Interview

リアクション ザ ブッタ さらなる飛躍を期した最新作はいままでと何が違うのか!?

リアクション ザ ブッタ さらなる飛躍を期した最新作はいままでと何が違うのか!?

近年、急速に支持を広げている3人組だ。が、今年結成10周年を迎える彼らは、その間にメンバーチェンジも経験し、音楽的にも様々な試行錯誤を重ねてきた。そして、リリースしたばかりの最新作『After drama』では、サウンド・プロデューサーにSPYAIRやヒトリエを手がけてきた涌井啓一を、またエンジニアにはback number やUNISON SQUARE GARDENなど数多くのトップ・アーティストを担当する渡辺敏広を迎えて、彼らのロマンティックな個性がより際立つポップ・チューンを聴かせている。
ここでは、その10年の軌跡を振り返るとともに、最新作で得た手応えについて語ってもらった。

取材・文 / 兼田達矢 撮影 / 鈴木圭

とにかくオリジナル曲を作ってライブしたい、というところから始まったんです。

10年前の結成時に目指していたのは?

佐々木 このバンドを始める以前はコピーをやってたんですけど、とにかくオリジナル曲を作ってライブしたい、というところから始まったので、例えば「○○でライブをやるんだ!」みたいなことはなかったですね。

逆に言えば、みんなで集まって音を鳴らしても、それが人の曲だと何かもの足りない感じがあったということですか。

佐々木 その当時、僕たちの周りではやってなかったことなんですよ。オリジナル曲を作って演奏するということは。高校1年生のときですけど。それを、誰よりも先にやって「どうだ!」という感じで見てもらいたかったのかなと思います。

いまは詞曲とも佐々木さんが書いていますが、最初から自分で書くということで始めたんですか。

佐々木 そうですね。でも、最初はよくわからなかったんですよ、すべてが(笑)。で、いまでもそうなんですが、ベースでメロディを作って、それにコードを充ててもらうっていう。だから、鼻歌みたいなものにベースでキーを付けて、そこから始まるというのが基本的な作り方ですね。

佐々木直人(Ba,Vo)

まさに手探りで始めた、という感じですが、そんなふうに始まったバンドは最初から納得のいくものだったですか。

木田 最初はもちろんプロになるなんてことはまったく頭に無くて、ただ純粋にオリジナル曲を作って、ライブして友達に見てもらうということを繰り返してたんですけど、高校3年生のときに“TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2009”という大会で優勝して、“ROCK IN JAPAN”にオープニング・アクトで出られる権利をもらったんです。そのときに、“もしかしたら自分たちはイケるんじゃないか、音楽でゴハンを食べていけるようになっていくんじゃないか”という自信が芽生えて、そこからですね。

その気持ちがさらに確たるものになるのは、また何かきっかけがあったんですか。

佐々木 2014年の終わりにオーディションに出て、「君へ」という曲を演奏したんですけど、それでまた優勝できて、“COUNTDOWN JAPAN”に出させてもらったんです。そこで、自分たちのなかにある“まだまだやりたいことが表現できていない”という気持ちと、音楽というフィールドで世の中の人になにがしかのインパクトを残せるというか評価をしていただけるものを作れたという、その2つのことがあったから、もっと突き詰めればもっと広がるんじゃないかという、自分たちに対する期待がより強くなっていったような気がします。それに加えて、自分たちのことを支えてくれるというか、「リアクション ザ ブッタの音楽は間違いない」と言い続けてくれる人たちのおかげもあって、例えば「就職という道を選ばない」ということをみんなで確認することもなく、そっちのほうへ進んでいきましたね。

ただ、そこでさらに音楽の世界に気持ちを差し向けていこうとしたときに、前のドラムの方は脱退することになるわけですよね。

佐々木 そうですね。それでもリリースの予定があったので、『Fantastic Chaos』というアルバムなんですけど、それは二人で曲を作り上げることをやったんです。そこでは必然的にドラムは打ち込みでやらなきゃいけなかったから、それがいまの曲作りの進め方の根幹になってるかもしれないですね。

