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Kalafina誕生の契機になったあの曲も登場。10周年の月日と成長を感じさせたアコースティックライブ“Kalafina with Strings”最終公演レポート

Kalafina誕生の契機になったあの曲も登場。10周年の月日と成長を感じさせたアコースティックライブ“Kalafina with Strings”最終公演レポート

Kalafinaがクリスマスに行うストリングスライブも2017年で6度目。年々、三声は来場者からの大いなる支持を受け、2015年までは2カ所3公演だったのが、2016年には1ヶ月かけて8カ所でのツアーに拡大。2017年は11月と12月を費やして11カ所で行ってきた『Kalafina Acoustic Tour 2017 ~“+ONE” with Strings~』のラスト公演として開催した。

東京公演初日、開演前の囲み取材では「少し早いクリスマスを楽しんでもらえるライブになったら」(Wakana)、「この季節だからこそのアコースティックでゆったりと、少しでも心が穏やかになる時間を作れたら」(Keiko)、「クリスマスライブならではのドレスを着させていただくとしぐさや所作も変わってくるので、そこもこのライブならではかなと思います」とそれぞれに意気込みを語った3人。大阪で2度、東京で2度聖夜を祝ったこのライブで、2018年1月23日に10周年を迎える3人の歌姫はどんな歌声を響かせたのだろうか。

取材・文 / 清水耕司(セブンデイズウォー)
撮影 / キセキミチコ/KISEKI inck


ステージ上にピアノと弦楽四重奏の5人が現れ、所定の位置についたあと、Kalafinaの3人がゆっくりと登場する。深紅のイブニングドレスを着たWakanaとHikaruが右と左に、ロゼカラーのKeikoが中央に立つと、拍手を全身に浴びたあと、1曲目に「dolce」を清らかに歌う。福音の思いのこもった『空の境界 未来福音 Extra chorus』の主題歌である。続いては聴き慣れたクリスマスソング「We Wish You a Merry Christmas」。清らかさを受け継ぐように高音のWakanaが聴かせ、終盤近くではKeikoが慶びを表すかのように低音でサビを響かせる。

歌い終わると3人の歌姫からは本日の挨拶が。

「音を一つ一つ、私たちの声と楽器の音と共に皆さんに楽しんでいただけたら」(Wakana)

「今日だけの音楽を探して、見つけて、作っていけたら」(Keiko)

Hikaruは照明スタッフにお願いして客席を照らしてもらい、集まった人々の顔を眺めていく。

「音楽は会話だっていつもライブで言わせていただいています。今日は皆さんとたくさん会話できたら」

3人がこの夜への思いを告げたあと、原曲よりもさらに落ち着いた雰囲気で「sapphire」が、続いて4曲目に「sandpiper」を歌い上げる。「sandpiper」の最後、チェロが余韻というには重々しく響くと、その余勢を駆って「Magia」「blaze」が続けられた。演奏のピアノを引き連れながらHikaruが渾身の激情を響かせ、WakanaとKeikoの援護もあり、押し寄せる圧力に会場も息を呑む時間であった。

ここでWakanaがアコースティックライブを始めた頃の、そして回を重ねる中で感じた思いを伝える。

「音が本当によく聴こえる、今ではそれが素晴らしくって大好きなんですけど、当時は『声がもっとよく聴こえてしまうから気を付けなければいけないところがたくさんある』とか『もっとはっきり歌わないと伝わらないね』とか三人で話し合って日々を重ねてきました」「私達も歌っていてどんどん、こうやって歌いたいと思い始めたり、二人の歌い方がどんどん変わっていくのを見ているのがすごい楽しかったです」

Wakana

そんな思いを乗せ、今回のツアーで初めてアコースティックアレンジが生まれた「oblivious」を高らかに歌ってみせる。弦がたゆたうような音をうねらせ、Wakanaの伸びやかな声が重なり、Keikoが寄り添う。WakanaとKeikoが向かい合い、歌声で交わし合う様子は二人で生み出した誕生の曲を大切に慈しむようだ。Kalafinaが歩んだ10年を思わせるアレンジで生まれ変わった瞬間だった。

ときにKeikoが大きく手を動かし、Hikaruが天を仰ぎ、Wakanaが手を頬に添わせる。Wakanaの高音が大きく客席の上を羽ばたくかと思えば、別の曲ではゆったりとHikaruの歌声に寄り添うように進む。Keikoが低音ながらふたりを導くこともあれば母のように包み込んで三声をまとめることもある。言わずもがなのKalafinaの魅力ではあるが、オーチャードホールという会場の力を加えて、10年という月日がKalafinaがどのようなボーカルユニットへ成長させたのか、視的にも直感的にも味わえる見事な時間が過ぎ去っていった。

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