LIVE SHUTTLE  vol. 231

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藤井フミヤ 圧巻のカウントダウン・ライブ“武道館LAST2”。そしてデビュー35周年アニバーサリーイヤーへ突入!

藤井フミヤ 圧巻のカウントダウン・ライブ“武道館LAST2”。そしてデビュー35周年アニバーサリーイヤーへ突入!

「藤井フミヤ COUNTDOWN PARTY 2017-2018」武道館LAST2
2017年12月31日〜2018年1月1日 日本武道館

藤井フミヤの“武道館カウントダウン・ライブ”は数えて14回目。伝説のライブが数多くある武道館という特別な場所で、大晦日という特別な日に行なわれるイベントだけに、“恒例”という言葉だけでは済まされない気がする。

1980年代はバンドの時代であったと同時に、アイドル的な人気を持つ者が“ショー”ではなく、“ライブ”と呼べるパフォーマンスを始めた時代でもあった。フミヤはそんな時代を表わすように、バンド“チェッカーズ”でデビューし、ソロに転進してからもアイドル的な側面を持ったアーティストとしてライブ・シーンに君臨してきた。というより、アイドルとアーティストの境界線をあっさり取り払ってしまった存在なのだ。2018年は、チェッカーズがデビューしてから35周年に当たる。開演前にそんなことを考えていたら、この日は僕の予想を見透かしたような、素晴らしいライブが展開されたのだった。

早朝、初雪の舞った12月31日の夜、武道館には続々とフミヤ・ファンが集まり、刻々と迫る開演を待っている。カウントダウンがあるので、開演予定時刻の22時30分ぴったりに場内は暗転になり、バンドのメンバーがステージに入ってくる。スタンバイしたところで、舞台中央のポップアップから、フミヤがポンと飛び出した。武道館に大歓声がこだまする。

オープニング・ナンバーは「TOKYO CONNECTION」。デジタル・ビートに横揺れするベースが絡む、キャッチーなダンスチューンだ。ドラムの屋敷豪太、ベースの有賀啓雄のコンビにしか出せない、柔らかくてジューシーなグルーブが武道館を踊らせる。

2017年、フミヤは弟の尚之とのユニット“F-BLOOD”で活動し、ロック色の濃いバンドでライブを行なっていたので、久々に聴く屋敷&有賀のサウンドが新鮮に響く。それにしてもこの2人のリズムは、特別だ。長年追求してきたコンピュータとアナログ楽器が織りなすグルーブは、2010年代のフミヤにとって大きな武器となってきた。僕にとってはこの「TOKYO CONNECTION」が、この日最高のグルーブだった。しょっぱなから飛び出した“最高”に、僕は一瞬にしてやられてしまった。

メインステージからアリーナに向かってランウェイがせり出し、先端に小さなステージが設置されている。尚之がサックス・ソロでミニステージまで歩いて行き、フミヤがその後を追っていったので、いきなり身近に迫る兄弟のパフォーマンスに会場のボルテージが一気に上がる。

最初の5曲はダンスチューンの連発だった。大人な16ビートが、会場をリラックスさせ、温めていく。 

「今日で今年は終ります。いろいろ片づけて来た人もいるでしょう。祓いたまえ、清めたまえ」とフミヤが言って、次の5曲は「タイムマシーン」や「女神(エロス)」など、90年代のポップなロックの人気曲が並ぶ。ロッカバラードの「ハートブレイク」でフミヤは、得意のマイクスタンドを使ったパフォーマンスで会場を沸かせたり、「Another Orion」を気持ちのこもった声で歌い切り、深々と頭を下げると大きな拍手が巻き起こったのだった。

「今日はようこそ! 忙しいのにね(笑)」と切り出したフミヤが、バンドのメンバーを一人一人紹介。最後にスペシャル・ゲストとして尚之をコールする。「来年、尚之と俺はデビュー35周年! 奇跡的に35年もステージで歌ってます。これはひとえに皆さんのお陰です。こうなったら俺も尚之も看取って欲しい(笑)。今年はF-BLOODで全国を周って、尚之のダメなところも・・・あ、お互い様か、仲の良い兄弟ぶりを見せつけました。・・・もうちょっと(話しながら)休憩したいんだけど、歌の途中で年が明けたら大ナシだから、そろそろやりますか。尚之がいるということは、いろんな曲が聴けるということです。懐かしい曲をやります」。

次の5曲は、なんと怒濤のチェッカーズ・ナンバーだった。イントロでピアノの音が鳴ると、会場から「オー!」と声が上がる。「夜明けのブレス」だ。きれいなラインを見せるダイナミックな照明は、80年代のチェッカーズのライブを彷彿とさせる。サビの♪君のことを守りたい♪で、尚之が付けるハーモニーが、さらに記憶をフラッシュバックさせる。心憎い演出だ。

「I Love You,SAYONARA」のイントロが尚之のサックスで吹かれると、また「ワー!」と歓声が上がる。「WANDERER」はドラムとエレキギターで始まり、そのたびに会場がアクションする。30年前の大ヒット曲は、今もオーディエンスの胸を熱くさせ、そのことをフミヤが喜んでいるように見えた。

アイドル扱いされたくない時期もあっただろう。しかし年月はそんな確執を溶かし、武道館にいる全員の思い出を掻き集めて歌になっていく。フミヤは「ONE NIGHT GIGOLO」で会場を熱狂させ、「NANA」で縦横無尽にステージを駆けまわって、23時55分に登場したステージ中央から奈落へと消えた。2010年代のダンサブルなビートから始まり、90年代のポップなロック、80年代のチェッカーズと、フミヤの歴史を5曲ずつで振り返る前半の構成が見事だった。