大野さんは、その頃からまずはサポートとしてこのバンドに関わっていくことなったんだと思いますが、その当時のリアクション ザ ブッタの音楽に対してはどういう印象を持っていましたか。

大野 サポートをやる前に名前だけは知ってて、まずはさっき話に出た「君へ」という曲が入ってる『HUMAN』というアルバムを聴かせてもらって、すごくパーソナルな曲が多いなと思いました。「歌がフィーチャーされたいい曲」というか。で、『Fantastic Chaos』のツアーから本格的にサポートで入るようになったんですが、その頃はちょうどバンドの音が歌を大事にしながらよりロックな音にシフトする時期だったと思うんです。僕自身はそういう激しい音楽も好きだったから、ちょうど良かったのかなと思ってるんですけど。

イントロから“このバンドはちょっと違うぞ”と思わせないとダメだなと思うんですよね。

なるほど。それで2016年に『Wonder Rule』というアルバムを出して、最新作『After drama』につながるわけですが、この最新作を作るときにはどういうことを考えていましたか。

佐々木 アルバムを通してひとつのストーリーがあるものにしようということは最初になんとなく話してたんです。6曲を通して、ある一人の人の恋愛を描いていけるといいなって。でも、いざ作り始めると、そこに捉われ過ぎていると曲ができなくなっちゃうので、いったんそのストーリー性みたいなことは忘れて、単純に曲を作るということをやっていきました。その上で、できた曲のなかからチョイスしていって、並べていくとこういう感じになったということですね。

ということは、出来上がりの6曲以外にもかなり曲があったんですか。

佐々木 今回のアルバムのために作ったデモは20曲くらいあったと思います。

そこから選んでいく際に、アルバムとしてのストーリー性ということはやはり意識していましたか。

木田 まずは自分たちが“これだ!”と思う曲を選びましたけど、その上で6曲並べたときに「こっちのほうがストーリーが広がるよね」みたいなやりとりもあって、それで最終的にこの6曲になりました。

木田健太郎(Gt,Cho)

そういうふうに、収録曲数よりも多く曲を用意して、そのなかから選んでいくというやり方はいつものことなんですか。

佐々木 そうですね。でも、年々用意する曲数も増えてますし…。ストックもできていくじゃないですか。それに、作る曲の幅も広がってるように思いますね。

木田 1曲目の「ドラマのあとで」は、前作の『Wonder Rule』のときにもう原型はあったんですけど、そのときにはちゃんと伝わる形に仕上げられなかったんですよ。それが、今回は納得のいくアレンジも入れられたという曲です。

今回の制作を振り返って、印象に残っていることは?

佐々木 「イントロで印象的なギターリフを作らなきゃいけない」とか、そういうところで毎回けっこう苦しむんですけど…。

木田 今回いちばん大変だったのは5曲目の「リード」で、イントロを12種類くらい作って、そのなかからやっと“これだ!”と思うものができました。

佐々木 すごくたくさん作ってきて、でも木田自身はあまり納得いってないみたいな感じだったんですけど、そのなかのひとつについて僕が「ベースのルートをこうしたらいいんじゃない?」ってことで直したらピタッときたんですよ。そういうふうに、木田がまずやって、それに対して僕が「ここ、こうなんじゃないかな」と言ったことについて二人の考えが合致したときに、いいものが生まれてきたことが多いように思うんです。そのなかで、2曲目の「クローン」はアレンジをほぼ木田一人でやったんですけど、僕は驚いたというか、“こういう曲になっちゃうんだ!?”と思った曲ですね。

大野 「クローン」は、元々はもうちょっとロケンローな感じだったよね。

佐々木 そうそう(笑)。ロケンローというか…、もうちょっとイナタイ感じだったんですよね。でも、歌詞の内容を考えても、もうちょっと近未来な感じにしたかったんですけど、木田がそういうふうにしてくれたんで、すごいなと思って。アレンジに関しては、以前よりも木田に託してる部分は大きくなってると思いますね。

イントロでいつも苦しむのは、イントロは大事というこだわりがあるからですか。

木田 そうですね。やっぱりイントロが良くないと、そのあとを聴いてくれないと思ってるんで。特にいまはみんなYouTubeで曲をチェックしますから、ワンクリックで他のバンドに飛べてしまうじゃないですか。だから、イントロから“このバンドはちょっと違うぞ”と思わせないとダメだなと思うんですよね。

今回のアルバムは聴いてて疲れないんですよ。

大野さんは今回のレコーディングを振り返って印象に残ったことは?

