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舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り 丸ごとレビュー。出陣した《小田原征伐》の時代に彼らを待ち受けていた戦いとは──

舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り 丸ごとレビュー。出陣した《小田原征伐》の時代に彼らを待ち受けていた戦いとは──

舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語りが、大好評の内に幕を閉じた。PCブラウザ&スマホアプリゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」(DMM GAMES/Nitroplus)を原案として、末満健一が脚本・演出を務める舞台シリーズ。今回で5作目(再演、小田原城特別公演を含める)となり、第一幕は「序伝 跛行する行軍」、第二幕は「如伝 黒田節親子盃」と、今までにはない新しいカタチで上演された。本公演のゲネプロレポートを、初日前日の夜に行われた囲み取材のコメントを交えてお届けする。

取材・文・撮影(会見) / 片桐ユウ

山姥切国広にとって最初に近侍を務めていた頃の苦い思い出

12月15日~17日TOKYO DOME CITY HALL、12月21日~24日大阪メルパルクホール、12月28日~29日福岡サンパレス ホテル&ホールにて上演され、千穐楽公演は日本全国158館、そして香港と台湾の一部映画館にて生中継ライブビューイング上映された人気舞台作品。

原案ゲームの「名立たる刀剣が“刀剣男士”と呼ばれる男士となって歴史上の戦場を駆け巡る」「刀剣を刀剣男士として顕現させた審神者(さにわ)は、彼らの主として部隊を編成・育成していく」という世界観を、末満健一ならではの解釈で描き出している。

最新作は、舞台『刀剣乱舞』の第一弾公演「虚伝 燃ゆる本能寺」(2016年5月に上演。同年12月に再演)でも言及されていた、山姥切国広(荒牧慶彦)が“近侍”を務めていた頃の物語だ。

初演の冒頭で、近侍の座が三日月宗近(鈴木拡樹)から山姥切国広に再び渡っていたが、その際の様子から、山姥切国広にとって最初に近侍を務めていた頃は苦い思い出となっていることが伺えており、今作で初めてその詳細が明かされることになった。

予想外の事態。隊の統率は徐々に乱れていく

第一幕「序伝 跛行する行軍」は、山姥切国広率いる第一部隊が、主の命により《小田原征伐》の時代を訪れたところから始まる。まだ三日月宗近が顕現する前、本丸ができて間もない頃だ。そこは時間遡行軍の歴史改変対象となる通常の出陣先ではなかったが、今後、改変対象となり得る時代かどうかを調査するために、山姥切国広たちは遣わされたのだった。

出陣したのは、山姥切国広、へし切長谷部(和田雅成)、小夜左文字(納谷健)、骨喰藤四郎(北川尚弥)、同田貫正国(武子直輝)、山伏国広(横山真史)の六振り。山姥切国広とへし切長谷部、小夜左文字は初演から登場していた三振り。骨喰藤四郎、同田貫正国、山伏国広は小田原城での一夜限りの特別公演となった「外伝 此の夜らの小田原」(11月23日に上演)にて、その姿がお披露目されたばかりの刀剣男士だ。

オープニングは、新曲に合わせてその六振りの刀剣男士が殺陣を披露しながら、歌い舞う。作曲・manzoと作詞・テルジヨシザワが担当する音楽は、テンポ良く世界観に馴染んでいる。

第一部隊は、いるはずのない時間遡行軍の奇襲に遭う。負傷した骨喰藤四郎を連れて、うち捨てられた猟師小屋へと身を寄せるが、出陣経験が浅い彼らは、予想外の事態に戸惑いを隠せない。特に隊長を務める山姥切国広は、写しという自分の出自を気にしており、そのコンプレックスもあってか自分の采配に自信を持てない。山姥切国広の兄弟刀である山伏国広はフォローに回るのだが、同田貫正国は苛立ち、隊の統率は徐々に乱れていく。

激しさを持ってぶつかり合う姿が新鮮

初演・再演の「虚伝 燃ゆる本能寺」では、顕現したばかりの不動行光(椎名鯛造)が本丸をかき回す立場だったが、基本的には刀剣男士たちの関係性は穏やかに見えた。今回の「ジョ伝」では、お互いがまだ馴染みきれておらず、ぶつかり合う姿が新鮮に感じられた。

囲み取材で、小夜左文字を演じる納谷健が「皆がまだ初々しい頃のお話になります」と語ったとおり、初々しく荒削りの模様が伺える。

また、我を主張する山姥切国広の姿も新しく、山伏国広を演じる横山真史が「自分がいることによって、山姥切国広の新たな一面が見られると思う」と話していたシーンは印象的だ。

山姥切国広を演じる荒牧慶彦も「今までは織田家や伊達家、細川家に縁のある刀剣たちという括りがありましたが、僕と三日月だけはその枠組に入っていませんでした。それが今回、兄弟刀がいるので本当に嬉しい。関係性に注目して欲しいです」とコメントしており、その絆を確かに受け取っていたからこその、衝撃を受けるシーンも待ち構えている。

己の弱さを自覚し、悔しさを滲ませながら戦いに背を向ける

一時身を隠した小屋から見廻りに出て、小田原征伐に参陣していた黒田長政(伊阪達也)、その家臣・母里友信(松川真也)、そして黒田官兵衛(山浦徹)とも遭遇してしまった山姥切国広・山伏国広・同田貫正国の三振りは、その後、黒田の陣へと連れて行かれる。一方、へし切長谷部・小夜左文字・骨喰藤四郎は、山中で目撃した時間遡行軍のあとを追跡していたが、辿り着いたのは、同じ黒田の陣であった。

