Interview

【インタビュー】林原めぐみ、“奇跡”となった1stライブを語る─「〈考えること〉が大切なんだよって伝えたかった」

【インタビュー】林原めぐみ、“奇跡”となった1stライブを語る─「〈考えること〉が大切なんだよって伝えたかった」

きっとファンの誰もが予想すらしていなかった林原めぐみの1st Live開催。その報せは瞬く間にさまざまなWEBニュースのトップを飾り、アニメ・声優ファンは口々にその奇跡と彼女の功績を熱く語り合い、ライブ・チケットは発売前からプラチナチケットになることが約束された。そして2017年6月11日、林原めぐみ「1st LIVE—あなたに会いに来て—」開催。その内容は語り草となるような、驚くべき演出が盛り込まれたライブだった。その模様を完全パッケージしたライブ映像作品がついに発売。林原めぐみに、ライブ当日の心境と共に、ライブに込めた思いなどを語ってもらった。

取材・文 / 冨田明宏

他人事のように「“林原めぐみ”さんってすごいなぁ!」って思います(笑)

僕もライブ当日は中野サンプラザで体感させていただきましたが、林原さんご自身はあの日のことをどのように振り返っていらっしゃいますか?

林原めぐみ 「遠いなぁ……」という感じなんですよ。まだ半年くらいしか経っていないのに、5~6年前の出来事みたいで。それと同時に「あそこに立っていたのは、“林原めぐみさん”という人だったんだなぁ」って(苦笑)。ライブ当日は現在進行形の私であって、分離した存在ではなかったんだけど、今はもうまるで私じゃないみたい……例えて言うなら、『スレイヤーズ』のリナ=インバースと私の関係性みたいな、パッケージングされた時点で完全分離した存在としての“林原めぐみ”というキャラクターになってしまったという感じで、今はまるで私じゃないみたい。だって他人事のように「“林原めぐみ”さん、すごいなぁ!」って思いますもん(一同笑)。自分で自分を褒めることなんてしたことほとんどないのに、素直に「すごい!」と思えるくらい、もうこの映像作品の中にいる私はもう遠い存在なんです。だってライブの前日は子どもの学校行事に参加して、さらにはご飯作って、普通~に、普通すぎるくらい普通に、家を出ている。よくやってますよね(苦笑)。

そんな素直に“すごい”こと、つまり『魔法のプリンセス ミンキーモモ』や『セイバーマリオネット J』『万能文化猫娘』『シャーマンキング』『昭和落語心中』など、林原さんがキャラクターを演じられてきたさまざまな作品にちなんだCDドラマ的な幕間劇を挟みながら、それぞれの世界観を衣装、舞台演出も含めて見せていくという情報量の多くなる構成を選択したのは、なぜだったのでしょうか?

林原 エンターテインメント性ってことだけを考えていたら、ああいうライブにはならなかったかもしれないね。もっとわかりやすく“ヒットソングメドレー”みたいなライブをやっていたと思います。「ライブのテーマは“不親切”です」と言っていましたけど、このご時世「金返せ!」と言われかねないじゃないですか(笑)。私はライブの中で一切作品名もキャラクターの名前も言っていないし、すごく“不親切”な、知らない人を置いてけぼりにするようなライブでしたけど、私のファンのみんなは“不親切”であることが裏を返して“親切”であり“信頼”であるということを理解してくれるだろうという自負はあったかも…。培ってきた信頼?というべきかな…。ラジオ1300回越えのおかげだと思う。

〈考えること〉が大切なんだよって伝えたかったんです

僕もライブを観ていて、最後の林原さんのナレーションで気が付きました。「あ、作品名もキャラ名も一切言ってなかった」って。でもすごく伝わるライブでしたよ。

林原 あのCDドラマ風な掛け合いも、昭和的で懐かしかったと思うな(笑)。昔私が演じてきたキャラクターや作品のことを知らない若世代の子たちも、脳みそフル活用して考えながら楽しんでくれていたみたいで、そういう〈考えること〉がステキなんだよって伝えたかったんですよ。人間にとって、脳を自由に活用することこそ素晴らしいと思うの。求める前に情報を与えられてしまい、「探す」ことはいくつか既に存在する情報から「選ぶ」ことにとって代わってきている。本気で探すと選ぶは根本的に違うからね。私のライブを観て何を思ったのか、何を掴んだのか、そして何を持ち帰ったのか、選ぶんじゃなくて、1人1人、違う感じ方で良くて、ソコを味わって欲しかった。そして見えてきた、あなたにしか見えない景色。同じ番組を見ていても、同じ曲を聴いても、みんな違う感じ方。正解なんてどこにもなくて、オンリーワンな景色の体感。だからこそ、「—あなたに会いに来て—」というサブタイトルをつけましたけど、来てくれたみんなはどんな自分と出会えたのか、それにかけてみました。……なんて、20代のころからファンのみんなに「説教臭い」と言われてきましたけど(一同笑)、つまりはそういうライブでしたね。“不親切さ”と“説教臭さ”の究極の形です(笑)。林原めぐみにとっては、ライブってそういうものだったんでしょうね。

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