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『ゼノブレイド2』徹底追求したユーザビリティが生み出したもの

『ゼノブレイド2』徹底追求したユーザビリティが生み出したもの

幻想的な世界設定のなかで紡がれる、王道少年漫画のような物語がプレイヤーの心をアツくするRPG『ゼノブレイド2』。本作はゲームシステム面でも注目すべき作品であり、とくに特徴的なのは各種システムの導入が非常に丁寧で、バトルに関係する要素の多さにプレイヤーが混乱しないように配慮されている点だ。

世界設定や物語の面白さに着目した第1回の記事に続き、本稿では『ゼノブレイド2』のテンポが気持ちいいバトルとそのシステム導入のスムーズさを中心に、本作の“遊ぶ楽しさ”を追及していく。

文 / 村田征二朗(SPB15)


ゲーム進行とともに進化する戦闘 

シンプルなバトルと複雑なシステムを持ったバトル、そのどちらにもそれぞれの魅力がありますが、複雑なものはシステムを覚えること自体が億劫になってしまうことも珍しくありません。とくに、ゲームの序盤から大部分の要素が触れるようになっていると、自由度は高いぶん何をどうすればいいのかわからず、それだけで疲れてしまうことすらあります。

『ゼノブレイド2』もシステムだけを見ると戦闘中に気を配る要素は多いのですが、プレイヤーに対するシステムの導入がここまで丁寧な作品がかつてあっただろうか、と思える親切設計になっているおかげで、バトルシステムを煩雑に感じることはないのです。

▲戦闘の始めかたといった基本中の基本から親切にチュートリアルが用意されており、ゲーム初心者でもすんなりとシステムを理解できます

本作の戦闘は、ターゲットした敵に対し、いわゆる通常攻撃はオートで行われ、“アーツ”と呼ばれる技や強力な必殺技を使って戦っていきます。通常攻撃を当てる⇒溜まったゲージでアーツ発動⇒アーツによって溜まるゲージを使って必殺技発動、というのが基本的な流れとなります。戦闘ごとにゲージはリセットされ、つぎの戦闘を気にして技を温存したりする必要がないので、一戦一戦を全力で戦うことができます

通常攻撃からタイミングよくアーツを発動し、通常攻撃をキャンセルすることでアーツの効果も上昇し、必殺技に使うゲージはより多く増加します。必殺技を出す際も、通常攻撃やアーツをキャンセルして出すことで威力が上昇するので、タイミングよく攻撃を行っていく、というのが戦闘におけるキーポイントとなっており、これが本作の戦闘をテンポのいいものにしているのです。

▲敵の側面から攻撃するとダメージが増加するなど、敵や味方の立ち位置も戦略的に意味を持ちます

また、主人公たちは“ブレイド”と呼ばれる特殊な存在をパートナーとして戦い、セットするブレイドによって武器の種類や必殺技の属性が変化します。大剣、刀、ハンマー、ランス、リングなど、さまざまな武器はそれぞれに攻撃やアーツのテンポが違っており、武器の種類ごとに違った手応えを楽しむことができるのです。そして、リズムの変化とともに重要なのが、属性の変化です。

アーツを使っていくことで使用可能になる必殺技。必殺技発動後、一定時間内に必殺技をくり出すことで“ブレイドコンボ”というコンボが発生し、戦闘をより優位に進めることができます。このコンボを発生させる際、ブレイドの属性が重要になってきます。コンボは最大で3段階あるのですが、最初の必殺技を出したブレイドの属性に応じて、コンボをつなげることのできる属性も変わってくるのです。

▲画面右上に赤や水色のアイコンで示されているのがブレイドコンボの成立ルートです。基本的には1発目から2発目、2発目から3発目でそれぞれ2属性に分岐します

▲3段階目までコンボをつなげれば、カットインとともにド派手な必殺技が発動します

ブレイドコンボを活用すれば広範囲に大きなダメージを与えることができ、このコンボが本作における基本的なダメージソースとなっていきます。また、各種必殺技の発動時には画面の表示に合わせてタイミングよく指定されたボタンを押す・連打するといった、クイックタイマーイベント(以下、QTE)が発生します。

QTEというと、ムービーシーンで唐突に操作を要求するもの、というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、本作におけるQTEは必殺技を使った際に発動、つまりプレイヤーが望んだタイミングで発動できます。そのため、唐突さによるストレスはなく、戦闘のテンポをより一層引き立ててくれるのです。

▲必殺技ごとに使用するボタンやタイミングなどは固定されているので、何度か使えば簡単にいい結果を出せます。ミスしても必殺技自体は発動する点がストレスレスでグッドです