オーディエンスが紅白の風船を膨らませて再開を待っていると、ダークスーツでビシッと決めたフミヤが、23時58分に現われた。

「あと2分! 2017年は大変お世話になりました。みんなの2018年は武道館から始まります。いつまでも記憶に残るカウントダウンになったらいいなぁ。今年もありがと、神様ありがと。みんなありがと」。壁の時計に合わせてオーディエンスのカウントダウンがゼロになり、年が明けると、フミヤは「君が代」を貫禄充分に歌い出す。「今年はどんな年にしようか。素晴らしい2018年になりますように!」

2018年、最初の5曲はハウス・ミュージックのアレンジ。2001年のアルバム『CLUB F』の頃のライブのニュアンスに近い。2017年が“ロックのフミヤ”だったから、ファンは“クラブのフミヤ”との再会を歓迎して大騒ぎだ。これでフミヤの歴史のすべてのパートが出そろった。

「TRUE LOVE-ReTake Ver.-」でフミヤは両手を広げて「A Happy New Year!」と叫ぶ。「UPSIDE DOWN」ではいつの間にTシャツ姿になって、マイクスタンドを振り回す。「2018年になった瞬間を共に過ごせたことを幸せに思って、きっといい年になりますように!」と「ANGEL(DMT Version)」で一度ライブを締めた。

アンコールを求める会場の拍手が、柏手みたいに響く(笑)。

「今回の武道館のタイトルを『藤井フミヤ COUNTDOWN PARTY 2017-2018 武道館 LAST2』にしたのは、2019年に武道館が改修のためにクローズになるから。できたら来年、またこのメンバーで集まろう。で、オリンピックが終わると、俺は58才になる。もう勘弁してよ」と言うと、会場から「えーっ!」と反対の声が上がる。「いやいや、武道館カウントダウンを若いヤツに譲っていかないといけない。だから来年が最後になる可能性がある。だってアンコールやりたくないぐらい疲れてる(笑)。でも呼ばれたからには、そうはいかない。行くぜー!」と「GIRIGIRIナイト」でロックンロール・タイムに突入だ。

「紙飛行機」では恒例の、紙飛行機が会場の上から下までを舞い飛ぶ。フミヤの「Come on、ゴーちゃん」の合図で、アップテンポの「第九」で“LAST2“を締めくくった。

「じゃ、帰り、気をつけて。また一緒に遊ぼうぜ」と言い残し、年始代わりに足でステップを切ってフミヤはステージを去った。“LAST2“を見られた幸運に感謝するとともに、個人的な意見ながら、オリンピックが終わってもこのパフォーマンスは大丈夫、ずっと年末に見たいものだと思ったのだった。アニバーサリー・イヤーの今年、デビュー記念日の9月21日にはファンクラブ限定の公演が発表されている。今年のフミヤはどんなステージを見せてくれるのか? 恐るべきライブ・アーティストだ。

文 / 平山雄一
撮影 / KEIKO TANABE (TAMARUYA)、キセキミチコ/KISEKI inck

「藤井フミヤ COUNTDOWN PARTY 2017-2018」武道館LAST2
2017年12月31日〜2018年1月1日 日本武道館

セットリスト
1. TOKYO CONNECTION
2. Gipsy Dance
3. 運命 -SADAME-
4. Hello
5. Blue Moon Stone
6. タイムマシーン
7. ハートブレイク
8. 女神(エロス)
9. Snow Crystal
10. Another Orion
11. 夜明けのブレス
12. I Love you,SAYONARA
13. WANDERER
14. ONE NIGHT GIGOLO
15. NANA
16. TRUE LOVE -ReTake Ver.
17. MY STAR
18. “Doo-bee Doo-bee”Freedom
19. UPSIDE DOWN
20. ANGEL(DMT Version)

EC-1. GIRIGIRI ナイト
EC-2. Stay with me.
EC-3. 恋の気圧
EC-4. 紙飛行機
EC-5. Come On !! GOちゃん!! (第九)

藤井フミヤ

1962年7月11日、福岡県生まれ。’83年 チェッカーズとしてデビュー。
’93年以降、ソロアーティストとして活動。「TRUE LOVE」や「Another Orion」等ミリオンヒットを世に送り出す。
2013年デビュー30周年&ソロデビュー20周年のダブルアニバーサリーを迎え、7月10日にはソロ通算30枚目のシングル「青春」をリリース。デビュー日に当たる9月21日からは1年間に及ぶ30周年プロジェクトの第1弾として全国ツアー「藤井フミヤ 30TH ANNIVERSARY TOUR vol.1 青春」を開催(31か所・35公演)。
またこのツアーのスペシャル公演として5年振りに日本武道館『藤井フミヤ カウントダウンライブ』を復活させた。
2014年は「TRUE LOVE」でのソロデビュー以降の20年に焦点を当てたアニバーサリーイヤー後半戦へと突入。
春にはデビュー30周年の軌跡を彩る初のフルオーケストラ公演『billboard classics FUMIYA FUJII PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2014』を開催。
そして8月16日からは”デビュー30周年プロジェクト”後半戦を飾る全国ツアー『藤井フミヤ 30th Anniversary Tour vol.2 TRUE LOVE 』が、12/31にはアニバーサリーイヤーの締めくくりとして武道館カウントダウンライブを昨年に続き開催。
2015年は、昨年好評を得た『billboard classics FUMIYA FUJII PREMIUM SYMPHONIC CONCERT』のアンコール公演を全国で開催。
2016年、4年振りとなるオリジナルアルバム「大人ロック」をリリース。同年9月より2年振りの全国ツアー「Fumiya Fujii CONCERT TOUR 2016 大人ロック」を開催。

オフィシャルサイトhttp://www.fumiyafujii.net

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