大野 今回は、自分がこれまで正しいと思っていたドラム像というものが、一緒に作ってくださったプロデューサーの涌井さんやエンジニアの渡辺さんとやっていくなかで大きく変えられたんですよね。だから、初めてのことだらけで、すごく大変でした。いままでとは勝手が違ったというか…。

どういう点を「大きく変えられた」んですか。

大野 ウチのバンドはギターとベースとドラムの3ピースですけど、ドラムはそのなかで音のいちばんボトムの部分を担ってるから、「そのボトムとしての音の出し方というのはこういうことなんだよ」ということですね。シンバルを鳴らし過ぎちゃって、キックとかスネアの音が聞こえてこないようなドラムだったんだなということに気づかされたし、一つ一つをちゃんと太い音で出すということをアルアバム全体を通して気をつけてました。

大野宏二朗(Dr)

佐々木 音作りに関して、ひとつのゴールとしてみんなが目指していたのは歌を押し出すということで、それぞれにいろんなアドバイスをもらったんですけど、宏二朗がいちばんその場その場でやりながら修正していく感じだったんで、いちばん不安も大きかったと思います。でも、僕らも含め、そういう不安は最初のミックスを聴いたときに完全に払拭されたんです。言ってくれてたことの意味がわかったというか。出来上がりを聴いても、今回のアルバムは聴いてて疲れないんですよ。ギターもベースもドラムもそれぞれにガンガンやってると全体がカリカリした感じになって、聴いてて疲れる仕上がりになっちゃうんですけど、そこのところが落ち着いたことで、音的に何度も聴けてしまうなあっていう。そういう仕上がりになるのは、チューニングの仕方からひとつひとつの音の出し方まで、そういう細かいことの積み重ねで出来上がるんだということを今回すごく実感しました。

そういうオケで歌って、何か感じることはありましたか。

佐々木 単純に、歌いやすくなりましたよね。歌に集中しやすくなったというか、細かいニュアンスにも気持ちを向けられる余裕ができたということはあったと思います。歌のディクレションも今回はかなりしっかりやってもらったんですが、自分の声帯に合った歌い方を模索しながらやっていって、僕の声の本当にいいところはどこかということにも気づいたりしました。

今回は、例えば“一人で夜道を歩いてるときに君のことを思い出してる”というような曲を書きたいなと思ってたんです。

ボーカルの肌触りまで含めた音楽の印象がかなりパーソナル感じですよね。

佐々木 今回は恋愛というものをひとつの軸にしていたので、そのなかでどれくらいさらけ出せるかということがひとつテーマとして歌詞を書くうえで僕のなかにあって、それに歌詞をどんどん展開させていくためにメロディにとらわれないで書くということをやったんです。だから、2番がなかったり、変なところでDメロみたいなメロディが出てきたりしてるんですけど、それは歌詞を優先して、後からメロディをつけていったからで、そういうことをやったのも今回がほぼ初めてなんです。でも、そうしたほうが自分の言いたいことをより言いやすいと思ったからで、そういうことの結果としてパーソナルな印象が強いんじゃないかなという気がします。

大野 僕は今回特に感じてるんですけど、というのはパーソナルではあるんだけど、それが押しつけがましくなくて、独白みたいな感じなんですよね。例えば「リード」の歌詞でも、女性に向かって♪愛を吠える犬でいたい♪と叫んでるんじゃなくて、“そう思ってる”とか、“空に向かってつぶやいた”とか、そういう感じだと思うんです。

