Interview

玉木宏『悪と仮面のルール』での驚異の役作りとロケを述懐、デビュー20周年を迎えた今の想いを明かす

玉木宏『悪と仮面のルール』での驚異の役作りとロケを述懐、デビュー20周年を迎えた今の想いを明かす

新木優子、吉沢亮、中村達也――実力派の若手・個性派キャスト陣と共演した印象

すべては〈香織〉のためとおっしゃっていたように、ある意味、究極の純愛物語ですよね。〈香織〉との関係をどのようにお考えですか?

誇張された関係性ではありますけど、誰かのためにあそこまでできるのはある意味幸せなことですよね。そこまで誰かを一途に想い続けることが難しい世の中になっていると思いますし、結果として彼らはこの映画の中では幸せなのではないかなと思います。

〈香織〉を演じた相手役の新木優子さんの印象は?

新木さんとは数日間しかご一緒できなかったので、そんなに深い話をしたわけではないんですけど、〈香織〉という役を真摯に捉えようと、真っ直ぐだった姿が印象的でした。〈文宏〉と〈香織〉はある一線を超えないので、ある程度の距離感があったのは自然で良かったと思います。

他の共演者である、テロ組織の実行犯の一人〈伊藤〉を演じた吉沢亮さんの印象も教えてください。

吉沢さんは年齢的には一回り以上違うんですが、彼はそれを感じさせないしっかりとしたものを持っていて、すごく真面目という印象です。決して長い時間を過ごしたわけではないんですけど、ちゃんと地に足がついた人だと思いました。僕が彼くらいの年齢の頃はもっとふわふわしていて(笑)、役のことを深く考えるというよりも現場が楽しいというベクトルに向いていたんですけど、彼は現場を楽しみつつ、役としてどうあるべきかを自分自身で追求している人だったので、すごく刺激的でした。

玉木さんは中堅と言われる世代で、吉沢さんのように後輩もたくさん出てきます。アドバイスしたりすることもあるんでしょうか?

そういうことは一切しないです(笑)。自分自身で何かを感じないと変わらないと考えていて。何かを失敗したらそこから何かを学べばいいのではないか、と。それに、一緒に作品を作る仲間は同じライン――後輩というより同僚だと考えているので、「次のシーンは、俺はこう思うけど、どう思う?」みたいな話をすることが多いですね。現場を離れたら、共演者をご飯に誘ったりすることはありますけど。

なるほど。では、〈文宏〉の兄〈幹彦〉役の中村達也さんとはいかがでしたか? お二人のシーンは独特の緊迫感でした。

そうですね。すごく長くて特殊なシーンでした。この作品は、ほぼ二人ずつしか出てこないので、僕は常に誰かと対峙しているんです。そういう意味で皆さんそれぞれの在り方とやり取りしながら演じていたんですが、中村さん演じる兄の〈幹彦〉は独特の間やリズムがあって、このセリフは一気に言わずにそういうペースで話すんだ、と思うことがあって、そこから生まれるグルーヴ感と言いますか、良い意味での異物感はありましたね。

待ち時間などはお話されましたか?

僕も当然(BLANKEY JET CITYを)聴いていた世代ですし、名古屋(玉木の出身地であり、中村が学生時代を過ごしドラマーとしてデビューした)という共通の話題があるので、そういう会話をしていました。ただ、どんなペースでお仕事をされる方かはあまりわからないし、共演シーンもデリケートなものだったので、こちらからたくさん話しかけたら悪いかなと思いながら現場にいました。

俳優として、「すべてを教えてもらったのは『ウォーターボーイズ』だったと思います」

世間的に玉木さんは爽やかな青年というイメージを持っている人もいると思うんですけど、今回の殺人者役はキャリアにおいてどんな位置づけになると思いますか?

