Interview

『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』リサ役・上坂すみれが語る“マジンガー愛”と“アンドロイドの悲しみ”

『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』リサ役・上坂すみれが語る“マジンガー愛”と“アンドロイドの悲しみ”

日本のロボットアニメの祖のひとつともいえる『マジンガーZ』のTVアニメが放送されてから、はや45年。その後も伝説として語り継がれ、同時に愛され続けてきた同作の劇場版新作『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』が、2018年1月13日(土)に公開される。原作の10年後を描く今回の劇場版では、おなじみのキャラクターの成長した姿を観られるほか、Dr.ヘルをはじめとした敵キャラクターも復活。第三の魔神・超巨大遺跡のインフィニティも絡み、あらたな戦いの火蓋が切って落とされる。
本稿では、その劇場版に登場する新キャラクター・リサを演じる上坂すみれへのインタビューを敢行。物語のカギを握る少女を演じる彼女の、この作品への想いに迫る。

取材・文 / 須永兼次 撮影 / 斎藤大詞

携わる前から愛していた『マジンガーZ』。
「21世紀の今、あんなによく動く機械獣が観られるなんて、素晴らしい!」

まず、この作品に参加されての率直な感想をお教えください。

上坂 『マジンガーZ』ってすごく歴史があって、私の生まれるずっと前からたくさんのファンがいる作品じゃないですか? それに『マジンガーZ』がなかったら生まれなかった作品がいっぱいあるということもよくわかっていたので、すごく光栄に感じました。

その『マジンガーZ』の原作には、元々どんな印象をお持ちでしたか?

上坂 私はもちろんリアルタイム世代ではないんですけど、永井 豪先生の世界観がすごく好きなんですよ。『マジンガーZ』自体は高校生の頃に文庫本版の漫画で知ったんですが、その前に『デビルマン』を読んでいたので、最初は「ああいう終わり方をしたらどうしよう?」と思って怖々と読んでいたんです。でもマジンガーは終始明るくて、割とお気楽な感じもありますよね。しかも時代を先取りするようなメタ発言も織り込まれていて。最初のほうで(兜)甲児が鉄仮面を刺し殺しちゃったところで「俺は殺人罪なのかな?」って言ったら、「お前は主人公だから正当防衛なんだ。漫画の世界ではそうなってる」って言われて「よかった! 俺主人公で」って言ってるセリフがあったりするんですよ(笑)。

元々のアニメもご覧になったことはありますか?

上坂 はい。アニメは(原作と)ちょっとずつ設定が違っていたりもするんですよね。原作では怖かった兜(十蔵)博士の顔がだいぶ穏やかな顔をしていたりとかそういう違いも楽しめましたし、昭和らしいといいますか、観ていて気持ちいい葛藤の少ないロボットなところが私はすごく好きです。そういったいちファンとして接してきた作品にお仕事として参加できるということですごく緊張しましたし、その分自分が演じるリサをいいキャラクターにしたいなという想いも強かったです。

リサ(CV:上坂すみれ)

では、今回の『INFINITY』にはどんなイメージを持たれましたか?

上坂 『INFINITY』は少年少女が観ても楽しめるんですけど、マジンガーを観て育ってきた方や大人が観ても鑑賞に耐えるドラマになっていると思います。マジンガーのかっこよさはそのままなんですけど、みんな大人になって、甲児は一線を退いて科学者になっていたり……そうやって時代がちゃんと繋がって、新しい世界を見せてくれているというところに、携わられている方々の愛情をすごく感じます。それとバトルのシーンでは、「21世紀の今、あんなによく動く機械獣が観られるなんて、素晴らしい!」って思いましたね。

少女らしさとアンドロイドの悲しさ、その両方を持つのがリサ

今回の劇場版で上坂さんが演じられているリサは、どんなキャラクターですか?

上坂 彼女はアンドロイドなんですけど、悲しんだり人をからかったり、すごく少女らしい人間の心があるというかわいいところを持っています。でもストーリーが進むにつれて、すごく重大な使命を帯びてくるキャラクターでもありますね。

心を持ったアンドロイドというキャラクターというのは、演じるにあたって難しさもあったのでは?

上坂 ロボットだからこそ自分の人間らしさを表現したい、みたいなところはすごく気をつけてお芝居しました。リサには少女らしい一面もあるんですけど、「自分は少女らしい心を持っている」「そういうプログラムが私にはある」ということを自覚している、自分の感情を客観的に見ているところがあるんです。そういう人間との違いをよくわかっているというちょっと寂しいところもあると思うので、そこは気を配りました。

実際に演じてグッときたシーンも、やはりありますか?

上坂 はい。インフィニティがDr.ヘルの力で動き出しそうになる場面では「この世界は終わるんですから、短い時間だけでも(弓)さやかさんと幸せになってください!」と甲児を説得しようとしているんですけど、アンドロイドなので感情は激しいのに出てくる言葉は理路整然としたものになってしまうんです。そんな自分に涙が出てきたりするシーンは、アンドロイドの悲しみを感じるリサの切ないシーンだと思うんです。

インフィニティ

Dr.ヘル(CV:石塚運昇)

逆に、いち視聴者として印象に残ったところはどのような場面でしょう?

上坂 ファンとしては、Dr.ヘルがかっこよすぎて……最近、ああいう悪を愛し悪に生きる、純粋な悪い人ってあまりお見かけしないですし。

石塚運昇さんの声も、重厚な中に落ち着きを感じさせるように思います。

上坂 そうですね。思わず引き込まれてしまいそうになるぐらいに悪の美徳を感じますし、「仮初の平和は退屈だったんじゃないのか?」と甲児と因縁を語るところでも、底知れぬ魅力があるなって思いました。

そんな今回の作品の中の大切なテーマは、上坂さんはどのようなものだと思いますか?

上坂 そうですね……「この世界は存在に値するか?」っていうテーマがあると思うんですけど、それに対して甲児が出す結論がすごく印象的に描かれていますし、それを観た人は、きっとみんな考えると思うんです。「この世界はいいものか悪いものか?」「悪いものだとしても守っていかなきゃいけないものか?」とか、「自分が甲児やさやか、リサの立場だったらどうするか?」みたいな。マジンガーはずっと世界を救い続けてきた神にも悪魔にもなれるロボットなので、自分の頭と心で考えて選ぶということについて考えさせられると思います。