佐々木 今回はリアルに目の前に相手がいるわけじゃなくて、例えば“一人で夜道を歩いてるときに君のことを思い出してる”というような曲を書きたいなと思ってたんです。思い出すという形にするとちょっと距離が出るというか、それがドラマっぽい、映画っぽいなって。ドラマや映画って、そうじゃないですか。すごくリアルなことを描いていても、どこか他人事というか、映画として、ドラマとして見てますよね。だから、“あの時、口にした言葉は本心だったけれど、今思うと…”みたいなことってあるじゃないですか。そういう感覚に近いのかもしれないですね。

ライブについても聞かせてください。いまリアクション ザ ブッタがライブに臨む際に意識していることは何かありますか。

木田 今回の『After drama』のレコーディングで、演奏に関してメンバーそれぞれに意識がすごく変わったところがあるから、そのことは歌をしっかり届けるためにライブでもすごく気をつけています。それと、僕自身はお客さんの目を見ながら演奏するということをすごく意識しています。

大野 僕は、楽しくやりたいですね。ライブしてる僕ら自身が楽しいと思ってないと、見てる人が僕らに憧れるようなことにならないと思うので。

佐々木 曲をまず理解してもらいたいし、その上で気持ちに刺さってほしいと思っているんですけど、そのためにはまず僕が情熱的になることが大事な場合もあるし、逆に冷静にどっしりと伝えるみたいな感じのほうがいい場合もあるし、そこの抜き差しというか、歌がより届く方向に行きたいなということはずっと思ってますね。

最後に、アルバム『After drama』の1年後、2018年の年末にはどうなっていたいなと思いますか。

佐々木 単純に、すべてが倍以上になってたいですよね。漠然とではありますが、そんなふうに思います。

では、10年後にはどうなっていたいです。

佐々木 僕らの音楽は人に受け入れられやすいと、やっぱりどこかで思ってるんですね。だとしたら、そういう場所に立っていたいし、立たなきゃいけないと思うんです。せっかくそういう音楽性でやってるんだから、そこに自信を持って何万人もの人を背負って、あるいは何万人もの人の前でやりたいなと思いますね。

リアクション ザ ブッタさん画像ギャラリー

ライブ情報

『After drama』Release Toue〜愛を吠える犬って、イタい?〜

2月17日(土) 埼玉・西川口Hearts w/Saucy dog and more…
2月24日(土)宮城・仙台enn 3 rd w/鶴 and more…
3月4日(日)福岡・福岡Drum son w/ユアネス and more…
3月10日(土)大阪・福島2 nd LINE w/Lenny code fiction and more…
3月21日(水・祝)愛知・名古屋ell size w/and more…
3月25日(日)東京・代官山UNIT(ワンマン)

リアクション ザ ブッタ

佐々木直人(Ba,Vo)、木田健太郎(Gt,Cho)、大野宏二朗(Dr)の3名からなるギターロックバンド。高校生だった2007年、小学校からの幼馴染だった佐々木と木田を中心に結成。2016年より大野が正式メンバーとして加入。
2009年“TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2009”で最優秀賞を受賞し、2014年12月“RO69 JACK 14/15”に優勝。それぞれ「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」、「COUNT DOWN JAPAN」のステージに立つ。2016年7月には「Born Next Live」in Reborn-Art Festival × ap bank fes 2016の選考通過バンドとして「ap bank fes 2016」のRebormステージに出演。他にも、「MORNING RIVER SUMMIT 2016」(@大阪野外音楽堂)、「サイサイフェス 2016」 (@新木場STUDIO COAST)、「イナズマロック フェス 2016」など様々なフェスに出演。2017年2月11日、原宿アストロホール単独公演にて東名阪ツアーのファイナルを開催し、完全ソールドアウト。また、9月公開の映画「CAGE」の主題歌・挿入歌に前作収録の「Wonder rule」「何度も」「君へ」が採用された。10周年を迎え、その勢いはさらに加速し続けている。

オフィシャルサイトhttp://rtb-music.com