、仕事、収入、学歴、国籍——劣等感の理由になるようなものは、探せばいくらでも見つかるはずだ。ただ、そのことを気にして消極的になるか、“すべては自分の個性なんだ”と受け入れて活かすによって、その人の在り方はとんでもなく変わる。“コンプレックスはアートだ”というCHAIのコンセプト、そして、それを体現しまくる彼女たちの姿は同世代の女子を中心に大きな共感を得ているのだ。“カワイイ”という価値観をコペルニクス的に展開させるCHAIの存在はここから、音楽シーンという枠を超え、新世代カルチャーの中心を担っていくことになるだろう。ちなみにCHAIを世に送り出した「次世代ロック研究開発室」には、ハンブレッダーズ、The Songbardsといった尖った才能を持ったバンドも在籍。こちらも要チェックだ。

CHAI以外にも“もっともっと推したいアーティスト”は数多く存在している。まずはBRIAN SHINSEKAI。80’sエレクトロを現代的なポップミュージックへとアップデートさせたサウンド、楽曲同士が結びつき、壮大なストーリーへとつながっていく物語性は、1回興味を持つと抜け出せないような中毒性を備えている。2018年1月24日リリースされる1stフルアルバム「Entrée」はBRIAN SHINSEKAIの最初の集大成であり、このアーティストの全貌が明かされる作品となるだろう。個人的には彼のボーカルの中音域に強く惹かれる。甲高い声の男性ボーカリストが活躍している現在のシーンにおいて、大人のセクシーさを表現できるBRIAN SHINSEKAIの歌声はきわめて貴重だ。

3ピースガールズバンドThe Wisely Brothersにも大いに期待したい。11月17日に渋谷WWWで行われたワンマンライブ『The Letter 7inchアナログ発売企画「Letter Of Mountains」』でも彼女たちは、こちらの想像を超えるような成長ぶりを見せ付けていた。演奏自体が大きく向上(特にドラマーの渡辺朱音のプレイはめちゃくちゃタイトになってました。びっくり)、海外のインディーポップ、オルタナなどの影響を感じさせる楽曲の魅力をさらにダイレクトに表現していたのだ。2018年2月21日にリリースされる1stフルアルバムとともにメジャーデビューも決定。彼女たちもバンドシーンの流れを変える可能性を持っていると思う。

シンガーソングライターでは、カネコアヤノを推したい。日常的な風景、そのなかで生まれる“特別ではないけど、かけがえなのない”感情を丁寧に掬い取るような楽曲、そして、素朴な優しさと凛とした強さが同時に感じられるようなボーカルからは、既に確かなオリジナリティ(つまり他に替えが効かない)を確立している。9月に発売した1st LP「群れたち」は完売、2018年に1月に行われるライブもソールドアウトとなるなど、音楽ファンからも支持も確実に高まっているようだ。
 
音楽性、活動のスタイル、アートワークやビジュアルなどを含めて、既存のフォーマットや価値観に縛られないアーティストが次々と登場している。ここで紹介したアーティストたちの本格的なブレイクを願いつつ、未知なる才能との出会いにも期待したい。

文 / 森朋之

CHAI オフィシャルサイトhttp://chai-band.com


BRIAN SHINSEKAIオフィシャルサイトhttp://www.jvcmusic.co.jp/brianshinsekai/


The Wisely Brothersオフィシャルサイトhttp://wiselybrothers.com


カネコアヤノオフィシャルサイトhttp://kanekoayano.net

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