ゲームの最序盤ではアーツや必殺技を使うペースも比較的ゆっくりですが、キャラクターの育成が進むと戦闘開始時に即アーツが使用可能になったり、アーツからアーツへのキャンセルも可能になったりと、ゲームを進めるごとに戦闘のテンポはどんどん加速していくのです。

さらに、戦闘中のアクションで増加する“パーティゲージ”を消費することで、必殺技よりも強力な“チェインアタック”を使うことができるなど、戦闘の要素は多めです。しかし、先ほども書いた通り、これらのシステムは順を追って丁寧に導入されていくので、実際にプレイしてみると混乱することはありません。本作のバトルシステムは、その導入の流れも含めて非常に秀逸なのです。

一期一会のランダム性を活かしたブレイド

優れたバトルシステムはもちろんですが、戦闘で重要になるブレイドの基本的な取得方法である“ブレイド同調”も本作独自の特徴的なシステムです。『ゼノブレイド2』の世界において、ブレイドは“コアクリスタル”という物質に素質のある人物が触れ、同調することでクリスタルからブレイドの姿となり、同調を行った人物(ドライバー)と行動を共にします。

必殺技の属性など、戦闘においても重要な要素となるブレイドですが、その入手方法が少しばかり風変りなものになっています。ブレイドはさまざまな方法で入手できるコアクリスタルを使ってブレイド同調を行うことでゲットできるのですが、どのブレイドが手に入るかは基本的にランダムなのです。

▲実際に同調するまではどんなブレイドが出てくるかわからないので、同調シーンは毎回ワクワクします

▲灰色の身体に青い光が走っている“コモンブレイド”が出てくることがほとんどですが……

▲特別な容姿や能力を持つ“レアブレイド”もまれに登場します。デザインの幅も広く、ゲットできたときの喜びは相当のものです

前述の通り、ブレイドを切り替えると必殺技の属性が変化するうえに、ブレイドごとに攻撃役や回復役、防御役などの異なったロールを持っており、ブレイドは戦いかた全般にも影響してきます。しかも、ブレイドとドライバーは一対の存在であるため、特定のアイテムを使わなければほかのキャラクターが同調したブレイドを使うことはできません。

結果として回復役を担っていたキャラクターが攻撃役、防御役のブレイドを手に入れ使っていくこともあり、これがパーティ編成に意外な変化をもたらします。キャラクターごとにブレイドは最大3体までセットできるので、1体のブレイドによってそのキャラクターの役割が180度変化するということはありませんが、戦闘の重要な要素に少なからずランダム性が絡んでいるのはかなり斬新です。

▲ロールによって敵の攻撃をガードする確率や戦闘中に使用できるアーツの内容など、ブレイドの性能は大きく変わってきます

また、ブレイドはそれぞれに戦闘やフィールド探索で役立つスキルを持っており、戦闘以外の場面でも活躍してくれます。火の力で道を塞ぐ倒木を焼き払う、氷の力で水を凍らせて橋を作るなどの進行の手助けから、宝箱の鍵を開ける、採集ポイントでの取得アイテムが増えるといった収集の補助まで、内容はさまざまです。

戦闘やフィールドで使うスキルは、ブレイドとともに冒険をくり広げることで絆を深めたり、特定の敵を倒したりするなど条件を満たすことでレベルアップします。これで、戦闘をより有利に進め、フィールドをより自由に探索することができます。

▲道を開く際の演出もなかなか派手なものになっています

さらに、ゲームをある程度進めるとさまざまな任務に合わせてブレイドを選択し、“傭兵団”として派遣することで、各地で人々を助けることができます。傭兵団としての任務をこなすことで経験値やアクセサリーなどが手に入るうえに、派遣したブレイドのスキルが成長することもあります。

ブレイド同調で出現するブレイドはランダムですが、コアクリスタルは頻繁に手に入るため、戦闘に参加させないブレイドも多めに出てきます。しかし、この傭兵団システムにより、戦闘要員以外のブレイドにも価値が出てくるのです。

▲依頼をこなしていくことで傭兵団を大きくすることもでき、より多くの依頼を受けることができるようになります

ブレイドのランダムな入手や、一定時間ブレイドを派遣することでクリアできる傭兵団の任務など、ある種スマートフォンアプリ的な要素も上手く取り入れているという意味で、本作は実験的な作品でもあります。ブレイド入手のランダム性が生むパーティ編成の偶然性や、適したブレイドが手に入ることで探索範囲が広がる喜びなど、その試みは十二分に成果を出していると言えます。コアクリスタルは簡単に入手できるので、その気になればひたすら試行回数を重ねてレアなブレイドを探し求めることができるのもうれしいポイントです。

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