es執筆陣が独断で選ぶ2017年 BEST MUSIC  vol. 2

Column

心に深く刻まれたライブ3選

心に深く刻まれたライブ3選

2017年も、野外フェスからクラブイベントまで、ドームから路上まで、計112本のライブ現場に行きました。その中から心に深く刻まれた3本を、個人的感慨たっぷりにご紹介します。

文 / 鳴田麻未

YUKI concert tour“Blink Blink”2017
7月23日@北海道・函館アリーナ

ツアーファイナルが故郷函館なんてそりゃ良いに違いない、とスケジュールが発表された段階でチケットを取りましたが、その後発売されたアルバム『まばたき』が、思っていた以上に“故郷”要素が多く出てくるというか、YUKIの精神的ルーツに回帰している作品だったので、これは函館で見る意味がすごくあるなと楽しみにしていました。

改めて『まばたき』は傑作だと思います。大人になっても、思春期のような激しさや反骨精神やときめきが、メキメキと生まれ得るんだと教えてくれました。「暴れたがっている」からライブが始まる瞬間を何度も何度も想像しては興奮を抑えられず、さながら私もYUKIのように、いち音楽ファンとして初期衝動のようなものに立ち返った気がしました。

YUKIが函館でライブをするのは約12年ぶりで、客席には同郷の盟友・GLAYのTERUとTAKUROの姿もありました。彼女は「ただいま、函館!」「なまらやばいね」「函館が生んだスーパースター、YUKIです!」と故郷に帰ってきた喜びを爆発させつつ、出し惜しみのないキレッキレのパフォーマンスで観客を魅了。内容はソロデビュー15周年のお祭りも兼ねていて、『まばたき』収録曲とこれまでのヒットシングルを織り交ぜていました。YUKIはライブでの爆発力というか求心力が凄まじく、「プリズム」も「2人のストーリー」もリリース当時を上回るほどのハリと伸びやかな歌声でした。驚異的な45歳です。

函館で育った10代を回顧して「全然うまく生きられなかった。今もここにいた頃と全然変わってない。函館が私を育ててくれたなと思う」と涙を見せたYUKI。このあたりは(上野三樹さんの書かれたライブレポート)が素晴らしく、事実も自分の感じたこともすべて代弁していただいた気がします。終盤、「さよならバイスタンダー」「鳴いてる怪獣」「WAGON」でこれでもかというほどジャンプして楽しくて嬉しくて泣いていました。ラストの「トワイライト」でピンクと銀のテープが宙を舞ったときは、涙のせいでもはや視界が全部キラキラしていて。この光景は一生忘れたくないと思いました。「サンキュー函館! お父さんお母さんあたしを生んでくれてありがとう!」カッコよすぎるよ、YUKI。

YUKIの作品を聴いてみる

namie amuro 25th ANNIVERSARY LIVE in OKINAWA
9月17日@沖縄・宜野湾海浜公園特設ステージ

デビュー25周年を記念して、デビュー日の9月16日と翌日17日に開催された特別ライブ。20周年の際、同日程、同会場でのアニバーサリーライブが台風で中止となったため、そのリベンジでもありました。私は“沖縄で歌う安室ちゃんを見る”ことが長年の夢で、5年前に悔しい思いをしたファンの1人なので、無事開催できたこと自体、参加できたこと自体に感慨がありました(今回も直前に台風が接近して危ぶまれました)。そんな嬉しさに加えて、ライブは「TRY ME~私を信じて~」から始まり、ブレイク前の「ハートに火をつけて」「太陽のSEASON」も、SUPER MONKEY’S時代の「ミスターU.S.A.」「愛してマスカット」「PARADISE TRAIN」も、故郷でこそ聴きたい曲のオンパレード。