官兵衛の行動の謎、時間遡行軍の強さに混乱しながらも必死に戦う刀剣男士だが、顕現したばかりの彼らの力は弱く、撤退することになる。敗北を前にして己の弱さを自覚し、悔しさを全面に滲ませながら戦いに背を向ける様が哀しい。

しかしその際、不可思議なことが起こる。それまでにも奇妙な出来事やリアクションは幾度か起こっており、第二幕でそれらの謎が明らかになっていく。

第一幕で起こった謎が次々と符合していく

第二幕「如伝 黒田節親子盃」は、本丸ができて幾年月が立ち、数々の戦いを経て強く成長した刀剣男士たちの様子が語られるところから始まる。

「義伝 暁の独眼竜」(2017年6~7月に上演)のラストで描かれた、小夜左文字が修行目的で本丸から旅立った様子も描かれるが、日本号(成松慶彦)、博多藤四郎(木津つばさ)、ソハヤノツルキ(飯山裕太)といった、新しい仲間たちが顕現している。

へし切長谷部の口上と、新たに登場した刀剣男士による力強い第二幕のオープニングからは、この本丸の刀剣男士たちが再びの決意を持って戦いに向かおうとする姿勢がヒシヒシと伝わってきた。

過去の敗戦から遡行経路の封鎖されていた《小田原征伐》に、改めて出陣することになる第一部隊。静かに当時の想いを吐露するへし切長谷部と山姥切国広の口調は、第一幕のときとは違って落ち着いており、時の流れと成長を感じさせる。

一挙手一投足、すべてに意味が込められていた

再び向かった《小田原征伐》の地で、謎の忍びによる襲撃を受けた刀剣男士たちは、黒田長政と母里に遭遇。そこで長政の口から驚くべき事実を聞かされることとなり、ここから第一幕で起こった謎が次々と符合していく。囲み取材の際、荒牧慶彦が「このストーリーは凝った物語となっています。僕らの一挙手一投足、そして舞台上の演出やそれらすべてに意味が込められています」と語った理由が明らかに。

と同時に、かつて黒田長政に所有されていたへし切長谷部を演じる和田雅成が「へし切長谷部にとってすごく大きな存在である黒田長政様との関係を見ていただけたらと思います」と、つねに長政に“様”を付けていたわけも納得のいく場面が展開。織田信長に所有されていた頃のへし切長谷部の複雑な心情は「虚伝 燃ゆる本能寺」で描かれていたが、今回は黒田家に所有されていた刀剣としての想いがある。

また歴史上の人物も、黒田官兵衛を主軸に置いたからこそ可能となった衝撃の展開が斬新。タイトルにある“三つら星”の意味を官兵衛が語るシーンが胸に迫る。舞台『刀剣乱舞』の世界観だからこその展開が広がった。

“過去を乗り越えるための戦い”に挑んでいく

囲み取材にて、同田貫正国役の武子直輝やソハヤノツルキ役の飯山裕太、日本号役の成松慶彦が口々に語った「殺陣の迫力、個性」、骨喰藤四郎役の北川尚弥と博多藤四郎役の木津つばさが見どころとして挙げた「キャラクターの性格」もそれぞれ際立っており、動きひとつに至るまで、その刀剣男士として徹底している彼らの美学にも感嘆できる。

刀剣男士たちは、ラストに向かって様々な因縁を含めて“過去を乗り越えるための戦い”に挑んでいくことになる。彼らの成長物語としてはもちろん、謎が明らかになり繋がっていく爽快感、歴史モノとしての重厚感も感じられる、見どころ満載の舞台だ。シリーズの行く末もますます気になる。

公演映像を収録したBlu-ray&DVDは、2018年4月4日にリリース予定。

舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り

【東京】2017年12月15日(金)〜12月17日(日)TOKYO DOME CITY HALL
【大阪】2017年12月21日(木)〜12月24日(日)大阪ペルパルクホール
【埼玉】2017年12月19日(火)〜12月20日(水)さいたまスーパーアリーナ
【福岡】2017年12月28日(木)〜12月29日(金)福岡サンパレスホール&ホール

原案 「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
脚本・演出:末満健一

出演:
山姥切国広 役:荒牧慶彦
へし切長谷部 役:和田雅成
小夜左文字 役:納谷健
骨喰藤四郎 役:北川尚弥
同田貫正国 役:武子直輝
山伏国広 役:横山真史
日本号 役:成松慶彦
博多藤四郎 役:木津つばさ
ソハヤノツルキ 役:飯山裕太


黒田官兵衛 役:山浦徹
黒田長政 役:井阪達也
豊臣秀吉 役:川下大洋
弥助 役:日南田顕久
母里友信 役:松川真也

ほか

主催:マーベラス / ニトロプラス / 東宝 / DMM.com
©舞台『刀剣乱舞』製作委員会

舞台『刀剣乱舞』オフィシャルサイト

舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り Blu-ray&DVDリリース!

2018年4月4日発売
【価格】Blu-ray:11,800円(税別) DVD:10,800円(税別)
【発売元】マーベラス
【販売元】東宝

詳細はこちら

舞台『刀剣乱舞』新作公演決定!

2018年6月〜7月 東京・京都・福岡・東京凱旋 上演
原案 「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
脚本・演出:末満健一
出演:三日月宗近 役:鈴木拡樹 ほか