es執筆陣が独断で選ぶ2017年 BEST MUSIC  vol. 7

Column

個人的衝撃度の高かったライブ3本

個人的衝撃度の高かったライブ3本

『個人的衝撃度の高かったライブ3本』ということで、完全に自分目線でインパクトの大きかったライブをピックアップしたいと思います。

文 / 土屋恵介

TAEMIN THE 1st STAGE NIPPON BUDOKAN
7月1日@日本武道館

まずは、7月1日(2日)に東京・日本武道館で行われたSHINeeの末っ子、テミンの初ソロステージ「TAEMIN THE 1st STAGE NIPPON BUDOKAN」。もともとテミンは、ずば抜けたダンススキルの持ち主で、どちらかと言えばダンス面でスポットが当たることが多かったメンバー。だが、活動を続けて行く中でボーカル面もぐんぐん成長。数年前からソロ活動を行うようになり、ついに武道館でワンマンステージを行うこととなった。そしたら、このライブがパーフェクトなまでの完成度だったのだ。演出を担当したのは、ワールドワイドに活躍するコレオグラファーの仲宗根梨乃。八角形の360度ステージを存分に活かし、テミンの今持っているポテンシャルが全開と言った感じだった。ピストルを使ってバッチリなポージングを決めるオープニングから気合いの入りまくり。ダンスチューンでハードに攻め立て男っぽさをアピールしたかと思えば、ミディアムチューンやバラードでしなやかな中性的な魅力を発揮したりと、曲ごとの世界観をしっかりとパフォーマンスするテミン。それはまるで、1曲1曲リアルタイムでMVを見ているかのような感覚になってしまった。ライブでありながら舞台やミュージカルに近いもの…と言うとこれまでにもやってるアーティストはいるが、それがもっと研ぎ澄まされたエンタテイメントショーとして確立されていたのだ。これは、テミンの歌とダンスの表現力の高さがなければできないもの。

印象的な楽曲を挙げならば「DOOR」。ステージ上で無数のロープに繋がれたテミンが、拘束から解き放たれて行くパフォーマンスは目を見張るものがあった。そして、切ない感情を爆発させるように歌う「さよならひとり」。花びらが吹き荒れる中のパフォーマンスは、まさに圧巻。全体を通じて、オリエンタルなムードや耽美的な艶やかさ、ライブ感もありながらどこか映像的な美しさを感じられた。そうしたライブは、これまでに味わったことがない衝撃的なものでした。

SHINee関連で言えば、触れなければならないのがジョンヒョンの悲報。非常に残念な出来事には驚きと悲しさしかない。彼らが9月に行った東京ドーム公演は、オンユが参加できなかったもののとても素晴らしいライブだった。5人でのステージは叶わないものとなってしまったが、SHINeeにはこれからも最高の音楽とパフォーマンスを届けて欲しいと切に願います。改めて、ジョンヒョン R.I.P。

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FUJI ROCK FESTIVAL ’17
7月30日@新潟県湯沢町苗場スキー場

さて、次にピックアップするのは、7月30日の「フジロック」3日目。ここからまた超個人的な話に突入。なぜ3日目なのか? それは、単にこの日に行ったからというだけなのです。たまたま知人と前日というか30日当日の0時頃にラインしてる中で、Corneliusと小沢健二が出演した「フジロック」の話題になり、“「フジロック」明日もありますよ。行きませんか?”“え?じゃあ行っちゃおうかな”というほんとノリだけで行ってしまったのです。大抵どんなフェスやイベントでも、このアーティスト、バンドが見たいというのがあって行くことが多かった。だが、誰々が見たい的な目当てなし。「フジロック」に行くこと自体が目的だった。そういう楽しみ方で「フジロック」行くのは初めてだったのだ。さらになぜ、今さら「フジロック」を語るのか?というのは、自分が久々に行ったからです。思い出してみたら、マイ・ブラディ・ヴァレンタインが復活したときの2008年以来、9年ぶりの「フジロック」参戦でした。そうしたいろんな思い入り混じって、「フジロック」がセカンドカミング的にすごく新鮮なものとして映ったのです。

当日、会場は雨がときどきパラパラ降る程度の天候。それくれいなら全くの許容範囲である。雨、ドロ対策もわかっているのでノー問題。ほぼほぼノーストレスな状態で会場を歩いたら、それだけでいろんな思いがクロスしていったのだ。そのとき頭に浮かんだことを列挙していく。

自分が「フジロック」を一番感じる場所が、グリーンステージからホワイトステージに行く川の橋のところ。あそこを通ると、“あ〜、「フジロック」だ”と思ってしまう。林の中のボードウォークを歩いてるときの、遠くの音漏れ、樹々にぶつかる残響音がたまらなく心地いい。石窯で焼いたピザも美味い。この感覚を久しぶりに味わえた。全然音楽の話に触れていないが、フェスなのでベースに音楽があるのは当然のこと。通すがりでレキシ見れたとか、ちょっと贅沢な楽しみ方と言ったほうがいい。ビョークの鋭く突き刺すような透明感、そしてメジャーレイザーの怒涛のパーティっぷり。地響きのようなロウのビートを全身で浴びるたまらない感覚。夜中のGAN-BAN NIGHTの石野卓球の百戦錬磨感。レッドマーキーの締めのYOUR SONG IS GOODの気持ちよさ。で、朝の山のきれいさを見てフィニッシュ。まさにワンデイトリップ感を存分に味わえた。改めて気づけたのは、場所、イベントの持つ空気感は全く変わることなく、ただそこにいるバンドやお客さんは変化してるということ。このイベントが続いていること自体が素晴らしい。これだけの規模のイベントを21年も続けてもらってることに素で感謝など、いろいろと再発見できた夏の1日でした。

アップアップガールズ(仮)ライブハウスツアー KA-Re:START
11月5日@渋谷クラブクアトロ

そして3つめは、アップアップガールズ(仮)が11月5日に渋谷クラブクアトロで行ったワンマンライブツアー「アップアップガールズ(仮)ライブハウスツアー KA-Re:START」の初日。アプガはもともと7人組で、9月にメンバー2人が卒業となり、この日が5人体制での初のビッグマッチだった。アイドルグループというと卒業や加入がつきものだが、彼女たちは2011年の結成以来ずっと同じ7人で活動してきたので、今回がグループにとって初めての激変のタイミングだった。

アプガは、アスリート系アイドルと言われており、運動量とスタミナが勝負の熱量たっぷりなライブが特徴。グループの一番の武器が、メンバーが減ることによって削がれてしまうことが最も怖いことだし、もしそうなってしまったらグループ存在の意味が根底から覆されてしまいかねない。だがメンバー5人は、そうした不安要素を完全に吹き飛ばすエモさとパワーたっぷりのライブを見せてくれたのだ。そこに、アプガという自分たちの看板に泥を塗らない、絶対に失敗しないというメンバーの意地が感じられた。

こうしたケースだとバンドでもアイドルでも、気持ちはわかるけどしょぼんとしちゃったねということがほとんど。そう思わせなかったのがとにかく素晴らしかった。これはなかなかできることではない。自分たちの壁に果敢に挑み、ライブで納得させたのはなかなかのインパクト大でした。

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