後の本人インタビューで、このライブの裏テーマは“一人夏フェス”だったと判明しました。「ユーロビート」「新人」「小室哲哉プロデュース」「(今の)安室奈美恵」という4組のアーティストを仮想してセットリストを組んだそうです。正直、TKプロデュース期の曲を立て続けにやったり、ユーロビート曲を固めたりするのは、20周年のドームツアーもそうだったのでさほど驚きはなく、幻となった20周年の沖縄ライブの振替公演を今見ているんだな、という感覚でした。映像演出も「namie amuro 5大ドーム TOUR 2012 〜20th Anniversary Best〜」がリフレインする場面が多数。ただ、20周年から25周年の間に、「Just You and I」や「Hero」という名曲が彼女のディスコグラフィーに加わったことは大きいと思いました。沖縄で「NEVER END」を合唱するのは言わずもがな感動でしたが、アンコールラストの「Hero」はそれ以上に圧巻。沖縄で単独アーティストの公演で計5万2000人を動員した例は過去にありません。だだっ広い公園にオールスタンディングでこの人数を集め、視線と想いを一心に浴びながら「君だけのためのhero」と歌い上げて熱狂させる様子に、やはり安室奈美恵は沖縄が生んだ一番のスターだと痛感しました。

過度な演出も入れず、歌、ダンス、そして安室奈美恵の存在感だけで魅せる、非常にシンプルなライブでした。20周年のときから引退を考えていた彼女にとって、大規模な凱旋ライブは引退にあたって外せないピースだったのでしょう。晴れやかな顔で故郷に錦を飾り、ピースを揃い終えた上で引退を発表した彼女に、畏敬の念しかありません。

安室奈美恵の作品を聴いてみる

ライブ情報

補足情報を見る
2018年2月からはソロアーティスト史上最多動員数となる国内5大ドームツアー「namie amuro Final Tour 2018~Finally~」とアジアツアー「namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~ in Asia」が開催される

V6 LIVE TOUR 2017 The ONES
10月22日@静岡・エコパアリーナ

4年半ぶりのオリジナルアルバム『The ONES』を携えて全国7都市を巡ったツアー。『The ONES』とは“個と個がいくつも合わさった集合体”という意味で、それはすなわち、個人個人で魅力を持ちつつグループとして結集するとさらなる力が生まれるという、V6のアーティスト性を表す言葉でもあります。ツアーでは『The ONES』収録曲を全曲披露しました。そもそもアルバム全曲のMVが制作されていて、アルバムリリース時点で曲々の世界観は可視化されていたのですが、ライブステージではMVの演出に則った曲もあり、3次元ならではの新たな見せ方を提示した曲もあり。やはり演出面で気合いが入っていたのは各メンバーがプロデュースしたアルバム新録曲。セット上空から火花を降らせた坂本昌行プロデュースの「Answer」、ガラスケースに入った宝石のように照明装置の中で静止する6人が美しい岡田准一プロデュースの「刹那的Night」など、V6の表現力に魅せられる場面が多々ありました。

28曲中22曲がライブ初披露、というとファン向けの内容を想像してしまいますが、そこはジャニーズ×エイベックスのエンタテインメント性あふれるステージ経験豊富な彼ら。照明、映像、特効、メインとセンターとバックの3ステージ、花道、トロッコ……ありとあらゆる手段を使って観客を楽しませ、また自分たちも思いっきり楽しもうという温かいコミュニケーションに満ちた空間を作り上げていました。最終公演では、映像やレーザー演出の所々に「FINAL」の文字が入ったり、終盤に大きな「お疲れ様でした」の垂れ幕がかかったり、ファンのみならずスタッフのV6愛もにじみ出ていて、思いやりでできていると言うにふさわしいコンサートでした。

V6のコンサートに入ると、歌と踊りと喋りのクオリティが、衰えるどころか磨きがかかっていっていることに驚くはずです。平均年齢40.8歳、最年長の坂本さんは46歳、二番目の長野博さんは45歳。この年齢でここまで歌って踊るコンサートをしているグループはほかに見当たらず、改めて考えると前人未到のすごいパフォーマンスを目の当たりにしていたのです。積み重ねてきた努力と経験と絆があってこそ、今のV6のステージ(MC含む)が成り立っていることは麻痺せず忘れたくないなと思っています。

vol.1
vol.2
vol.3