それは皆さんが判断することなので、僕としてはこれが良い形で次に繋がるといいなというくらいの気持ちです。ダーティーな作品ですが、純粋な悪ではないので、観てくださる方がどう思うかはなかなか想像が出来ないですね。ただ、新しい印象やイメージを出していきたいという欲はたくさんあります。役としてもっとエグいこともやりたいし、自分自身がチャレンジできる環境で、常に何かにトライしていたい。まだ組んだことのない監督さんのもとでぐちゃぐちゃになってみたいなとも思います(笑)。

今年、デビュー20周年を迎えますよね。

あっという間という感じはしますけど、20年という数字を見るとすごく長い時間を過ごしてきたなと思います。それと同時にまだまだやらなくてはいけないことがあるので、これからも成長しなければいけないと気が引き締まります。もっといろいろな経験をして幹を太くして、様々な役で枝を増やして、大きな木を目指したい。今はその途中ですね。

この20年で、ご自身の転機になった出来事や作品は?

『ウォーターボーイズ』(01)から始まって、「のだめカンタービレ」(06)、朝ドラの「あさが来た」(15~16)と、ヒットした作品に恵まれていると思っています。自分ではどの作品も同じパワー、同じ意識で臨んでいるんですけど、何年かに一度、そういう作品に出合うことで、結果としてお仕事の幅が広がったり変化していく部分はあるので。でもやはり、すべてを教えてもらったのは『ウォーターボーイズ』だったと思います。当時、俳優デビューしてから3年目でしたけど、本当にふわふわしていて右も左もわかっていませんでした。でも、作品を作るのはこんなに楽しいんだ、演じるというのはこういうことなのかと、初めて実感しました。映画もヒットしましたし、すごく恵まれた環境だったと思います。今はあそこまで時間をかけて作る作品が少なくなってきていますし、僕自身がああいう青春を味わうことはもうできないですけど(笑)、演技の楽しさを初めて味わわせてくれた作品でした。

玉木宏

1980年生まれ、愛知県出身。1998年に俳優デビューを果たす。映画『ウォーターボーイズ』(01 /矢口史靖 監督)のアフロ頭の佐藤役でブレイクし、NHK連続テレビ小説「こころ」(03)などに出演。ドラマ「のだめカンタービレ」(06/CX)での頭脳明晰のエリート指揮者・千秋真一役がハマり役となり人気を確立。その他の出演作に、『MW―ムウ―』(09 /岩本仁志 監督)、『大奥』(10 /金子文紀 監督)、『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(11/成島出 監督)、太河ドラマ「平清盛」(12/NHK)、「残念な夫。」(15/CX)、NHK連続テレビ小説「あさが来た」(15~16)、『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』(16/和泉聖治監督)など多数。2018年は、『ラプラスの魔女』(5月4日公開/三池崇史 監督)、『ラブ×ドック』(鈴木おさむ 監督)が待機している。

オフィシャルサイト
http://www.tamakihiroshi.com/

 

映画『悪と仮面のルール』

2018年1月13日(土)公開

【STORY】
日本有数の富豪・久喜家に生まれた〈文宏〉は、幼少期に父(村井國夫)から家系にまつわる“邪”について聞かされ、「14歳のときに地獄を見せる」と告げられる。父の言う“地獄”が、養女の〈香織〉を手に掛けることだと悟った〈文宏〉は、〈香織〉を守るため父を殺害し、姿をくらました。時は流れ、整形手術によって顔を変え、〈新谷弘一〉として生きている〈文宏〉(玉木宏)は、久喜家お抱えの探偵(光石研)に〈香織〉の身辺調査を依頼する。愛する〈香織〉(新木優子)を陰ながら見守ることが今の彼に出来る精一杯のことだった。ある日、日本を騒がせているテログループ“JL”のメンバーで久喜家の血を引く〈伊藤〉(吉沢亮)という男が〈文宏〉に接触。〈伊藤〉の目的は活動資金をゆすることだったが、〈文宏〉は〈香織〉に危険が及ばないように協力を申し出る。しかし〈香織〉の身を狙っていたのは〈文宏〉の兄〈幹彦〉(中村達也)で……。

原作:中村文則「悪と仮面のルール」(講談社文庫)
監督・編集:中村哲平
脚本:黒岩勉
出演:玉木宏 新木優子 吉沢亮 中村達也 光石研 村井國夫 柄本明
主題歌:Uru「追憶のふたり」(ソニー・ミュージック アソシエイテッドレコーズ)
配給:ファントム・フィルム
©中村文則/講談社 ©2017「悪と仮面のルール」製作委員会

オフィシャルサイトhttp://akutokamen.com/

【中村文則】作品

【Uru】

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